IOCのバッハ会長がついに東京オリンピック開催延期の可能性に言及、但し中止はないと断言【米メディア】
3月17日付Globali「
IOC;ついに東京オリンピック開催の可否につき各国際競技団体と協議開始か?」と報じたが、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長はその後のインタビューで、“予定どおりの開催に最大支援していく”と強調した。しかし、その数日後に、新型ウィルス感染問題のより深刻化で、欧米含め多くの国で国境封鎖、航空便乗り入れ拒否、競技施設の閉鎖等の政策が取られるに至り、同会長としても、いよいよ“延期”についての検討を余儀なくされている模様である。但し、依然“中止はない”と断言している。
3月20日付
『USAトゥデイ』紙:「トーマス・バッハ会長、新型コロナウィルス感染問題深刻化に伴い、IOCとしても東京オリンピック開催についての代替案を“当然”検討していると表明」
IOCトーマス・バッハ会長は3月19日、新型コロナウィルス感染問題で東京オリンピックを夏季に開催することが困難となる場合に備えて、IOCとしても“当然”代替案を検討していると表明した。
『ニューヨーク・タイムズ』紙のインタビューに答えたものだが、しかし、同会長は、代替案の中に中止という案はないと断言している。...
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3月20日付
『USAトゥデイ』紙:「トーマス・バッハ会長、新型コロナウィルス感染問題深刻化に伴い、IOCとしても東京オリンピック開催についての代替案を“当然”検討していると表明」
IOCトーマス・バッハ会長は3月19日、新型コロナウィルス感染問題で東京オリンピックを夏季に開催することが困難となる場合に備えて、IOCとしても“当然”代替案を検討していると表明した。
『ニューヨーク・タイムズ』紙のインタビューに答えたものだが、しかし、同会長は、代替案の中に中止という案はないと断言している。
更に、同会長は、“新型コロナウィルス感染問題は時々刻々と事態が変化している”とした上で、“日程上、中止や延期を決断せねばならない他のスポーツイベントと違って、東京オリンピック開会式の7月24日までまだ4ヵ月半あり、今結論を出す時ではない”と強調した。
同会長は、フェンシング選手時代、米国主導で行われた1980年モスクワオリンピックのボイコットに遭っていることもあって、今の選手からオリンピックという競争の場を奪うことに非常に神経質となっている。
ただ、現状では、米国含めて、多くのトレーニングセンター、大学、ジム等、選手が練習を積む場所が閉鎖に追い込まれている。
そこで、選手からも世論からも上がり始めているのが、このままオリンピックに向けて練習を続けていっても良いのだろうか、という疑問の声である。
これについて、同会長は英国『タイムズ』紙のインタビューの中で、“根拠のないことは言いたくない”とした上で、“IOCとしては、全ての選手、また、世界中のオリンピック観戦者への責任があるので、大会の中止という選択肢は考えようがない”と吐露している。
なお、バッハ会長が、中止の件は別にして、延期の可能性について触れたことに呼応するかのように、ホスト国の安倍晋三首相が今週初め、“オリンピック・パラリンピックを完全な形で挙行したい”と強調するに当たって、初めて“予定どおりの開催”という表現を使わなかったことが意味深い。
一方、同日付『Foxニュース』(『AP通信』配信):「東京オリンピック開催の可否が問われる中、聖火が日本到着」
新型コロナウィルス感染問題のため、東京オリンピック開催の可否が問われる中、ギリシャから空輸された聖火が3月20日、“東京2020オリンピックトーチリレー”と機体に描かれた特別機で日本に到着した。
規模が縮小された聖火到着式で、東京オリンピック組織委員会の森喜朗会長は、“56年振りに再び聖火が日本にやってきた”と話し、“聖火リレーをとおして、多くの人達に希望の光を届けられるよう望む”と表明した。
同会長は、1964年に開かれた前回の東京大会に言及した訳だが、実は1940年にも東京大会が予定されていたが、第二次世界大戦の最中であったため、中止されている。
そこで同会長は更に、“IOC、日本政府、東京都とともに、世界保健機関(WHO)からの助言を踏まえて、東京大会を安全に執り行う”と強調した。
世界中で猛威を振るう新型コロナウィルスは、感染者24万人、また、死者も1万人を超える程、感染が拡大している。
かかる状況下、『共同通信』が3月16日に公表した世論調査の結果では、実に回答者の69.9%の人が、東京オリンピックの予定どおりの開催に疑問の声を上げている。
ただ、万が一、東京オリンピック・パラリンピックが予定どおり始まらなくとも、聖火は“復興”のシンボルとして使用され、聖火リレーされる各々の場所で公開されることになる。
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安倍首相;G-7首脳の了解も得て東京オリンピック開催延期検討開始か?【米メディア】
3月17日付Globali「
IOC;ついに東京オリンピック開催の可否につき各国際競技団体と協議開始か?」で触れたとおり、新型コロナウィルスの感染拡大の勢いがまったく衰えないことから、国際オリンピック委員会(IOC)もついに、“予定どおり”開催できない場合に備えて、関係者と協議に入るものとみられる。そして今度は、数日前まで頑なに“予定どおりの開催”を繰り返していた安倍晋三首相が、3月16日に行った主要7ヵ国(G-7)首脳とのテレビ会議を踏まえて、大会延期も止む無しとのニュアンスの発言をするようになったと米メディアが報じた。
3月17日付
『タイム』誌(
『ブルームバーグ』配信):「安倍晋三首相が初めて、東京オリンピック開催延期をほのめかす発言」
安倍晋三首相は3月16日晩、パンデミック(世界流行)の勢いが止まらない新型コロナウィルス問題に鑑み、東京オリンピック開催延期止む無しとのニュアンスの発言を行った。
僅か数日前まで、同首相、東京オリンピック組織委員会、更にはホスト役である小池百合子東京都知事も異口同音に、同大会を予定どおり開催すると繰り返していた。...
