気候危機:カーボンバジェットが残り少ない(2023/10/31)
最新の気候データによると、気温上昇を抑えるための上限「カーボンバジェット(累積CO2排出量)」が残り少なくなっており、現在のペースで化石燃料を燃やすと、2029年に上限を超えてしまうかもしれないという。
10月30日付英
『Guardian』:「気候危機:炭素排出量の上限が迫る」:
最新の気候データによると、「カーボンバジェット(累積CO2排出量)」が残り少なくなっているという。
カーボンバジェットは、CO2を抑制しながら排出が許される排出量の最大値で、最新のデータによると、現在の排出ペースでいくと、2020年の推定上限に6年以内に達してしまうという。
地球の最高気温は2023年、世界的な熱波により過去最高を記録。...
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10月30日付英
『Guardian』:「気候危機:炭素排出量の上限が迫る」:
最新の気候データによると、「カーボンバジェット(累積CO2排出量)」が残り少なくなっているという。
カーボンバジェットは、CO2を抑制しながら排出が許される排出量の最大値で、最新のデータによると、現在の排出ペースでいくと、2020年の推定上限に6年以内に達してしまうという。
地球の最高気温は2023年、世界的な熱波により過去最高を記録。まもなくアラブ首長国連邦で開催される国連COP28では、化石燃料からの脱却が議論されるとみられる。
科学雑誌「自然気候変動」に発表された研究では、最新の観測調査によるデータや改善された気候モデルが示されており、これによると、地球の温度を1.5℃上昇に抑える可能性が50%となるカーボンバジェットは2500万メートルトン。今年、世界の排出量は2500万と過去最大になるとみられており、50%の維持には、排出量を2034年までに実質ゼロまで急減させなければならない。
カーボンバジェットが大きく縮小した理由は、人間の活動による高い排出量や、大気汚染を減少させることが、逆に温暖化を進めることへの理解が浸透したこと。日光を遮り気温上昇抑制効果のあるエアロゾル汚染や雲の効果がより最新数値で示されている。
国連は、2030年までの半減、2050年までのゼロ達成を目標とする。パリ条約の2℃制限については、90%達成には、2035までに排出を実質ゼロ排出にしなければならず、2050年までだと2℃目標の可能性は66%となる。
国際エネルギー機関のデータでは、世界の化石燃料使用によるCO2排出量は今年中にもピークに達し、翌2024年からは減少するとみられている。
同日付英『TIME』:「現在の化石燃料使用のペースでは2029年までに1.5℃上昇に到達する」:
最新の研究によると、現在のペースで化石燃料を燃やすと、あと5年超の2029年初頭に、地球の温度は国際合意基準を超えてしまうかもしれず、1800年代以来1.5℃の上昇目標基準への到達が3年早くなるとしている。
国連の科学報告書によると、世界的なサンゴ礁、氷河の減少による災害の増加で、水不足、熱波、異常気象のリスクは上昇。
また、エアロゾルという微粒子による大気汚染の対策を進歩させてしまったがために、基準値に早く到達してしまう危険がある。エアロゾルは地球の温度を若干下げ、化石燃料による温室効果を覆う効果がある。エアロゾル汚染を浄化することは良い面もあるが、気温も若干上昇させてしまう反面がある。
30日発表の「自然気候変動」に掲載された論文では、残りの「カーボンガジェット」に触れ、産業革命以前と比較し、1.5℃以内の気温上昇に抑える可能性がまだ50%はあるとしている。
地球は過去10年で、19世紀よりも既に平均1.14℃温暖化している。昨年は1.26℃上昇、今年は昨年を上回るとみられる。国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は2021年、1.5℃に抑えるためには、2032年までに5000万メートルトンという上限を示していた。最新の論文では、カーボンバジェットを2500万メートルトンとする。現在1年あたり400万メートルトンが排出されており、残るのは6年弱となる。
今年の大きな変化は、エアロゾル排出による抑制効果に関する最新研究である。森林火災、海塩粒子、火山、化石燃料、これらはすすで地球を覆い温室効果ガスを遮断する効果があるとされる。炭素排出を抑制すれば、同時に冷却効果のあるエアロゾルも減少してしまう。
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AIにも気候変動のような監視機関が必要(2023/10/25)
英政府が11月にAI技術のリスク管理に関する首脳会議を開催されるが、人工知能(AI)研究者らは、AIにも気候危機や原子力のような監視機関と対策が必要だと訴えている。
10月24日付英
『Guardian』:「AIは気候危機と同じようにしっかりと対策すべき、DeepMind CEO」:
世界各国は人工知能(AI)を気候危機と同じくらい真剣に考えるべきで、対応の遅れがあってはならないとIT業界の幹部が警鐘を鳴らしている。
英国政府が「AI安全サミット」を開催するにあたり、グーグルのAI開発企業であるDeepMind社のデミス・ハサビスCEOは、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のような機関の必要性を訴えている。...
