アストラゼネカ製の新型コロナワクチン、世界のワクチンニーズを満たすのに貢献(2022/01/07)
アストラゼネカ社とオックスフォード大学が共同開発した新型コロナウイルスのワクチンは、血栓の発生リスクが他社ワクチンよりもわずかに高いことから、世界の主要な国々から敬遠されてきた。その一方で、現在、世界で最も広く、特にワクチンを供給できていない低所得国で配布されているワクチンの一つになっている。
仏メディア
『BFMTV』は、1月末までに、世界の78億人のうち少なくとも半数の人、約40億人が、新型コロナウイルスのワクチンを2回以上接種していることになるだろうと伝えている。しかし世界各地では、特にアフリカで、政治的な意思の欠如、医療資源の不足、あるいは単にワクチン不足のため、ワクチン接種に苦労している国がまだ多くあるのが現状である。こうした中、欧米や日本で敬遠されていたアストラゼネカ製の新型コロナワクチンが、世界におけるワクチン接種の要になっている。...
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『BFMTV』は、1月末までに、世界の78億人のうち少なくとも半数の人、約40億人が、新型コロナウイルスのワクチンを2回以上接種していることになるだろうと伝えている。しかし世界各地では、特にアフリカで、政治的な意思の欠如、医療資源の不足、あるいは単にワクチン不足のため、ワクチン接種に苦労している国がまだ多くあるのが現状である。こうした中、欧米や日本で敬遠されていたアストラゼネカ製の新型コロナワクチンが、世界におけるワクチン接種の要になっている。
アストラゼネカ社は2021年に、アメリカのファイザー社や中国のシノバック社と同じ割合で、25億回分の投与量を供給している。そして1月上旬、低・中所得国には約36億回分の投与が行われた。このうち、ほぼ半数がアストラゼネカ社製のワクチンだという。
-70℃で保存することが求められるファイザー社やモデルナ社のメッセンジャーRNAのワクチンに比べて、保存が容易なアストラゼネカ製のワクチンは、特に最貧国には原価で販売され、使わなくなった国からも寄贈されるなど、批判はあるものの、世界各国に幅広くワクチンを提供するという目的を完璧に果たしていると言える。欧州連合(EU)などは、アストラゼネカとの契約により、昨年注文された医薬品を今後数カ月間にわたり受け取り続け、ワクチンを待っている国々に再配送することになっている。
なお、インドのニュースサイト『レパブリックワールド』によると、日本も先月末に、アストラゼネカ製ワクチン70万回分をイランに追加送付することを発表している。林外務大臣は記者会見で、COVAXを通じてワクチンを届けると発表した。この追加供与で日本からイランへのワクチン供与は3600万回分となった。その大半がアストラゼネカ製のものである。さらに、林外務大臣は、日本はこれまでに世界23カ国にコロナワクチンを届けてきたとも明らかにした。
米紙『ウォールストリート・ジャーナル』電子版によると、医薬品へのアクセスを推進している健康や人権団体のコンソーシアム「ピープルズ・ワクチン・アライアンス」に助言する世界保健政策の専門家、モガ・カマルヤンニ氏は「アストラゼネカのワクチンは救世主だった」と述べている。
アストラゼネカ社は当初から、世界中の製造パートナーシップを通じて、自社のワクチンへの公平なアクセスを約束していた。当初は、今年中に30億回分を供給し、パンデミックが続く限り、利益なしで販売することを目標としていた。アストラゼネカの最高経営責任者であるパスカル・ソリオ氏は昨年11月、「私たちがもたらした影響について会社全体で非常に誇りに思っている」と語っている。
アストラゼネカは昨年、ファイザーやモデルナと比べれば微々たるものではあるものの、新型コロナウイルスのワクチンでは、第3四半期に初めて利益を上げたと発表した。昨年9月までにこのワクチンで22億ドルの収益を計上した同社は、一部の購入者には利益を生み出す価格で販売し始めているが、低所得国にはまだ原価で販売している。
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世界に対して閉じ始めた中国、ブラックボックス化がさらに強まる(2021/12/09)
2020年に新型コロナウイルス感染症が出現して以降、中国は国境を封鎖してきた。国内でも厳しい都市封鎖を実行し、世界のどこよりも早く経済活動を再開させた。しかし今、世界の多くの国々がコロナと共存することを選択し、再開していく中、中国だけはゼロ・コロナの方針を維持し、ますます内向きになりつつある。同時に、中国国内の情報も遮断され始めている。
米
『CNN』は、中国の内向き志向は、中国の最高指導者である習近平が、ほぼ22カ月間、中国を離れていないことでも表れている、と伝えている。また、中国と世界との間の人的交流が激減し、観光、学術、ビジネス旅行の流れが鈍化していることにも表れている。この変化は、習近平が10年近く前に共産党の指揮を執って以来、何年もかけて進められてきたものであるが、新型コロナウイルス感染症とそれを取り巻く政治によって、さらに強調され、悪化した。...
