フランスのハッキング対策(2016/12/16)
アメリカの選挙でのサイバー攻撃問題が発生していることもあり、近年サイバー攻撃に危機感を抱くフランス政府も来年の大統領・議会選挙を控えて政府内のサイバーセキュリティ対策を強化しているという。だがその内容は、IT技術者には常識と思われる範囲のものであり、その効果が定かではないという。
12月15日付米国
『ABCニュース』 (AP通信引用)は「米選挙のハッキングにより、仏がサイバー攻撃対策」との見出しで次のように報道している。
フランスの国家安全当局は、米国の選挙でのコンピュータハッキングやメール流出問題での騒動を受け、前例のない、サイバー攻撃への対策をとっている。来年の大統領・議会選挙において社会党、保守派政党、などを自力でサイバー攻撃から守られるようにするのが狙いだという。...
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12月15日付米国
『ABCニュース』 (AP通信引用)は「米選挙のハッキングにより、仏がサイバー攻撃対策」との見出しで次のように報道している。
フランスの国家安全当局は、米国の選挙でのコンピュータハッキングやメール流出問題での騒動を受け、前例のない、サイバー攻撃への対策をとっている。来年の大統領・議会選挙において社会党、保守派政党、などを自力でサイバー攻撃から守られるようにするのが狙いだという。
米オバマ政権は民主党へのサイバー攻撃にはロシアが関与していると批判し、CIAに至ってはロシアの意図はトランプ氏を大統領選挙で勝利されることにあったとまで言及している。また別の諜報機関からは、ロシアの意図は米国政治の妨害とは別にあるとか、共和党顧問のメールもウィルスにやられたとの情報もあるという。
近年、フランスではある特定の政党が高度なサイバー攻撃に複数合っており、明らかに組織的犯罪であり、政治を乱す恐れがある。昨年、TV放送が真っ暗となり、国際ネットワークのソーシャルメディア上がイスラム過激派のプロパガンダに乗っ取られた事件により、フランスの警戒態勢は強化されたという。
2009年に設立された「ANSSI」と呼ばれるフランスのサイバーセキュリティ機関は、通常政治や選挙に介入しないのだが、この事件の際には職務範囲にとどまらず、放送局の救済に介入、20人の職員を派遣し、ITシステムの再構築を行ったという。この事件はイスラム過激派によるものでないと判明したが、さらに高度なロシアを拠点とするハッカーによるものだとする見方もあり同機関の専門家の中でも意見が割れたという。
ANSSI専門家による非公開のサイバー安全対策セミナーでは、参加者に対し、近年のサイバー攻撃の事例を紹介、セキュリティへの助言を行っているが政党からの参加者は、極右政党の国民戦線のみだったという。セミナーでは、政府機関勤務者への安全ガイド、IT対策、「サービス妨害攻撃」(大量のデータを送信することで企業サーバーに障害を起こしユーザーのアクセスを不可能にする)の説明、マルウェアやコンピュータウィルス情報が入ったUSBフラッシュメモリなどが配られたという。また、「ANSSI」のホームページからは、海外出張の際に盗聴の危険のある「ある特定の国々、ホテル」での電話使用教本が入手できるという。
しかし、 これらのアドバイスはITに精通した技術者には常識の範囲。フランスの大きな政党は企業のようにマネージメントされおり、IT環境については2流なのだという。
他国では先週、英国の諜報機関「MI6 」が、民主主義 を脅威にさらすサイバー攻撃への警戒を発信、2017年の総選挙を控えるドイツの外国諜報機関長も、政治システムを揺るがすサイバー攻撃への警戒を求めている。
同日付ギリシャ
『Phantis』 (VOA引用)は「フランスはサイバー機関でサイバー攻撃から選挙を守る」との見出しで次のように報道している。
フランス国家安全当局は米国の選挙戦でのコンピュータハッキング攻撃により、フランスが民主主義の危機にあるとの不安を抱いている。サイバーセキュリティ機関の頭文字を取った「ANSSI」は政治や選挙に介入しないのが常だが、米国の事例を受け、仏政府は選挙への安全体制政党の改革の必要性の高まりから、同サイバー機関の専門家を招いたセミナーを行ったという。このフランスの対策は、ロシアのプーチン政権の脅威により欧州が分裂の危機の渦中にある中行われることとなった。
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キューバでネット高速化へ(2016/12/13)
米Google社が、キューバ国営通信プロバイダー「ETECSA」と提携、旧式通信インフラのキューバでのサービス向上を目指す。「Google Global Cache」を導入しキューバ国内にデータを置くことにより「YouTube」などの人気コンテンツへのアクセスを10倍高速化できるという。キューバでは自宅でのネットへの接続は法律で禁止されており、一般ユーザーは高額の公衆WIFIを使用しており、ファイルのダウンロードにでも長時間がかかるという。今年、米オバマ大統領は冷戦期の宿敵であったキューバとの国交を回復させたが、キューバ当局は、対キューバ強硬派とみられるトランプ次期政権移行前に、この合意で対米国交正常化への弾みをつけたい意図があるとみられている。キューバ国内のネット接続向上には強硬派も含め期待がかかっており、ゼネラル・エレクトリック社など他の企業もキューバ側との交渉をしているとの情報もあるという。
12月12日付英国
『BBC』 は「キューバがグーグルとネット接続高速化で契約」との見出しで次のように報道している。
キューバの国営テレコム企業「ETECSA」がネット高速化でグーグル社と契約。国内にサーバーを設置し、グーグルのメールサービスやユーチューブ等のサービス利用の向上を図る狙い。オバマ政権最後一か月を切っての合意となったが、今後次期政権が対キューバ政策を変更するかは不明。
トランプ次期大統領は、先月の当選以来、共産国に対しては好意的とも敵対的と言える発言をしており、今後の政策がキューバ側にどう影響するかは未知数である。...
