米国、各地の大学で反戦デモ、卒業式中止も(2024/04/26)
全米各地の大学で、イスラエル軍のガザ攻撃に反対し、イスラエルを支援する拠出金停止を求めるデモが各地に広がっており、学生や教職員の間で多くの逮捕者が出ている。安全を考慮し、先週卒業スピーチが中止された南カリフォルニア大学では、来月予定される卒業式の一部を中止するという。
4月26日付
『AP通信』:「反戦デモ拡大で卒業式中止や逮捕者」:
南カリフォルニア大学(USC)が25日、主な卒業式の中止を発表した。別の大学では、数十人の逮捕者が出ており、各地でイスラエル・ハマス戦争に反対するデモが広がりを見せている。
全米各地の大学では、全米各地で来月行われる卒業式典の予定の影響が出るものと懸念している。
コロンビア大学等は、デモ参加者との交渉を続ける一方、野営テントを禁止するよう、大学の規則を変更したり、最終試験を別の場所で行うなどの対応をする大学も出ている。...
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4月26日付
『AP通信』:「反戦デモ拡大で卒業式中止や逮捕者」:
南カリフォルニア大学(USC)が25日、主な卒業式の中止を発表した。別の大学では、数十人の逮捕者が出ており、各地でイスラエル・ハマス戦争に反対するデモが広がりを見せている。
全米各地の大学では、全米各地で来月行われる卒業式典の予定の影響が出るものと懸念している。
コロンビア大学等は、デモ参加者との交渉を続ける一方、野営テントを禁止するよう、大学の規則を変更したり、最終試験を別の場所で行うなどの対応をする大学も出ている。
一方、野営抗議は拡大しており、インディアナ州立大学でも発生後、多くの逮捕者が出ている。
デモ隊は、大学のイスラエルへの援助金停止や、企業への支援から離脱することを求めて抗議している。ユダヤ教徒の学生の中には、デモにより、反ユダヤ主義が高まり、キャンパスへ行くのが怖いという学生もいる。
USCは90人以上のデモ参加者が逮捕された翌日、5月10日に予定されていた卒業式の中止を発表した。各学科で行われる数十の卒業イベントは行うとしている。同大学では先週、安全面を考慮して、卒業イベントでの親パレスチナの卒業生代表による演説を中止した後、既に緊張感は高まっていた。
ロス警察によると24日、不法侵入容疑で93人、凶器による暴行で1人が逮捕されたという。ボストンのエマーソン大学では、路地での野営で108人が逮捕され、テキサス大学オースティンでも25日、57人が逮捕された。アトランタのエモリー大学では、学生以外の外部者が野営しているとして逮捕者が出ている。
ハーバード大など多くの大学は、テントで野営するデモ参加者への対応は行っていない一方、ノースウェスタン大学のように、キャンパスでの野営禁止のため、大学の規則を急遽変更した大学もある。ジョージ・ワシントン大学は、法科大学の試験をデモが行われている建物から、静かな別の場所に移すとしている。
現在のデモの波は、ニューヨークのコロンビア大学に影響されている。先週野営する100人超が警察に逮捕されたが、撤収後再び設営された。ここは数週間後に卒業式典が行われる予定の場所である。
ミゲル・カルドナ米教育相は、「学生の多様な意見を聞く能力が国の成長に必要不可欠であるが、ヘイトや暴力の脅威に甘んじることは当局者には受け入れられない」と述べている。
イスラエル・ハマス戦争開始以来、教育省は、反ユダヤ、イスラム主義への苦情対策として、大学や教育機関への市民権調査を開始。ハーバード大やコロンビア大学など多くの大学が調査対象となっている。
4月25日付米『USAトゥデイ』:「コロンビア大、デモ撤収期限迫る、USCは卒業式を中止」:
34000人の民間人が犠牲となっているガザへの攻撃に、各地の大学で抗議者がデモを行っており、コロンビア大学の学生がその中心となっている。
コロンビアでは、ここ数日で100人以上が逮捕されており、デモ隊は野営テント解体の期限が迫っている。ミノウチ・シャフィク学長は、テントが26日までに片付かなければ、キャンパスの静寂を取り戻すことを検討する」と警告している。
議会下院のマイク・ジョンソン議長は25日、前日の大学訪問で抗議者のブーイングを受け、デモに参加した学生や教員を批判、シャフィク学長の辞任を要求。SNSで、「ハマスがコロンビアの抗議を支持した。ハマスが行ったことは恐ろしいことで、あの抗議者らは犯罪に旗を振っている。これは米国ではない」と批判している。
