英国のシンクタンク「オックスフォード大学ロイタージャーナリズム研究所」の「デジタルニュースレポート」によると、世界はニュース離れの傾向にあり、また誤情報拡散のリスクから、AI生成ニュースへの懸念が高まっているという。
6月16日付
『Yahooニュース』(英BBC):「ニュース離れが加速」:
世界的な調査報告書によると、多くの人々が暗く、止むことのない、飽き飽きするニュースから目を背ける傾向の拡大が続いているという。
オックスフォード大学ロイター研究所の報告書によると、2017年の29%より増加し、39%が「時々または頻繁に、ニュースを能動的に避けている」と回答している。ウクライナや中東での紛争により、人々はニュースを見るのを避けようとしているとみられ、その数は現在最も高いレベルにある。
47カ国約9万人を対象とし、デジタルニュース・レポートの年次報告のため、今年1月と2月にYouGovが調査を行った。当時は各地で総選挙や地方選挙が盛んに行われていたため、米国など、選挙によりニュースに関心が高まっていた国もみられたが、全体では関心が低い傾向は続いていたという。
世界では、ニュースに非常に関心があると回答したのは46%で、2017年の63%から減少した。英国では、2015年比で約半数に減少している。
報告書の筆頭著者ニック・ニューマン氏は、「近年取り扱うニュースは非常に難しくなっている。パンデミックや戦争により、人々がニュースから目を背けているのは、メンタルヘルスを保つためや、日常生活を続けるためであれ当然の反応である」としている。
また、積極的にニュースを避けている人々の間では、世界で起こっていることに対して自分が主体的にできることがないと「無力」に感じていることもニュースを避ける理由となっていると指摘。
ニュースに圧倒され、混乱する人がいる一方、政治に疲れを感じる人々もいる。女性や若者では、ニュースの量に疲れを感じる傾向が高い。一方、ニュースの信頼性は、パンデミックで信頼性が高まった時期より4%下げ、40%に留まった。英国では今年ニュースの信頼性が36%とやや高まったが、EU離脱を巡る国民投票前の2016年より約15%低い。
テレビや新聞等といった伝統的なニュースソースを使う人は、過去10年で急減。若者はオンラインやソーシャルメディアからニュースを見る傾向にあり、英国ではネットニュースが73%、テレビが50%、新聞等が14%となった。
ニュースで最も利用されているのは、「フェースブック」で、ユーチューブやワッツアップもニュース源として人気継続、ティックトックの人気も高まっており、旧ツイッターの「X」を初めて抜いた。
この変化に関連して、特に若者の間で、動画がより重要なニュースソースとなりつつある。ショート動画が最も注目されており、「消費者は使用が簡単な動画を使い始めている。しかし、テキストベースの文化では、伝統的なニュース機関も未だ健在でその伝える力を活かそうと奮闘している。ポッドキャストも注目されるが、教育レベルの高い人向けの「少数派」となる。
一方、報道における人工知能(AI)の利用に関しては、多くの人が、政治や戦争など硬派記事について疑問に思っているとの結果となっている。AIは記者にとって代わる存在というより、補う存在としての活用が望まれており、字幕や翻訳など、二次的利用の方が安心感があると考える人が多いとの結果となった。
同日付米『ETAQ』:「世界の視聴者はAI生成ニュースを不安視」:
ロイター研究所が公表したジャーナリズム研究報告書によると、ニュース製作や誤情報が拡大する中でのAI活用に関して、世界的に懸念が広がっている。
17日に発表された同研究所の年次「デジタルニュースレポート」は47カ国約10万人を対象とした調査に基づく報告書で、収入増や経営継続で、ニュース機関が直面する課題を示している。
世界の報道機関は、グーグルやオープンAI等のIT大手やスタートアップ企業が、情報の要約や、交通情報収集ツールを開発する中、生成AIにより新たな挑戦に取り組んでいる。その一方、報告書によると、消費者は、AIが政治等のニュースコンテンツを作成することを不安視していることがわかった。
米国の52%、英国の63%が、AI作成のニュースに安心できないと回答。調査では各国2千人が回答したが、AIは、記者の裏方作業に利用するほうが好まれる傾向がみられた。
ネット上の誤情報への懸念では、昨年比3%上昇し59%が不安を抱いていると回答。この数字は、今年選挙年となった南アフリカでは81%と米国で72%で高い傾向がみられた。