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米
『CNN』は、中国の内向き志向は、中国の最高指導者である習近平が、ほぼ22カ月間、中国を離れていないことでも表れている、と伝えている。また、中国と世界との間の人的交流が激減し、観光、学術、ビジネス旅行の流れが鈍化していることにも表れている。この変化は、習近平が10年近く前に共産党の指揮を執って以来、何年もかけて進められてきたものであるが、新型コロナウイルス感染症とそれを取り巻く政治によって、さらに強調され、悪化した。専門家たちは、中国が世界からあとどれほど遮断されたままでいられるのか、公衆衛生以外の問題があるのではないかと疑問を投げかけている。
米外交問題評議会の中国研究の上級研究員であるカール・ミンズナー氏は、「思想的には、80年代、90年代の改革開放の時代に比べて、中国は徐々に偏狭になってきており、これは習近平の新時代の特徴でもある」と述べている。「中国の伝統を、外国の価値観、特に西洋の価値観に対するイデオロギー的な盾として展開する戦略的な取り組み」が取られてきたという。2012年末の就任以来、習近平は、民主主義、報道の自由、司法の独立など、西洋の価値観の「浸透」を繰り返し警告し、外国のNGOや教会、西洋の教科書などを取り締まってきた。
米『ウォールストリート・ジャーナル』も、中国共産党は長い間、情報を厳しく管理してきたが、習近平国家主席の下でさらに強化されていると報じている。世界での存在感が高まる一方で、この1年で中国国内はますます不透明になっているという。
中でも、新しいデータセキュリティ法が9月に施行されたことにより、外国の企業や投資家は、供給品や財務諸表などの情報を入手しにくくなっている。中国領海内の船舶位置情報を提供する複数の企業が、国外への情報提供を中止したため、現地の港湾活動を把握することが困難になった。中国当局は、石炭の使用に関する情報も制限し、公式の司法データベースからは、国家の安全をおびやかすとされる事件に関連する文書を削除し、他国との学術交流も停止した。
日本の国際基督教大学の政治・国際関係学上級准教授であるスティーブン・ナギ氏は、「中国は常に大きなブラックボックスだった」が、情報へのアクセスが減少していることで、外国人が中国で何が起こっているのかを理解することがさらに難しくなっており、「ブラックボックス」化が進んでいると指摘している。
中国在住の経営コンサルタントであるキャメロン・ジョンソン氏は、「中国国内で何が起きているのか、また中国の国家としての目的や目標が見えず、それが不信感につながっている」と述べている。なお、ビジネスマンや政治アナリストによると、中国が秘密主義を強めているのは、単一の政策によるものではなく、パンデミックへの対応、データセキュリティへの懸念の高まり、外部から疑惑の目を向けられている政治的環境など、さまざまな要因が重なっているという。
また、『ウォールストリート・ジャーナル』は、習近平氏は、米国をはじめとする民主主義諸国からの反感が高まる中、これまでの謙虚さや開放性を重視する姿勢から一転して、国の誇りや自給自足を重視する姿勢を打ち出した、と伝えている。
9月1日に施行された新しいデータセキュリティ法が特に情報収集を困難にしている。これは、中国政府が潜在的な機密データの海外移転に懸念を抱いていることを受けた法律である。この法律では、データの収集、保存、使用、送信など、データに関連するほぼすべての活動が政府の監視対象となっている。この法律が成立して以来、中国本土の企業は、金融、医療、公共交通、インフラなどの戦略的分野における多国籍企業との情報共有に消極的になっているという。当局は、何が機密情報にあたるのかを曖昧にしているため、中国企業にとっては、外国の取引先と何を共有できるのかが不明確になってしまっているのだ。
政治アナリストや米国政府関係者によると、このような不透明さは、短期的にも長期的にも中国と米国の間の緊張を高める可能性が高いと指摘している。
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