米・英・ロシア・韓国・中国メディア;中国が北朝鮮石炭の輸入禁止通告(2017/02/20)
昨年11月28日付
Globali「国連、対北朝鮮の追加制裁決議採択か」等で報じたとおり、2016年9月の5度目の核実験をした北朝鮮に対して、同国の外貨収入の約4分の1を稼ぐ石炭の取引に上限を設けるなど、新たな追加制裁案が米国より提出され、中国他の支持を得て採択された。しかし、かかる国際社会の非難をものともせず北朝鮮は、2月12日付
同「北朝鮮、トランプ政権挑発のミサイル発射」の中で報じたとおり、金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長は、トランプ新政権の出方を窺うように、昨年10月以降暫くの間、核・ミサイル発射実験を見合わせていたが、トランプ・安倍両首脳会談で、北朝鮮の脅威に対抗するため、日米同盟を益々緊密化していくとの共同声明に腹を立てたのか、またしてもミサイル発射に踏み切って挑発行為に出た。この行動に堪忍袋の緒が切れたのか、中国政府は突然、2017年末まで北朝鮮からの石炭輸入を完全禁輸すると発表した。中朝関係が以前より疎遠になっているとは言え、外貨収入のほとんどを中国向け輸出に頼っていた北朝鮮にとって、中国によるこの兵糧攻めは大きな打撃となるとみられる。
2月18日付米
『サン・フランシスコ・クロニクル』紙:「中国、北朝鮮からの石炭輸入取引停止」
「●中国商務部(省に相当)は2月18日、翌日以降年末までの間、北朝鮮からの石炭輸入取引を停止すると発表。
●同部は理由の詳細を明かしていないが、直近のミサイル発射実験再開や、(中国が庇護していたと思われる)金正男(キム・ジョンナム)氏暗殺事件に対して、非常に不快感を抱いたためと推測。
●なお中国は昨年4月、国連安全保障理事会制裁決議に則り石炭輸入を禁止するとしたものの、“民生用”は除くとしたため、反って昨年の石炭輸入量は+14.5%増の2,480万トンまで増加。...
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2月18日付米
『サン・フランシスコ・クロニクル』紙:「中国、北朝鮮からの石炭輸入取引停止」
「●中国商務部(省に相当)は2月18日、翌日以降年末までの間、北朝鮮からの石炭輸入取引を停止すると発表。
●同部は理由の詳細を明かしていないが、直近のミサイル発射実験再開や、(中国が庇護していたと思われる)金正男(キム・ジョンナム)氏暗殺事件に対して、非常に不快感を抱いたためと推測。
●なお中国は昨年4月、国連安全保障理事会制裁決議に則り石炭輸入を禁止するとしたものの、“民生用”は除くとしたため、反って昨年の石炭輸入量は+14.5%増の2,480万トンまで増加。
●しかし中国側は、上述どおり北朝鮮の蛮行に我慢ならなかったのか、直近のミサイル発射実施翌日の2月13日、突然100万ドル(約1億1,300万円)相当の石炭貨物の輸入通関・引き取りを拒否。」
2月19日付英
『メール・オンライン』(
『AP通信』配信):「中国、北朝鮮のミサイル発射を理由にして石炭輸入を突如停止通告」
「●中国商務部は声明文で、昨年11月の国連安保理追加制裁決議に沿うものとのみ言及。
●なお中国は、北朝鮮にとって最大の貿易相手国であるため、今回の石炭輸入禁止措置は大打撃となると推測。」
同日付ロシア
『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「中国、今年末まで北朝鮮からの石炭輸入禁止措置」
「●北朝鮮の石炭輸出髙は、同国経済の35%を占めると推定されるため、今回の中国の輸入禁止措置は、北朝鮮にとって大変厳しい事態。
●ただ専門家の中には、このまま北朝鮮が核開発を続行すれば絶望的な結果となると中国が脅威に思い始めたためと見る向きと、一方で、今でも人口過多に難儀している中国にとって、より厳しい制裁のために北朝鮮経済が疲弊して、同国から数百万人の難民が流入して来ることを恐れ、これ以上は厳しい措置は取れないと見る向きもあり。」
2月18日付韓国
『聯合(ヨナプ)ニュース』:「中国、北朝鮮石炭の輸入停止」
「●中国商務部の声明文では、国連安保理追加制裁決議に則り、2月19日以降年末までの北朝鮮石炭の輸入停止を決定したと表明。」
同日付中国
『新華社通信』:「中国、北朝鮮からの全ての石炭の輸入停止」
「●2月19日発効の輸入停止措置は、中国商務部と中国税関総局の連名で発表。
●なお当局が言及した国連安保理追加制裁決議は、北朝鮮による昨年9月9日実施の5度目の核実験を非難して、同年11月30日に採択。」
なお、昨年11月30日に採択された国連安保理追加制裁決議の内容は以下のとおり。
・中国向け北朝鮮石炭を、2015年比▼62%減の750万トン(7億ドル、約790億円相当)
に抑えること(中国の今回の輸入停止措置は、この上限に到達したためと推測)。
