トルコ統計局による消費者物価指数(CPI)が、20年ぶりの高水準となり約70%上昇しているという。低金利で生産と輸出を促すという独特な経済政策や、ウクライナ侵攻による食品とエネルギー価格上昇が要因とされる。交通費では過去1年間で2倍以上となっている。
5月5日付
『Yahooニュース』(BBC):「トルコで生活費が約7割上昇」:
トルコ政府の統計によると、トルコで4月の消費者物価指数が前年同月比で約7割も上昇し、20年来の高水準となった。交通機関、食品、家具類で最も高いインフレ率となっている。
過去1年間で、食品や非アルコール飲料の価格は89.1%上昇、家具など家庭用品は77.65%上昇した。
4月は前月比で物価指数が7.25%と急上昇した。
世界各国でも、生活費が上昇し、厳しい対応に迫られているが、トルコでは、通常はインフレ上昇対策となる利率引上げ策を大統領が行わなかった点が、問題を悪化させている。
トルコではエルドアン大統領が通貨の安定より輸出を優先したため、リラの価値が暴落。大統領は、金利を「悪の根源」と呼び、通常とは違う方針を採ってきた。大統領からの圧力で、中央銀行は、9月から利率を19%から14%まで引き下げ、インフレ上昇にもかかわらず、4月まで4カ月連続で14%に固定した。
ウクライナ危機による物価上昇の一面もあるが、高インフレの理由のベースはトルコの金融政策にあるとされる。経済調査会社によると、トルコ政府が利率を上げるなどの方針転換をする予兆はみられないため、今年のインフレ率は高止まりとなると予測されている。
世界でも、コロナ関連の供給不足問題やウクライナ戦争によるエネルギーや食品価格上昇により物価が上昇し、多くの国でインフレ対策として金利引上げ傾向が続いている。英イングランド銀行は5日、金利を2009年以来最高に引き上げた。また、米連邦準備理事会も20年超以来となる最大引き上げを発表。インドやオーストラリアでも借入費用を引き上げている。
同日付米『CNNニュース』:「トルコのインフレ率が20年ぶりの高水準」:
今月、トルコの一年間のインフレ上昇率が69.97%を記録し、予測を上回り20年ぶりの高い水準となった。ロシアによるウクライナ侵攻や、昨年のリラ暴落によるエネルギー、日用品価格の上昇が要因とみられる。
エルドアン大統領からの圧力で、昨年9月以降、政策金利を500ベーシスポイント引き下げたことでリラが暴落、消費者物価指数が上昇し続けた。
消費者物価は、交通機関セクターで105.9%、食品飲料で89.1%上昇。月別では、前月比で食品飲料が13.38%、住宅価格が7.43%上昇している。
トルコ政府は、生産性向上や輸出促進を見込んだ低金利優先の経済プログラムのもとに、インフレは下がると見込んでいる。
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土地保全に関する最新の国連報告書では、世界の食糧供給を維持しサステナブルな農業をめざすには、土壌の改良と農業の小規模化が重要だと指摘されている。政府による土地保全対策がない場合、2050年までに、現在の4倍のCO2が大気に放出されるが、対策が進むと、CO2が安全に地中や植物に貯留されると予測されている。
4月28日付
『Yahooニュース』(英BBC):「自然破壊:人間の飽くなき欲が世界の土地を破壊」:
国連報告書によると、人間の活動により持続不可能(アンサステナブル)なほどに世界の土地が破壊されている。土壌の改良と健全性の維持に重点を置いた「再生農業」により、生産量が増え、大気への炭素排出量も抑えられると指摘している。
世界の土地に関する報告書「Global Land Outlook(GLO)は5年間にわたり作成されており、世界の土壌、水資源、生物多様性などに関わる土地資源を調査している。...
