欧州連合(EU)、中国当局にテニスの彭帥選手の安否を証明するよう要求(2021/12/01)
欧州連合(EU)は30日、元中国共産党政権高官から性的暴行を受けたと告発した女子プロテニスの選手、彭帥(ほう・すい)さんの安否と所在について、中国側に検証可能な証拠を要求した。現在、スポーツ関係者を含む国際社会から、35歳のプロテニス選手が自由であり、脅威にさらされていないことを保証することを求める声が高まっている。
ベルギー日刊紙
『ラ・リーブル』によると、EU対外行動庁の報道官は、「最近、彭帥選手が公の場に再び現れたが、彼女の安全と自由に対する懸念が払拭されるわけではない」と指摘し、「EUは、中国政府に対し、選手の安全、健康状態、所在について検証可能な証拠を提供するよう求める。EUは、中国当局に対し、性的暴行の疑惑について、徹底した公正かつ透明性のある調査を行うよう求める」と述べた。
EUは、習近平政権が実施している強制失踪の一形態である「指定場所での居住監視」による恣意的な拘束を疑っている。...
全部読む
ベルギー日刊紙
『ラ・リーブル』によると、EU対外行動庁の報道官は、「最近、彭帥選手が公の場に再び現れたが、彼女の安全と自由に対する懸念が払拭されるわけではない」と指摘し、「EUは、中国政府に対し、選手の安全、健康状態、所在について検証可能な証拠を提供するよう求める。EUは、中国当局に対し、性的暴行の疑惑について、徹底した公正かつ透明性のある調査を行うよう求める」と述べた。
EUは、習近平政権が実施している強制失踪の一形態である「指定場所での居住監視」による恣意的な拘束を疑っている。中国に対し、国内法および国際法に基づく人権に関する義務を尊重するよう求めている。
米『エポックタイムズ』のフランス語記事によると、アムネスティ・インターナショナルは、11月18日に発表した声明の中で、「中国は、人権活動家に代わって強制した証言を発表してきた歴史がある。例えば、国営テレビは、中国の人権派弁護士である王宇と江天勇の告白を、彼らが拘留されている間に放送した。」と述べている。
カナダ野党のカナダ・中国関係担当ガーネット・ジェニュイス議員は、「私は彭帥さんの安全と健康状態を深く憂慮している。性的暴行の疑惑は、決して国家によって検閲されるべきではない。」と述べており、「勇気を持って発言したことで、中国共産党に拉致されたという事実は信じられないことだ。中国の国営メディアで彭帥さんの画像や動画が公開されているが、その信憑性は確認できない。」と指摘している。「今回の事件は、トップアスリートが中国での人権侵害と無縁ではないという事実を浮き彫りにしている」と付け加えている。
『エポックタイムズ』は、彭さんの主張は、中国における女性の権利の問題、特に中国共産党の役人たちの、愛人を持つという数十年来の慣行を浮き彫りにしたと指摘している。中国の公安部長であった周永康は、2015年6月に汚職、権力の乱用、国家機密の意図的な開示の罪で終身刑の判決を受けた。中国の国営メディアによると、周氏は少なくとも28人の長期にわたる愛人を持ち、400人近くの女性に性的暴行を加えていたという。周の愛人には、テレビのプレゼンター、映画スター、歌手、学生、政府関係者などがいた。
バスケットボール中国代表チームに所属するカナダ人コーチであるJu Bin氏は、女性テニス選手は中国共産党幹部から日常的に性的暴行の標的にされていると語っている。「中国共産党幹部は、他のどのスポーツよりもテニスを好んでいる。彼らにとっては気品のあるスポーツだからだ。いつも最高の女性テニスプレーヤーの同行を求めてくる。このとんでもない慣行を良く知っている。日常茶飯事だ。」と述べている。
北京大学の元教授で、反体制活動家として知られる亡命中の袁紅氷氏は、中国共産党幹部が3つのカテゴリーの女性に性的暴行を加えてきた歴史があると語っている。「第1のカテゴリーは、中国中央テレビ(CCTV)の女性キャスター、第2のカテゴリーは、各軍需企業の女性アーティスト、最後のカテゴリーは、ナショナルチームの女性テニスプレーヤーである。」と述べている。
閉じる
報道記者や活動家に対するサイバー監視、世界で拡がる(2021/07/19)
フランスを拠点とする非営利団体「フォービドゥン・ストーリーズ」と17のメディアによる調査の結果、イスラエルのスパイウェア「ペガサス」が、世界の様々な国で携帯電話の盗聴のために使用されている実態が判明した。数十カ国で使用され、5万件以上の電話番号が対象リストに載っていたことが分かった。
仏
『レゼコー』紙によると、非営利団体「フォービドゥン・ストーリーズ」は、17のメディアのコンソーシアムと協力して、イスラエルの「NSOグループ」社のスパイウェアプログラム「ペガサス」が、世界の様々な国家によって政治家、ジャーナリスト、弁護士に対するスパイ活動のために使用されていることを突き止めた。
このソフトウェアは、イスラエル政府の承認を得て、国家または政府機関にのみ販売されている。...
