2月25、26日に中国の上海で開催されたG20(20ヶ国・地域財務相・中央銀行総裁会議)は、年初から世界の株式市場、商品市場の混乱が続いたため、主要20ヶ国が世界経済を支えるために何らかの政策で合意をするのか期待されたが、今後の政策の方向性についての合意が共同声明で明らかになったものの、具体的な景気刺激策合意まで踏み込むことは出来なかった。
G20声明は①最近の市場変動は世界経済の実態を反映していないが、今後の経済は下振れリスクがある。②金融政策だけで成長は困難なので、財政・構造改革を含め総動員する。③通貨の切り下げ競争は行わない。の三つに集約される。
市場ではもともと具体的な政策合意までは難しいだろうと予想されていたため、上記の今後の政策の方向性の合意だけでも十分評価出来るという見方も多いく、市場は一旦は落ち着きを取り戻すのではないかと見られている。
③で牽制されたため、今後中国人民元の切り下げは難しくなるであろうが、これは日銀が日本円を今後円安に誘導することを牽制するものでもあると見られている。従って黒田日銀が更にマイナス金利を引き下げる場合、円安誘導と見られないようにしなければならない。
海外のメディアは関心が薄かったのかG20についてあまり大きく報じられていない。
2月27日付
『ボイスオブアメリカ』は、「G20、経済成長促進と通貨切り下げ回避を約す」という見出しで、G20で世界経済成長のためにあらゆる政策手段を総動員することと、輸出促進のため通貨切り下げ競争は回避することを合意したと報じた。G20の声明では、不安定な資本移動、欧州の難民危機、英国EU離脱の可能性で世界経済が不安定化していることが確認されたと報じている。
2月27日付
『ロイター通信』は、「G20の手詰まりの後、関心は景気回復の兆候へ」という見出しで、G20で新しい景気刺激策への合意が出来なかったので、投資家は今週出て来る中国、日本、欧州、米国の経済統計が景気回復の兆候を示しているかに関心を映していると報じている。...
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2月27日付
『ボイスオブアメリカ』は、「G20、経済成長促進と通貨切り下げ回避を約す」という見出しで、G20で世界経済成長のためにあらゆる政策手段を総動員することと、輸出促進のため通貨切り下げ競争は回避することを合意したと報じた。G20の声明では、不安定な資本移動、欧州の難民危機、英国EU離脱の可能性で世界経済が不安定化していることが確認されたと報じている。
2月27日付
『ロイター通信』は、「G20の手詰まりの後、関心は景気回復の兆候へ」という見出しで、G20で新しい景気刺激策への合意が出来なかったので、投資家は今週出て来る中国、日本、欧州、米国の経済統計が景気回復の兆候を示しているかに関心を映していると報じている。
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中国の習近平国家主席と台湾の馬英九総統が、11月7日にシンガポールで首脳会談をおこなうことが発表された。これは、1949年に中華人民共和国(中国)が建国され中台が分断して以降初めてのことである。双方が全中国を代表する唯一の合法政府を主張している中国政府と台湾政府にとって、首脳会談は非常に微妙な出来事であり、この時期に突然の首脳会談開催が発表されたことについて波紋が広がっている。
11月4日付
『ザ・ディプロマット』誌は、首脳会談は中台関係の突破口になるものであると報じている。
中台の首脳は中国が1949年に建国されて以来一度も会っていない。特に中国は、会談することによって台湾の異なる政治体制を公式に認めたと解釈されることを懸念してきた。台湾は、2014年に北京で開催されたAPEC首脳会談に、馬総統の参加を強く要請したが中国はこれを拒否した。中国政府の立場からすれば習近平国家主席と馬総統の首脳会談などは論外であるし、逆に台湾としては首脳会談でない形で会うことは台湾総統の国際社会での立場を毀損することになる。...
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11月4日付
『ザ・ディプロマット』誌は、首脳会談は中台関係の突破口になるものであると報じている。
中台の首脳は中国が1949年に建国されて以来一度も会っていない。特に中国は、会談することによって台湾の異なる政治体制を公式に認めたと解釈されることを懸念してきた。台湾は、2014年に北京で開催されたAPEC首脳会談に、馬総統の参加を強く要請したが中国はこれを拒否した。中国政府の立場からすれば習近平国家主席と馬総統の首脳会談などは論外であるし、逆に台湾としては首脳会談でない形で会うことは台湾総統の国際社会での立場を毀損することになる。2人がどのような立場で会談をするのかが、判然としない。
首脳会談は、台湾総選挙の2ヵ月前という時期に開催されるが、現時点の世論調査では対立候補である民主進歩党の蔡英文党首が選挙戦をリードしている。
『台湾中央通信社』は「2人の指導者は台湾海峡の和平を強化し、現状を維持することについて意見交換をおこなう」と報じている。
11月4日付
『ブルームバーグ・ポリティックス』は、2人は両国の元首としてではなく“指導者”として会談するが、中台関係に新たな歴史を刻む出来事であると報じる。馬総統が任期終了の間近に切望した首脳会談は、中国問題が来るべき選挙の最大の争点であることを示している。アジア最大の経済大国である中国との関係強化は必要であり避けがたいと考える有権者には歓迎されようが、反って票が台湾独立を指向する野党の蔡英文氏に流れるリスクもある。台湾の株式市場は中台関係の改善が台湾経済を活性化させると好感し、最近8週間で最大の値上がりを示した。
ホワイトハウスのアーネスト報道官は、首脳会談が中台関係の転換点になるとするのは時期尚早であるとしながら、米国は一つの中国政策と平和的安定的な中台関係を支持すると表明した。
11月4日付
『ボイスオブアメリカ』は、台湾では中国への過度の傾斜に対する警戒感があると伝える。中台関係は馬総統が政権に就いてから好転したが、台湾国民の中国への過剰な依存への懸念が若者層を中心に高まっている。首脳会談のニュースが流れた後、台湾立法院や総統府付近で抗議デモがあり、首脳会談は民意に反するとして中止を要求している。野党の民主進歩党は、この会談は近く実施される総選挙対策であると批判するとともに、馬総統と習近平主席が非公開会談で密約を結ぶことを懸念していると報じている。
11月3日付
『ニューヨークタイムズ』紙は、首脳会談が台湾の総選挙にどのように影響するかに注目する。
首脳会談を巡る中国の馬総統に対する姿勢は、中国との関係強化を望む国民党にとって対等とまではいかなくとも、融和的なものである。ただ、首脳会談に対して台湾国民は反発しており、来年の総選挙を優位に戦っている野党民主進歩党にさらに票が流れる可能性がある。中国人民大学法学院のワン・ヤンジン教授は、国民党が選挙で負けたとしても、会談によって中台関係の変化に向けての基礎固めができ、長期的には中国にとってプラスになると述べている。中台関係は近年改善してきたが、中国政府は台湾が中国の一部であり、統一は武力を行使してでも譲れないという立場を崩していない。
選挙の世論調査では国民党は劣勢であるが、習近平主席は首脳会談を通じ、台湾が中国との貿易のおかげで繁栄していることを訴求すると予想される。中国の脅威が存在する中で、首脳会談が総選挙で国民党に有利に働くか否かは予測が難しいが、冷戦時代の敵対関係に戻りたくないという根強い民意が底流にあることは見過ごせないと報じている。
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