2週間前の前回報告時より、世界の感染者及び死者とも従来より少々鈍化の1億1,742万4,768人(+535万2,636人)、260万8,231人(+12万4,818人)、ただ、致死率は2.2%と横ばいとなっている。これまで、COVID-19用ワクチンは世界で3億2千万人近く接種されていること、また、変異株ウィルスにも効果が認められていることから、伸びの鈍化につながっているとみられる(米ジョンズ・ホプキンズ大の3月10日午後3時現在の集計データ引用)。
3月10日付
『ブルームバーグ』オンラインニュース他:「COVID-19感染問題に関わる直近の状況」
<ハイライト>
●ワクチン:(1)世界で既に3億1,900万人余りが接種。
(2)独バイオNテック・米ファイザーが共同開発したワクチンは、ブラジル・英国・南アフリカで発見された変異株ウィルスにも有効との結果。また、両社は来年には30億回分生産・供給可能。
(3)欧州連合(EU)、域内外移動の旅行者用に「COVID-19ワクチン・パスポート」発行。中国も「デジタル・ワクチン証明書」発行を発表。
●米国:(1)米航空会社、感染者数鈍化に伴い、バイデン政権に「ワクチン証明書」発行を強く要求。
(2)ニューヨーク州、ワクチン確保増によって接種対象を60歳まで引き下げ。
(3)ロスアンゼルス、オンライン・対面授業の併用、マスク着用等の条件の下、今後数週間内での学校再開を決定。
●ブラジル:感染者数・死者数とも依然増加。変異株ウィルスが更に拍車。ワクチン確保も遅れていて、深刻な状況。
●英国:220億ポンド(306億ドル、約3兆3,350億円)も注ぎ込んだCOVID-19検疫・結果追跡プログラムが、感染率削減に全く貢献していなかったことが判明。
●ドイツ:産業界、アンゲラ・メルケル首相(66歳)の希望に沿って全従業員向けのワクチン接種積極推進方針受け入れ表明。
●メキシコ:死者数が19万1千人超と世界3位に。
●日本:今夏の東京オリンピックの海外からの観戦者受け入れを断念。
●中国:新規感染者6人は全て海外からの帰国・入国者。国内の感染者は2月6日以降皆無。
●香港:キャセイパシフィック航空、216億5千万香港ドル(28億ドル、約3,050億円)の純損失計上。
●ニュージーランド:全人口の40%に当たる、感染した場合にリスクが高い200万人向けのワクチンを今後3~4ヵ月で手当ての目処。
<ワクチン>
・3月9日現在、世界で既に3億1,900万人超がワクチン接種済み。
・独バイオNテック(2008年設立)及び米ファイザー(1849年設立)が共同開発したワクチンは、ブラジル・英国・南アフリカで発見された変異株ウィルスにも有効との結果。
・バイオNテックの創業者兼CEOのウーグル・サヒン氏(55歳)は『ブルームバーグ』のインタビューに答えて、“更に生産規模拡大の目処をつけられた”とし、“来年には30億回分生産・供給が可能となる”とコメント。
・なお、両社のワクチンは、今年中に20億回分の供給を確約済み。
・EUが、域内外移動の旅行者用に「COVID-19ワクチン・パスポート」発行。対象は、EU承認分に限らず、中国・ロシア製ワクチンも含む。
・中国も「デジタル・ワクチン証明書」発行を発表。国内で最も利用されているメッセージ・アプリWeChat(微信、2010年テンセントによって開発)上で表示。
<米国>(感染者2,940万2,796人、死者53万3,119人、致死率1.8%)
・米航空会社が旅行会社及びその従業員とともに、バイデン政権に対して、感染者増加率鈍化に伴い、「ワクチン証明書」発行を強く要求。旅行業界復活のため、米国が“リーダーにならなければならない”と強調。
・ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事(63歳)が3月9日、ワクチン確保増に伴い、3月10日以降接種対象を60歳まで引き下げると発表。また、3月17日以降は、公務員・非営利団体の緊急作業員・公共建物の建築労働者も対象。
・ロスアンゼルス統一学区(1961年設立)と同教員協会(1970年設立)は、全生徒・教職員のCOVID-19事前検疫、オンライン・対面授業の併用、マスク着用、生徒・教員・訪問者間のソーシャルディスタンシング保持等の条件の下、今後数週間内に学校を再開することで暫定合意。
<ブラジル>(感染者1,112万5,017人、死者26万8,568人、致死率2.4%)
・保健省が3月9日、感染者数は世界3位、死者数は世界2位と依然最悪の状況と発表。
・年度末及びカーニバル・シーズンに加えて、変異株ウィルスが更に拍車。全国の病院がひっ迫状態。ワクチン確保も遅れていて、深刻な状況。
<英国>(感染者422万8,998人、死者12万4,797人、致死率3.0%)
・同国が採用したCOVID-19検疫・結果追跡プログラムが、感染率削減に全く貢献していなかったことが判明。
・庶民院(下院に相当)公費監視委員会報告書によると、同プログラムには“想像を絶する”220億ポンドもの大金を投下済み。
・同委員会は、英国における2度目、あるいは3度目の都市封鎖措置が必要となくなるようにするためのプログラムだとした当初の“肝心な約束”が全く果たされていないと酷評。
・同委員会のメグ・ヒリアー委員長(52歳)は、“国民は行政府の現金引き出し機ではない”として、感染症拡大阻止に全く効果のない巨額投資の無駄について非難。
<ドイツ>(感染者252万609人、死者7万2,981人、致死率2.9%)
