メイ・デー(労働者の日)は、1886年5月1日に、全米労働総同盟が、シカゴを中心に8時間労働制要求の統一ストライキを行ったのが起源である。その後紆余曲折を経て、1890年の5月1日に、欧州各国と米国などで第一回国際メイ・デーが実行されて以降、労働者の権利を主張する運動、また、国民がその時々の要求を掲げ団結と連帯の力を示す日として継続、発展してきた。そして今年のメイ・デーでは、ハバナ(キューバ)で平和の行進が行われたのに対して、米西海岸やその他の国々では暴徒が荒れ狂ったと米メディアが伝えた。
5月1日付
『サン・フランシスコ・クロニクル』紙(
『AP通信』記事引用)は、「国際メイ・デーに、各地で様々なデモ行進」との見出しで、「国際メイ・デーの5月1日に、各地で左翼団体、政府関係者及び労働組合がデモ行進を繰り広げた。ハバナ(キューバ)では、ラウル・カストロ国家評議会議長、ベネズエラのニコラス・マデュロ大統領に率いられて、平和的な行進が行われたが、その他の国々では警察隊との衝突等、荒れた行進となった。」とし、
・イスタンブール(トルコ):市内へのデモ行進を禁ずる政府規制に反発したデモ隊と警察が衝突。
・ソウル(韓国):政府の労働政策に批判して数千人がデモ行進。
・マニラ(フィリピン):低賃金等の不満を訴えて1万人以上の労働者がデモ行進。
・アテネ(ギリシャ):緊縮財政反対を叫んで約1万3千人がデモ行進。小競り合いが発生したが、怪我人、逮捕者はなかった。
・モスクワ(ロシア):ロシア国旗を掲げて平静なデモ行進。
と報じた。
一方、5月2日付
『ロイター通信』は、「米西海岸のメイ・デー行進で衝突」との見出しで、「米西海岸の多くの都市で5月1日、労働者の祭典というより、何人もの無防備の黒人が警察によって殺されたことに端を発した、人種差別に不満をぶつける人達が暴徒化した。」とし、
・シアトル(ワシントン州):デモ隊の一部が暴徒化し、警察官にスパナや石を投げ、また、店のガラスを割ったり、ゴミ箱に火を点け、二十台余りの車を焼失させた。少なくとも3人の警官が負傷し、16人が逮捕された。
・オークランド(カリフォルニア州):数百人がジグザグ・デモ行進。夜半に一部の暴徒が、100軒以上のレストラン、銀行などのガラスを割り、自動車販売店の車に損害を与えた。
・ポートランド(オレゴン州):一部が暴徒化したため、警察隊が催涙スプレーなどで応酬。
・ボルティモア(メリーランド州):4月中旬に、黒人のフレディ・グレイ氏(25歳)が警察に逮捕された際に受けた暴行が原因で死亡したことに対して、黒人・マイノリティの市民が4月27日に抗議デモを行い、一部が暴徒化したため、市長が非常事態宣言をし、州兵を派遣する事態となった。しかし、州検察が6人の警察官を第2級殺人(偶発的殺人)の罪で起訴することになったため、5月2日のデモ行進は平穏に終わった。
と伝えた。
なお、米国との国交正常化交渉が進んでいることを受け、キューバでのデモ行進には、米国の労働組合メンバー285人が参加している。一方、岸田外相が日本の外相として初めてキューバを訪問し、同行した日本企業15社の代表とともに、経済関係の強化のための交渉を行っていたが、同外相はメイ・デーの記念式典やデモ行進には参加しなかった。
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4月27日付「注目集める歴史認識問題」の中で、英国、シンガポール、韓国などの新聞が、安倍首相の議会両院合同会議での演説で、歴史問題にどう触れるかにつき焦点を当てている。しかし、米メディアでは今のところ、ホワイトハウスや一部の下院議員が、歴代首相の対応を踏襲するよう求めていると一部で報道されているものの、同日付「安倍首相、米両院議会で演説へ(2)」の中で触れたとおり、依然、東アジアでの安全保障や環太平洋圏での経済協力の両面で、日米同盟の結束を強める必要があると判断し、オバマ政権は安倍首相を国賓級待遇で迎えることとした、という点が強調されている。
4月26日付
『サン・フランシスコ・クロニクル』紙(
『AP通信』記事引用)は、「日本の首相の訪米のトップアジェンダは安全保障とビジネス」との見出しで、「安倍首相は4月26日、7日間の訪米日程の最初の地であるボストンに到着した。同首相の訪米は、安全保障に関わる日米防衛ガイドライン改定の確認や、12ヵ国で締結を目指している環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に関わるトップ会談が主目的である。首相の日程は、ボストンを皮切りに、ワシントンでの日米首脳会談、両院議会演説、西海岸のシリコンバレーでのIT企業幹部との面談と、米国を縦断する予定である。同首相はまた、ワシントンの国立ホロコースト記念博物館(第二次大戦中のナチス・ドイツによるユダヤ人大量虐殺に関わる展示館)、バージニア州のアーリントン国立墓地(南北戦争~ベトナム戦争までの戦没者慰霊施設)も訪問する。」と報じた。
また同日付
『CBSニュース』は、「日本の首相、改装間もないJFケネディ博物館訪問」との見出しで、「安倍首相夫妻は4月26日、JFケネディ元大統領の長女で、現駐日米国大使であるキャロライン・ケネディ氏の案内で、改装されたばかりのJFケネディ博物館を訪問した。同首相は4月27日、ハーバード・ケネディスクール(ハーバード大学院)で学生を前に演説し、そしてワシントンに移動して後の4月29日、米議会両院合同会議で歴代首相として初めて演説する予定である。」と報じた。
なお、駐米日本大使は、安倍首相の米議会両院での演説に関し、同首相は第二次大戦についても述べると思われるが、日米以外の他国が関わる歴史問題について、同議会で触れることが相応しいとは思わないとコメントしている。また、4月25日付
『朝日新聞』が、“
『ニューヨーク・タイムズ』紙は、(安倍首相の)訪問が成功するかどうかは、どれほど首相が日本の戦時の歴史に、素直に向き合えるかどうかにかかっていると注文を付けた。”と引用しているが、同紙は同新聞の提携先であり、かつ、同紙の東京支局は同新聞社屋内にあることから、同新聞が書かせたと疑われても止むを得まい。
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