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3月17日付
『タイム』誌(
『ブルームバーグ』配信):「安倍晋三首相が初めて、東京オリンピック開催延期をほのめかす発言」
安倍晋三首相は3月16日晩、パンデミック(世界流行)の勢いが止まらない新型コロナウィルス問題に鑑み、東京オリンピック開催延期止む無しとのニュアンスの発言を行った。
僅か数日前まで、同首相、東京オリンピック組織委員会、更にはホスト役である小池百合子東京都知事も異口同音に、同大会を予定どおり開催すると繰り返していた。
しかし、3月16日に行われたG-7首脳とのテレビ会議の後の記者会見で、“人類が新型コロナウィルスに打ち勝つ証しとして、完全な形での開催を目指したい”と述べた上で、“G-7首脳からも支持を得た”と言及した。
記者団から、同大会開催時期について質問された同首相は、直接答える代わりに(すなわち、予定どおり開催する、とは断言せず)、上記と同様の趣旨の説明をするに留まった。
現実問題、ウィルス禍のため、多くの競技のオリンピック代表選考会が中止、延期、あるいは無観客での実施に追い込まれている。
更に、同大会期間中は、選手団、コーチ等関係者、メディア、また観戦者含めた数十万人が東京にやってくることから、予定どおり開催することに疑問の声が上がっており、直近の世論調査では、回答者の3分の2が同大会を延期すべきと答えている。
ただ、同首相の東京オリンピックへ傾ける情熱は強く、2013年のブエノスアイレス(アルゼンチン)で開催された、2020年大会開催場所を決めるIOC総会に直接足を運んだだけでなく、2016年リオデジャネイロオリンピック閉会式には、ビデオゲームのスーパーマリオの扮装で突如現れるというサプライズ登場まで演出している。
そこで、米情報・広告戦略サービス会社、テネオ・インテリジェンス(2011年設立)の日本問題研究専門家のトバイアス・ハリス氏の解説によれば、“ウィルス禍の早い段階で同大会の延期を言い出すと、政治責任を問われかねない”とした上で、“今や世界的危機となってしまった現在では、日本国民の生命を守るために延期は必要、と説明できる状況になりつつあるとの考えに至っているはずだ”という。
『共同通信』は、東京オリンピック組織委員会の要請で、大会を盛り上げる花形と言われる聖火リレーについて、異例とも言える無観客での実施を各地の関係者に要請している、と報じる程である。
しかし、橋本聖子五輪担当相は3月17日、“首相の発言は延期を含んだものではない”と重ねて強調し、また、菅義偉官房長官も、粛々と準備することに変わりはない、とコメントした。
なお、フランス・オリンピック委員会委員長が過日、7月に予定どおり開催するためには、ウィルス禍が5月末までに治まっていることが必要だとコメントしたことについて問われた同相は、同大会をどうするかの決定権限はあくまでIOCにある、と繰り返すのみであった。
一方、同日付『AP通信』:「東京オリンピックが中止、あるいは延期となれば、安倍首相に大きな痛手」
安倍首相の東京オリンピックへの思い入れは強く、首相在任期間歴代最長の同首相としては、同大会開催で任期の絶頂期を迎えようと望んでいたとみられる。
しかし、同大会開催に当たって懸念していた新型コロナウィルスについて、世界保健機関(WHO)がついにパンデミックと認めたこと、更には、ウィルス禍で経済が大きなダメージを被っていることも、同首相にとって非常に激しい逆風となっている。
早稲田大学のデイビッド・レーニー教授(日本政治及び国際関係専門)は『AP通信』のインタビューに答えて、“もし同大会が1年延期された場合、安倍首相は恐らく首相に留まることはできないだろうことを心配している”とした上で、“従って、復興五輪として日本の素晴らしい姿を世界に見せたい、との望みを堅持したいと考えているはずだ”と分析している。
なお、今週発表された『共同通信』の世論調査によると、安倍首相の支持率が8%上昇して49.7%だった一方、回答者の69.9%が同大会の予定どおりの開催に“反対”していて、“賛成”は僅か4分の1程であった。
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