学生らは、米軍のイスラエル支援に反対しており、大学がガザ戦争で利益を得るような武器製造業など、イスラエル関連企業等に支援金拠出することに反対している。
専門家によると、イスラエル関連への投資を定義するのは容易ではなく、大きな投資は明らかにしやすいが、小さな投資は隠れ蓑となりやすいとする。抗議の中心となるコロンビア大は、130億ドル超を拠出する最大機関の一つとなっている。
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米国、中国鉄鋼の関税引き上げ検討(2024/04/18)
バイデン米政権は、USスチールの買収を阻止し、鉄鋼業界を保護するため、中国製鉄鋼の関税を3倍に引き上げることを検討するとしている。
4月18日付
『AP通信』:「バイデン氏、米鉄鋼業界保護と日本の買収阻止表明、中国関税引き上げ検討」:
バイデン政権は17日、USスチールの買収を阻止し、鉄鋼業界を保護するため、中国製鉄鋼の関税を3倍に引き上げることを検討するとした。通商政策を通して、激戦区であるペンシルバニア州の労働者票を固める狙いがある。中国強硬策を今も提案するトランプ氏と同様の施策となる。
バイデン大統領は、ピッツバーグの米鉄鋼組合の本部で、「1世紀以上の間、米国企業の代表格だったUSスチールは米国の企業であり続けるべき」だと述べた。...
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4月18日付
『AP通信』:「バイデン氏、米鉄鋼業界保護と日本の買収阻止表明、中国関税引き上げ検討」:
バイデン政権は17日、USスチールの買収を阻止し、鉄鋼業界を保護するため、中国製鉄鋼の関税を3倍に引き上げることを検討するとした。通商政策を通して、激戦区であるペンシルバニア州の労働者票を固める狙いがある。中国強硬策を今も提案するトランプ氏と同様の施策となる。
バイデン大統領は、ピッツバーグの米鉄鋼組合の本部で、「1世紀以上の間、米国企業の代表格だったUSスチールは米国の企業であり続けるべき」だと述べた。
政権当局は、日本製鉄による買収提案を調査しており、先月、バイデン氏が買収反対の姿勢を表明していた。今回も、同社が「米国内で所有・運営される米鉄鋼会社であり続けることが不可欠」だと強調した。
在米中国大使の報道官は、米国は「一国主義と保護主義により、再三にわたり関税引き上げという間違いを犯している」と批判している。
米当局によると、中国は世界の鉄鋼の約半分を生産し、米国製の半値未満で市場に出回っている。関税引き上げにより、自動車の生産コストや建設資材価格の上昇などによるという経済リスクが懸念される。
4月17日付米『ボイス・オブ・アメリカ』:「再選に向けバイデン氏、中国の鉄鋼関税3倍へ」:
米鉄鋼業界では、低価格の中国産の影響を懸念し、労働組合からの圧力が高まっており、バイデン大統領は、中国製の鉄鋼とアルミニウムの関税を3倍に引き上げる構えだ。
2018年、トランプ前大統領は、貿易拡大法第232条に基づき、鉄鋼輸入製品への25%、アルミ製品への10%の関税措置を発表したが、トランプ氏が設定した関税は現在7.5%に留まっている。
アメリカ鉄鋼協会がまとめた国勢調査局のデータによると、中国は2023年、米国への鉄鋼輸入国第7位で、59,8万トンを米国へ輸出している。
通商拡大法232条は、ダンピングや輸入関税よりも、国家安全保障により関係しており、2020年からはパートナー国からのアルミニウムや鉄鋼などの一定商品が例外措置とされている。アルゼンチン、豪州、ブラジル、カナダ、日本、EU、メキシコ、韓国、英国の鉄鋼が、全面または一部除外、アルミニウムでは、アルゼンチン、豪州、カナダ、EU、メキシコ、英国が同様に除外となる。
バイデン氏は就任後、ペンシルバニア州の28000人を含む80万人の雇用創出目標を掲げている。現在では工業が衰退し失業率の高い、かつての製造業、鉄鋼業、石炭産業の中心部をさす「ラストベルト」が益々、選挙の重要な争点となってきている。
今月初頭、岸田首相が訪米した際、バイデン氏はUSスチールの買収提案への反対を再度繰り返し表明した。3月、この表明を受け、米鉄鋼組合がバイデン氏への支持を発表している。
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