世界が見るTPPで巻き返しをはかる米国(2015/04/17)
4月15日付「米豪メディアから読み解くAIIBとTPPの行方」で、中国主導のAIIB(アジアインフラ投資銀行)に対して、日米はTPP(環太平洋パートナーシップ協定)で対抗していこうとしているとお伝えしたが、この動きを加速することになるオバマ大統領にTPP交渉権限を一任するTPA法案が、米国の超党派議員により米議会に提出された。TPA法案が成立すれば、TPP交渉の12カ国の合意が米国議会で承認される保証を得ることになる。この動きに合わせて日米の当局者、有識者によるTPP推進発言も増え始めた。現在はAIIBで防戦一方だった、米国のTPPによる巻き返しの準備運動といったフェーズにあたるのだろう。各国は、TPPで巻き返しをはかる米国について、以下のように報じた。
4月17日付
『ボイスオブアメリカ』(米国)は「TPPは、米国にとっての経済的、地政学戦略上利益であり、それは貿易のための新しい機会を開き、アジア太平洋地域への米国の関与についての強力な戦略的シグナルを発信するだけでなく、米国企業と労働者のための活動分野を広げることにもなる」、との共和党上院議員のジョン・マケインの発言を紹介した。
4月17日付
『マレーシアメールオンライン』(マレーシア)は「ここ数週間の間に、米国の当局者があらゆる機会をとらえて、AIIBのガバナンスの不透明性への懸念を強調する一方で、TPPがアジアへのリバランス政策のために、いかに重要な柱であるかを強調している」と報じ、「ドイツをはじめとする米国の同盟国が、中国主導のAIIBに参加したことで、失敗する米国の戦略に日本がつき従っているという印象を与えているが、そのことがかえって停滞していたTPPに弾みをつけた格好だ」、との日本国際問題研究所の高木誠一郎のコメントを掲載。...
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4月17日付
『ボイスオブアメリカ』(米国)は「TPPは、米国にとっての経済的、地政学戦略上利益であり、それは貿易のための新しい機会を開き、アジア太平洋地域への米国の関与についての強力な戦略的シグナルを発信するだけでなく、米国企業と労働者のための活動分野を広げることにもなる」、との共和党上院議員のジョン・マケインの発言を紹介した。
4月17日付
『マレーシアメールオンライン』(マレーシア)は「ここ数週間の間に、米国の当局者があらゆる機会をとらえて、AIIBのガバナンスの不透明性への懸念を強調する一方で、TPPがアジアへのリバランス政策のために、いかに重要な柱であるかを強調している」と報じ、「ドイツをはじめとする米国の同盟国が、中国主導のAIIBに参加したことで、失敗する米国の戦略に日本がつき従っているという印象を与えているが、そのことがかえって停滞していたTPPに弾みをつけた格好だ」、との日本国際問題研究所の高木誠一郎のコメントを掲載。また「TPPは米国のリーダーシップの指標と見られており、米国の意欲とアジアの複雑さを管理する米国の能力を示すものとみられている」、との外交問題評議会(CFR)上級研究員のシーラスミスの分析を紹介した。さらに「TPPは今のところ、参加していない他の国に対しても、非常に強い磁場的効果を持つ可能性を秘めている。TPPは(米国にとって)戦略的にも、非常に重要な意味を持つ」とのアントニーブリンケン国務副長官の発言を紹介した。
4月17日付
『バンコクポスト』(タイ)は「オバマ大統領は、4月28日にホワイトハウスで行われる安倍首相との米日首脳会談前に、TPPを前進させておく必要に迫られていた」と伝えた上で、「オバマ大統領はTPA法案の今後の見通しについては楽観的であり、”TPPを中国のような国にはできない、世界的な貿易ルールをきちんと記述するものにすることが米国にとっては重要だ”と述べた」と報じた。
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世界が見る中国の南沙諸島埋め立て工事(2015/04/10)
AIIB(アジアインフラ投資銀行)の参加国拡大により勢いづく中国だが、その陰でスプラトリー諸島(南沙諸島)の岩礁埋め立て工事や建物の建設を急ピッチで進めていることが、最新の衛星画像から判明、近隣諸国の不安が高まっている。AIIBのガバナンスが不明瞭なことから日米は参加を見送ったが、南シナ海で建設中の施設の目的もはっきりしておらず、ここでも中国の不透明な動きが問題視されている。各国は急ピッチで進む中国の南沙諸島埋め立て工事について以下のように報じた。
4月9日付
『フォーリンアフェアーズ』(米国)はCSIS(戦略国際問題研究所)による最新の衛星画像で、「南シナ海のスプラトリー諸島での中国の埋め立て工事が急激なピッチで進んでいることが確認できた」と報じた上で、「画像からは中国の船舶の他、港湾や大規模な高層建築物、滑走路などが確認され、これらの施設が何のために造られているのか秘密のベールに包まれている」と伝えた。さらに「中国は南シナ海において覇権を確立し、近隣諸国を監視し、圧力をかけるという能力を大幅に向上させている。...
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4月9日付
『フォーリンアフェアーズ』(米国)はCSIS(戦略国際問題研究所)による最新の衛星画像で、「南シナ海のスプラトリー諸島での中国の埋め立て工事が急激なピッチで進んでいることが確認できた」と報じた上で、「画像からは中国の船舶の他、港湾や大規模な高層建築物、滑走路などが確認され、これらの施設が何のために造られているのか秘密のベールに包まれている」と伝えた。さらに「中国は南シナ海において覇権を確立し、近隣諸国を監視し、圧力をかけるという能力を大幅に向上させている。南シナ海における中国の戦略は、すべて習近平国家主席の胸先三寸で決まっていく」とのCMSI(米海軍大学中国海事研究所)のアンドリューエリクソン氏の分析を紹介した。
4月10日付
『AFP通信』(フランス)は、「オバマ大統領はジャマイカで行われたタウンミーティングの演説の中で、中国の強い経済と国際社会においての役割拡大を歓迎する一方で、”だからと言って南シナ海で領有権を主張する近隣国を押しのけてもいいということにはならない”と発言し、中国をけん制した」と報じた。また「南シナ海での中国の埋め立て工事で、地域の国々が不安にさらされている。建設中の施設は、中国の最新鋭の軍事拠点になる可能性があり、我々はこの地域を注意深く監視していく必要がある」とのジェフラスク報道官(米国国務省)の発言を紹介した。
4月10日付
『ボイスオブアメリカ』(米国)は、「オバマ大統領は”領有権問題ではどの国の肩も持たない立場である”と述べたが、南シナ海での領有権争いで、中国に国際的な規範やルールを守らせるために国際的なメカニズムを利用したいと考えている」と報じた。
4月10日付
『ニューヨークタイムズ』(米国)は、スプラトリー諸島の岩礁埋め立てについて「このような工事は、中国の主権の範囲内で行われているものであり、あくまで合法的なものであり、どの国にも影響を与えるものではない」との中国外務省の華報道官の発言を紹介した上で、「最後に彼女は、島が中国の軍事目的のためにも使用されると付け加えたが、詳細は明らかにしなかった」と報じた。
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