・ドイツを代表する4産業団体が、メルケル首相との不和を解決して、今後所属する全従業員向けのワクチン接種を積極的に推進していくとの方針を発表。
・同団体声明で、“全市民にワクチンが行き渡るまで、連邦及び地方政府のワクチン接種推進業務に協力していく”と表明。同団体に所属する従業員は、ドイツ全体の90%超。
・同首相は先週、産業団体側が当初提示していたワクチン接種計画が不十分としてテレビ会議を見送り。
<メキシコ>(感染者213万7,884人、死者19万1,789人、致死率9.0%)
・死者数増で世界3位に(1位米国、2位ブラジル)。
・保健省によると、総合病院の26%、また人工呼吸器を備えた病床の30%がひっ迫した状況。
・なお、ワクチンは310万回分を確保済みで、これまでにワクチンを2回接種した人は60万5千人余り。
<日本>(感染者44万671人、死者8,299人、致死率1.9%)
・『共同通信』報道によると、日本政府が3月9日、今夏開催予定の東京オリンピックに海外からの一般観戦者は受け入れないことを決定。世界で依然COVID-19感染問題が収束していないことと、新たに変異株ウィルスが蔓延し始めていることがその理由。
<中国>(感染者9万2人、死者4,636人、致死率5.2%)
・3月9日に新規感染者が5人出たが、全て海外からの帰国者・入国者で、国内の感染者は2月6日以降発生皆無。
・国境及び省境の制限、広範囲の感染症検疫、徹底的な都市封鎖措置等が奏功しているもので、多くの市民が帰郷等で大移動が起きた2月中旬の春節時にも感染率は減少。
・3月5日に開催された全国人民代表大会(中国の最高権力機関・立法機関)において、出席した代表は、習近平国家主席(シー・チンピン、67歳)及び李克強首相(リー・クーチアン、65歳)を除いて、全員マスク着用。
<香港>(感染者1万1,121人、死者202人、致死率1.8%)
・キャセイパシフィック航空(1946年設立)が、COVID-19問題に伴う渡航禁止措置によって、通年で216億5千万香港ドル(28億ドル、約3,050億円)の純損失を計上。
・70有余年の歴史の中で、“最悪の1年”だったと報告。
<ニュージーランド>(感染者2,410人、死者26人、致死率1.1%)
・同国はCOVID-19感染防止策が最もうまく運んでいて、『ブルームバーグ』による景気回復度評価でも最高値。
・更にこの程、全人口の40%に当たる、感染した場合にリスクが高い200万人向けのワクチンを今後3~4ヵ月間で手当てできる目処がついたと発表。
・対象者には、65歳以上や基礎疾患がある人が含まれ、今月末から接種開始予定。
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2月7日付
『AP通信』:「森会長の失言を受けて、東京大会開催中止の声が増加」
今夏に予定されている東京大会に関し、開催に反対する世論の声が益々高まっている。
これは、先週半ばに、森喜朗大会組織委員会会長が女性差別と取れる唾棄すべき失言をしたことが影響しているとみられる。
先週末に『共同通信』が電話による世論調査を実施したところ、回答者のうちの82%以上が大会の中止、もしくは延期を望むとする結果となった。
予定どおりの開催を望むのは、僅か14.5%であった。
ただ、大会組織委員会や国際オリンピック委員会(IOC)の見解では、今夏に延期された大会が再延期されることはなく、今夏開催されなければ中止の扱いになるとする。
また、同調査の結果、森会長について、主催者代表として“不適格”とする声が60%近くに上っている。
しかし、同会長は、失言を撤回して謝罪した際、同会長職を辞する考えはないとしている。
そして、IOCも東京大会組織委員会も同会長が会長職に留まることを支持しているものの、新型コロナウィルス(COVID-19)感染問題の最中にあって、大会開催に漕ぎ着ける上で数えきれない問題を抱えているのが実態である。
両組織は先週、大会開催に当たっての“戦略集”なる冊子をリリースして、オリンピック・パラリンピック併せて1万5,400人のアスリート、及び数万人に及ぶメディア、スポンサーの関係者らをどう受け入れていくかについて明らかにしている。
そして、同冊子に記された取り扱い規定について、4月及び6月に更に段階的に詳しく取り決めていく意向とする。
ただ、同冊子の中で、“必要と思われる対策を施しても、リスクや影響点を全て取り除くことは難しい”とした上で、“主催者側が最適と考える諸対策を信頼してもらい、関係者全員が遵守してくれることを願う”と言及している。
2月8日付『ロイター通信』:「世論調査:ほぼ60%が森氏は大会組織委員会トップとして不適格と回答」
『共同通信』が2月7日に公表した世論調査によると、ほぼ60%の回答者が森氏を東京大会組織委員会会長として不適格と考えているという。
この調査が実施される前の先週半ば、同氏は大会関係者との会合の席上、女性差別と受け取られる発言をした。
問題視する声が上がるや否や、同氏は謝罪して発言を撤回している。
しかし、その発言自体は、ソーシャルメディアを通じて瞬く間に国内外に拡散し、SNS上で同氏解任の声が大きくなっている。
テニスプレイヤーの大坂なおみ選手も、“無知”との言葉で非難した。
なお、『共同通信』の調査には1,023人が回答し、森氏が適任としたのは僅か6.8%であった。
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