・銅、銀、亜鉛、ニッケル等特定の鉱物資源も輸出禁止とすること(1億ドル、約113億円相当)。
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米・英・中国メディア;VWトラブルで、トヨタの世界首位確実(2016/01/12)
近年、自動車の世界販売台数の競争は、トヨタとフォルクスワーゲン(VW)の間で熾烈になっていた。しかし、これまで何度か触れたとおり、VWの得意とする新興国の景気後退、更には、9月に発覚した排ガス不正問題に遭って、VWの年間販売台数が落ち込み、トヨタが4年連続の世界一となることが確実となったと各国メディアが伝えた。
1月8日付米
『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙は、「VW、13年振りに販売台数下落」との見出しで、次のように報じた。
「・VWは1月8日、2015年の世界販売台数が、2002年以来落ち込むと発表。
・昨年12月の販売台数は834,800台と5.2%下落し、2015年通年で990万台となり、前年比▼2%落ち込む。
・景気後退に遭った新興国の落ち込みが激しく、ブラジルは通年で▼38%以上、ロシアも▼37%下落。...
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1月8日付米
『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙は、「VW、13年振りに販売台数下落」との見出しで、次のように報じた。
「・VWは1月8日、2015年の世界販売台数が、2002年以来落ち込むと発表。
・昨年12月の販売台数は834,800台と5.2%下落し、2015年通年で990万台となり、前年比▼2%落ち込む。
・景気後退に遭った新興国の落ち込みが激しく、ブラジルは通年で▼38%以上、ロシアも▼37%下落。西欧州で+4.8%と奮起したが、上記落ち込みをカバーできず。
・中国においても、通年で▼3.4%と355万台の販売に落ち込み、年間+5.2%、361万台販売と健闘したGMの後塵を拝す。
・VWは排ガス不正問題の影響についてコメントを避けているが、米国内ではディーゼル車を販売しておらず、また、通年でも▼4.8%と2004年以来の落ち込み。」
同日付英
『ザ・ガーディアン』紙は、「VW世界販売台数、排ガス不正問題が響いて▼2%下落」との見出しで、以下のように伝えた。
「・VWの2015年世界販売台数は993万台と、2014年の1,014万台より▼2%下落。
・排ガス不正問題の影響もあろうが、それは9月下旬に発覚したことで、むしろ新興国の大幅下落が影響大。
・VWは2014年にトヨタに僅かに競り負けて2位(3位はGM)となったが、2015年上半期は僅かながらもトヨタを上回り、年間首位を狙っていたが、目下の見込みではトヨタの首位は揺るがず。」
同日付中国
『グローバル・タイムズ(環球時報、人民日報英語版)』は
『ロイター通信』記事を引用して、「VWトップ、米国の排ガス不正問題解決に自信」との見出しで、次のように報じた。
「・VWグループ乗用車部門トップのディエス会長は1月7日、排ガス不正問題対象となった約50万台のディーゼル車を規制に適うよう適正に措置することで、米当局の了解取得に自信と表明。
・同氏は、ラス・ベガス(ネバダ州)で開催中の“コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(全米家電協会が毎年1月に開催)”に出席して会見。
・米司法省は1月4日、米環境保護法違反の罪で、VWに対し最高480億ドル(約5兆7,600億円)の罰金支払いを求めて提訴。」
一方、同日付米
『サン・フランシスコ・クロニクル』紙は、「VW、州要求の情報提供拒否」との見出しで、以下のように伝えた。
「・排ガス不正問題で、米司法省とは別に、多くの州がVWの責任追及、特にトップ関与の有無について調査中。
・この一環で、VWの電子メール等の提出を求めるも、VWはドイツのプライバシー法を盾に拒否。
・米国同様、ドイツのプライバシー法は厳しく、国外、ましてや欧州連合(EU)外に関連情報の持ち出しは困難。
・VWの新トップのミューラーCEOが就任時、会社の信用回復と透明性確保に全力を挙げると発言したにも拘らず、ドイツ法を盾に情報提供を拒んでいることに、各州法務長官は大いに不満。」
なお、トヨタの2015年世界販売台数の発表は1月下旬となるが、12月末発表の概算では、前年比▼1%減と4年振りの前年割れなるも、1,009万8千台との見通しとなっており、4年連続で世界一となることが確実である。
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