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12月12日付英国
『BBC』 は「キューバがグーグルとネット接続高速化で契約」との見出しで次のように報道している。
キューバの国営テレコム企業「ETECSA」がネット高速化でグーグル社と契約。国内にサーバーを設置し、グーグルのメールサービスやユーチューブ等のサービス利用の向上を図る狙い。オバマ政権最後一か月を切っての合意となったが、今後次期政権が対キューバ政策を変更するかは不明。
トランプ次期大統領は、先月の当選以来、共産国に対しては好意的とも敵対的と言える発言をしており、今後の政策がキューバ側にどう影響するかは未知数である。
世界的にもネット接続の後進国のキューバ国民は概ね状況が改善するが利便性がすぐに良くなるという訳でなく、大多数の国民は自宅でネット接続がなく、高額なWIFI接続のあるスポットでの接続を余儀なくされている。グーグルは声明で「人気のユーチューブなどの高帯域通信で接続への待ち時間が減ると期待できる」とする。
同日付キューバ
『キューバSI』 は「グーグルとキューバテレコムが契約」との見出しで次のように報道している。
月曜、ネットの高速接続を可能とするため、グーグルとテレコム国営企業が合意。グーグルの親会社アルファベット社のエリック・シュミット取締役会長がETECSAのマイラ・マリン社長と契約を交わした。ユーザーへのサービス向上のためサーバーを国内に複数設置することで、Gメールやユーチューブなどのコンテンツにも対応可能とする。テレコムの技術者は「キャッシュメモリの向上は期待できるが、地方回線を使用したメール送受信には向かない」としている。双方はノーコメントとしている。
オバマ大統領は2年前から、キューバとの国交正常化への重点政策として、インターネット接続の向上を挙げている。オバマ大統領の任期満了が来月と迫る中、滞る貿易協定へ向けた締めとして両国当局がこの契約にこぎつけた。だが、徐々に回復してきた両国の関係は次期大統領トランプ氏により、意図も簡単に元に戻ってしまう恐れがある。
同日付キューバ
『プレンザ ・ラティーナ』 は「グーグルがキューバ国内サービスで合意」との見出しで次のように報道している。
キューバのテレコム企業とグーグルが国内のグーグル・グローバル・キャッシュ(GGC)で合意。
国内ユーザのネット接続高速化と「ETECSA」の海外ネットワークへのアクセス向上が期待できる。
グーグル社は2014年からキューバ市場に進出し、無料ブラウザ「グーグルクロム」やアプリやゲームがインストールできる「グーグルプレイストア」及びウェブ解析ツール「グーグルアナリティクス」を公開、昨年10月には、Webアプリ「クロームウェブストア」を公開していた。
同日付米国
『ABCニュース』 (AP通信引用)は「グーグルとキューバがコンテンツ高速接続化で合意」との見出しで次のように報道している。
キューバ国内で グーグル社人気コンテンツ接続が可能となる。キューバ国民は自宅でのネット接続が法律で禁止されており、平均月収ほどと高額な公衆WIFI接続を利用しなければならず、ファイルのダウロードや動画配信も非常に遅いという。この契約を機に画期的に旧インフラが改善されたり公衆の接続が良くなる訳ではないが、グーグルのユーチューブなどは10倍の速度となる。他の企業によるコンテンツの速度は現状維持となる。
キューバ当局は、来月のトランプ政権移行前に、この合意で対米国交正常化への弾みをつけたい意図があるとみられる。今回の合意は、1週間を切って公開された。当局筋によると他にもゼネラル・エレクトリック社など各社が交渉を行っているという。
キューバ国民のネット情報へのアクセスの向上で、対キューバ強硬派には攻撃材料となる情報がもたらされやも知れないが、両者側ともにキューバのネット接続向上の必要性を認識しており、トランプ次期政権での動きが注目される。
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