アメリカの選挙でのサイバー攻撃問題が発生していることもあり、近年サイバー攻撃に危機感を抱くフランス政府も来年の大統領・議会選挙を控えて政府内のサイバーセキュリティ対策を強化しているという。だがその内容は、IT技術者には常識と思われる範囲のものであり、その効果が定かではないという。
12月15日付米国
『ABCニュース』(AP通信引用)は「米選挙のハッキングにより、仏がサイバー攻撃対策」との見出しで次のように報道している。
フランスの国家安全当局は、米国の選挙でのコンピュータハッキングやメール流出問題での騒動を受け、前例のない、サイバー攻撃への対策をとっている。来年の大統領・議会選挙において社会党、保守派政党、などを自力でサイバー攻撃から守られるようにするのが狙いだという。...
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12月15日付米国
『ABCニュース』(AP通信引用)は「米選挙のハッキングにより、仏がサイバー攻撃対策」との見出しで次のように報道している。
フランスの国家安全当局は、米国の選挙でのコンピュータハッキングやメール流出問題での騒動を受け、前例のない、サイバー攻撃への対策をとっている。来年の大統領・議会選挙において社会党、保守派政党、などを自力でサイバー攻撃から守られるようにするのが狙いだという。
米オバマ政権は民主党へのサイバー攻撃にはロシアが関与していると批判し、CIAに至ってはロシアの意図はトランプ氏を大統領選挙で勝利されることにあったとまで言及している。また別の諜報機関からは、ロシアの意図は米国政治の妨害とは別にあるとか、共和党顧問のメールもウィルスにやられたとの情報もあるという。
近年、フランスではある特定の政党が高度なサイバー攻撃に複数合っており、明らかに組織的犯罪であり、政治を乱す恐れがある。昨年、TV放送が真っ暗となり、国際ネットワークのソーシャルメディア上がイスラム過激派のプロパガンダに乗っ取られた事件により、フランスの警戒態勢は強化されたという。
2009年に設立された「ANSSI」と呼ばれるフランスのサイバーセキュリティ機関は、通常政治や選挙に介入しないのだが、この事件の際には職務範囲にとどまらず、放送局の救済に介入、20人の職員を派遣し、ITシステムの再構築を行ったという。この事件はイスラム過激派によるものでないと判明したが、さらに高度なロシアを拠点とするハッカーによるものだとする見方もあり同機関の専門家の中でも意見が割れたという。
ANSSI専門家による非公開のサイバー安全対策セミナーでは、参加者に対し、近年のサイバー攻撃の事例を紹介、セキュリティへの助言を行っているが政党からの参加者は、極右政党の国民戦線のみだったという。セミナーでは、政府機関勤務者への安全ガイド、IT対策、「サービス妨害攻撃」(大量のデータを送信することで企業サーバーに障害を起こしユーザーのアクセスを不可能にする)の説明、マルウェアやコンピュータウィルス情報が入ったUSBフラッシュメモリなどが配られたという。また、「ANSSI」のホームページからは、海外出張の際に盗聴の危険のある「ある特定の国々、ホテル」での電話使用教本が入手できるという。
しかし、 これらのアドバイスはITに精通した技術者には常識の範囲。フランスの大きな政党は企業のようにマネージメントされおり、IT環境については2流なのだという。
他国では先週、英国の諜報機関「MI6 」が、民主主義 を脅威にさらすサイバー攻撃への警戒を発信、2017年の総選挙を控えるドイツの外国諜報機関長も、政治システムを揺るがすサイバー攻撃への警戒を求めている。
同日付ギリシャ
『Phantis』(VOA引用)は「フランスはサイバー機関でサイバー攻撃から選挙を守る」との見出しで次のように報道している。
フランス国家安全当局は米国の選挙戦でのコンピュータハッキング攻撃により、フランスが民主主義の危機にあるとの不安を抱いている。サイバーセキュリティ機関の頭文字を取った「ANSSI」は政治や選挙に介入しないのが常だが、米国の事例を受け、仏政府は選挙への安全体制政党の改革の必要性の高まりから、同サイバー機関の専門家を招いたセミナーを行ったという。このフランスの対策は、ロシアのプーチン政権の脅威により欧州が分裂の危機の渦中にある中行われることとなった。
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