報道機関にとってのもう一つの課題は、有料購読である。パンデミックでやや増加し、20カ国で17%がオンラインニュースを有料購読しているが、この数字は過去3年変化していないという。米国の購読者の大半はトライアルやプロモーションによるディスカウント購入のため、46%が全額購読料未満という結果となった。
主流メディアより、ティックトックなどのプラットフォームでのニュースインフルエンサーの影響も大きくなっている。アプリでニュースを見ると回答したティックトックユーザー5600人を対象とした調査では、57%が個人パーソナリティに注目しており、ジャーナリストや報道機関を見る人は34%に留まった。
この結果から、報道機関は「視聴者との直接的な関係」を築く必要があり、若者視聴者にアピールするには、プラットフォームを戦略的に使う必要があるといえる。
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国際人権団体アムネスティ・インターナショナルによると、昨年世界で執行された死刑は16カ国で1,153人となり前年比で3割増加したという。その急増は主にイランでの増加だが、情報が公開されていないものの、中国ではその数が数千人に上るとされている。
5月29日付
『Yahooニュース』(英BBC):「2023年世界で死刑執行増加、イランで顕著」:
2023年世界の死刑執行数が過去8年で最高となった。アムネスティ・インターナショナルの年次報告書によると、中東諸国で死刑執行が急増しているという。
世界16カ国で合計1153人で、前年比30%超の増加となった。麻薬犯罪での死刑を強化しているイランだけで全体の74%を占めており、サウジアラビアが15%となった。
この数には、毎年数千人が死刑となっているとされる中国は含まれていない。中国は情報を公開していないが、世界で最も死刑の多い国であると考えられている。同様に死刑を採用しているとされている北朝鮮やベトナムの統計も明らかになっていない。
死刑執行数が1634人とされる2015年以来、合計数は最大となっている。昨年イランでは、少なくとも853人が死刑となったとされ、2022年の576人、2021年の314人から増加している。半数以上が麻薬関連犯罪によるものだった。イラン当局は人権を完全無視し、麻薬関連犯罪での死刑を増やし、少数派や貧困層への差別を助長している。
世界的な増加の一方、現在死刑を行う国の数は最低となっている。ベラルーシ、日本、ミャンマー、南スーダンでは2022年の執行は行われていない。一方、パキスタンは昨年、麻薬犯罪での死刑を廃止、マレーシアでは強制死刑制度を撤廃している。スリランカでは、死刑再開を懸念し、大統領が死刑執行許可証への署名を拒否したことが確認されている。
西欧諸国では唯一死刑が行われている米国での数も顕著となっており、2022年の18人から2023年は24人に増加。アイダホ州とテネシー州では銃殺刑の執行法案が提出され、モンタナ州議会では、薬物注射での使用薬物の拡大が検討されている。
同日付米『アムネスティ・インターナショナル』:「世界の死刑執行過去10年で最高」:
アムネスティ・インターナショナルは28日発表の「世界の死刑に関する年次報告書」で、2023年の死刑執行は過去10年で最も多く、中東での増加が顕著となったとしている。
アフリカのサハラ以南で死刑が廃止された国はないが、ケニア、リベリア、ジンバブエでは死刑廃止が検討されている。ガーナでは廃止法案が可決したが昨年時点で法制化はされていない。
米国ではテキサス州、フロリダ州、オクラホマ州、ミズーリ州、アラバマ州の5つの州で死刑が執行された。加えて、2023年には2019年以来となる連邦政府による死刑を含め、25人が死刑となった。
最も多いのが中国で千人以上、次いでイラン、サウジアラビア、ソマリア、米国となる。2022年は20カ国だったが、2023年は16カ国となっている。女性への死刑は4カ国で執行され、中国、イラン、サウジアラビア、シンガポール。
中国では国家機密のため、執行数は不明となっているが世界で最も多くの死刑執行があるとされる。中国国営メディアは麻薬密売や収賄などの犯罪を厳罰に処すとしている。北朝鮮では、朝鮮語を使用しない国民への処罰として死刑を含めた新法が制定されており、ミャンマーの軍事政権は軍部の支配下で死刑を継続させている。
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