全部読む
仏
『レゼコー』紙によると、非営利団体「フォービドゥン・ストーリーズ」は、17のメディアのコンソーシアムと協力して、イスラエルの「NSOグループ」社のスパイウェアプログラム「ペガサス」が、世界の様々な国家によって政治家、ジャーナリスト、弁護士に対するスパイ活動のために使用されていることを突き止めた。
このソフトウェアは、イスラエル政府の承認を得て、国家または政府機関にのみ販売されている。しかしフォービドゥン・ストーリーズは、NSOの数十の顧客がペガサスを使用したスパイ活動の対象としている5万件以上の電話番号のリストを入手することができた。
このリストは、2016年以降からの数年間に及ぶもので、国際メディアコンソーシアムに共有された。約80名のジャーナリストが数ヵ月かけて、これらの電話番号を分析し、約50ヵ国に及ぶ電話番号の持ち主たちを特定することに成功した。
今回の発表は、サイバー監視が世界で広く行われており、あらゆる国が関与していることを示している。
ペガサスは、単なる「電話盗聴」ツールではなく、携帯電話に入っているすべてのデータ(写真、アプリでやり取りしたメッセージ、アドレス帳など)を吸い取ることができ、非常に効果的で強力なツールだと言われている。このソフトウェアは、アップル社やグーグル社のソフトウェアのセキュリティ上の欠陥を利用して、携帯電話のユーザーに気が付かれることなく、遠隔操作でインストールすることができる。
仏『ル・モンド』紙は、今回の調査結果によって、報道機関に対するスパイ活動がアゼルバイジャンのような独裁的な国だけではなく、民主主義国家でもスパイウェアを利用して行われていることが明らかになったと報じている。
メキシコやインド、ヨーロッパでもハンガリーのように調査報道機関を監視している。モロッコのように、外国人ジャーナリストを標的にすることに躊躇しない国もある。モロッコの諜報機関は、フランスの「ル・モンド」、「メディアパート」、「フランス・テレビジョン」、「ラジオ・フランス」などの、合わせて1000人以上のジャーナリストの電話に対しスパイ活動を行っていたことが判明した。
ジャーナリストへのスパイ行為は、目新しいことではない。以前の調査では、すでに何十人ものメキシコのメディア関係者が、このペガサスのソフトウェアによってスパイ活動の対象となっていたことが明らかになっている。2020年には、カナダ・トロント大学の専門家による調査の結果、カタールのテレビ局「アルジャジーラ」の子会社のジャーナリストや幹部36名がペガサスの攻撃を受けていたことが判明した。同年、アムネスティ・インターナショナルは、モロッコ人ジャーナリストのオマール・ラディ氏の携帯電話もスパイウェアに感染していたことを明らかにした。
NSOグループは、ソフトウェアの適切な使用については基本的には各顧客が責任を負うとしながらも、ジャーナリストが不正に標的にされるのを防ぐために、自社のほうでも厳格な確認体制と監査手順を導入して対策を取ってきたと反論している。シャレブ・ヒューリオCEOは、犯罪やテロとの戦い以外の目的でペガサスを使用する顧客は、NSOから「即座に、決定的に、妥協のない処罰」を受けることになるだろう、と述べている。
しかし、フォービドゥン・ストーリーズとアムネスティ・インターナショナルなどが行った調査では、ジャーナリストに対するスパイウェアの悪用は偶然ではないことがわかる。多くの場合、反体制派や人権侵害を訴える記者や活動家が標的とされている。
閉じる
その他の最新記事