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4月28日付
『Yahooニュース』(英BBC):「自然破壊:人間の飽くなき欲が世界の土地を破壊」:
国連報告書によると、人間の活動により持続不可能(アンサステナブル)なほどに世界の土地が破壊されている。土壌の改良と健全性の維持に重点を置いた「再生農業」により、生産量が増え、大気への炭素排出量も抑えられると指摘している。
世界の土地に関する報告書「Global Land Outlook(GLO)は5年間にわたり作成されており、世界の土壌、水資源、生物多様性などに関わる土地資源を調査している。国連砂漠化対処条約(UNCCD)のチアウ事務局長は、「土地を当たり前のものと考えてはいけない段階にきた。食糧、野菜、飼料を求める人間の飽くなき欲のため、破壊しても構わない余分な土地、水、森林、湿地があると考え続けることは不可能」だとしている。
世界の土地の約4割がダメージを受けており、その主な原因は近代農業に起因する。このまま対策を怠ると、2050年までに、南米全体ほどの広大な土地にダメージが拡大すると予測されている。一方、土地の保護や保全対策を行えば、気候変動や種の絶滅を抑えることが可能となる。
土地の総合的な健康状態にダメージを与える活動は、土壌をひ弱にし、炭素を減らし、生物の生息を難しくさせる。現在、世界の人口の約半分は土地の後退の影響にさらされている。
UNCCDによると、毎年、約7000億ドルが化石燃料や農業産業への補助金に充てられているが、自然資本や生物多様性へ効果的な影響を与えているのは僅かに15%のみ。その3割でも保全に生かせれば、2030年までに米国ほどの広さの10臆ヘクタールの土地改善が可能になるとしている。
また、僅か1%の農場が、世界の農地の7割を管理している。全農場の8割が2ヘクタール未満と小規模経営。
2013~2019年に行われた農地開拓のための森林伐採のうち、少なくとも7割は国家法に違反していた。
4月27日付仏『フランス24』(AFP通信):「破壊された土地の保全が気候変動対策や生物多様性のカギ」:
アンサステナブルな農業は、今世紀半ばまでに、非常に荒れた土地を増やすことに繋がると27日の国連砂漠化対処条約(UNCCD)による報告書で指摘されている。
世界の食料システムは、地球の森林破壊の8割、水利用の7割を占めている。これのみが、種の絶滅の最大の原因となっており、人間の活動が始まった頃と比べ、温暖化や自然破壊が急速に進んだ今では100~1000倍速く絶滅が進んでいる。
土地資源の利用の仕方により、地球上の多くの生物の健康や存続が危機に晒される、これには人間も含まれる。地球上の氷河に覆われていない、化学的ダメージで破壊された土地の4割が、世界のGDPの約半分に相当しており、早急な対策が求められる。これまでのビジネス活動をしていては、生存と繁栄に繋がらない。
今年、UNCCDの197の条約加盟国により、3年ぶりにコートジボワールのアビジャンで会合が開催され、地球の土地の保全に関係する、干ばつの増加やサステナブル農業への移行を中心に議論が交わされるとみられる。
地上の土地のうち、少なくとも7割が人間に利用されており、繰り返される土地の再利用により穀物が育たず、圧倒的に土地足りないのだ。1%の農業ビジネス主で、世界の農業用地の7割を運営している計算になる。解決には、初期段階として大型農業からよりサステナブルなサイズに変えることが重要なのだという。
報告書では今世紀半ばに至る2つの開発シナリオを提示している。一つに、従来のアプローチを続けた場合は、2050年までに現在の温室効果ガスの「4倍」にあたるCO2(ニ酸化炭素)が2500臆トンに増加し大気に放出される。もう一つは、土地保全対策が行われた場合で、2015年を基準とすると、現在の5年分の放出量である約3000臆トンのCO2が安全に地中や植物に貯留されるという。
土地を巡る競争は激化しており、今後は厳しい選択が増えていくとみられる。また、報告書では初めて、気候変動対策や自然保存プロジェクトの成功の鍵として、先住民の土地の権利拡大に言及している。
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