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10月24日付英
『Guardian』:「AIは気候危機と同じようにしっかりと対策すべき、DeepMind CEO」:
世界各国は人工知能(AI)を気候危機と同じくらい真剣に考えるべきで、対応の遅れがあってはならないとIT業界の幹部が警鐘を鳴らしている。
英国政府が「AI安全サミット」を開催するにあたり、グーグルのAI開発企業であるDeepMind社のデミス・ハサビスCEOは、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のような機関の必要性を訴えている。
各国は危険性への対処を早急に進めるべきだとする同氏は、「我々は気候変動のような世界的な課題と同様にAIがもつリスクを考えるべき。国際社会は世界的な課題への対応調整が非常に遅れており、我々がいる現状がその結果である。同じような遅れをAIでとってはならない」としている。
「AIはこれまで発明された中で最も重要かつ有益なテクノロジーだ」とする一方、IPCCのような国際機関による監視体制や、欧州原子核研究機構(CERN)のようなAI安全の調査機関が必要となるだろうとしている。
国際原子力機関(IAEA)については、監視等の方法により核兵器の拡散を防止し、原子力の安全を促進する国連機関であり、直接的には当てはまらないものの、現在ある機関から「価値ある教訓」を得ることはできるとする。
世界はここまでくるのに長くかかったが、現在は見通しがたったため議論をするのは今が最適だとしている。現在のAIはリスクはないが、今後数世代後は、計画や記憶能力をもつようなAIが開発されると、医学や科学分野での革命の可能性が期待できる一方、技術の管理も疎かにすべきでないとする。
DeepMind社の新たな画像やテキスト生成技術では、生成画像への認定システムを導入する予定だという。英国政府は今年、最先端AI評価ガイドラインを作成するAI安全研究部会を立ち上げている。
同日付印『Indian Express』:「AIリスクは気候危機同様に早急な対策が必要」
グーグル元幹部エリック・シュミットや、LinkedInの共同創設者でDeepMindの創設メンバーであるムスタファ・スレイマン氏がAIに関する国際機関設置の必要性を解いた次の週、DeepMindのデミス・ハサビスCEOもそれと同様の発言をしている。AIのリスクは気候変動への対策と同様に扱われるべきであるとの持論を述べた。
AI研究者であるハサビス氏は、人口知能テクノロジーの存在的危機への対応策として、規制強化の必要性を強調。「世界は対応に遅れを取ってはいけない、AI規制はIPCCのような機関の設立から開始すべきで、AIの危険への対応は生物兵器のように早急に対応すべき課題だ」とした。
現在、世界的な脅威となるとの見方や、人類の可能性を広げるなど、人工知能に関し賛否両論がある。
ChatGPTを開発したOpenAIのサム・アルトマンCEOは、今後10年の人工知能(AGI)の可能性については、懸念よりも変革の未来を予測している。
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