習近平国家主席(シー・チンピン、69歳)が主導する「一帯一路経済圏構想(BRI)」では、スリランカ他アフリカ数ヵ国に“債務の罠(注後記)”にはまって債務超過に陥る国が出現していて、国際社会からの非難の声が強まっている。そうした中、中国の野望は簡単に萎むことはなく、ネパールに対してこの程、ヒマラヤ山脈縦断の鉄道建設計画促進のため、事前調査・採算性評価用の資金を融資することを決めている。
8月15日付
『チャイナ・ナショナル・ニュース』は、「中国・ネパール関係、既に“戦略的パートナーシップ”に格上げ」と題して、中国がネパールに対して、ヒマラヤ山脈縦断鉄道建設促進に関わる事前調査・採算性評価用の資金を融資することになったと報じている。
中国外交部(省に相当)発表によると、中国及びネパールの外相同士の会談の結果、「ヒマラヤ山脈縦断多次元ネットワーク接続構想」推進について合意したという。
同部の汪文斌報道官(ワン・ウェンビン、50歳、2020年就任)が8月11日の定例会見で明らかにしたもので、同会談に出席した王毅部長(ワン・イー、68歳、外相に相当、2013年就任)は、当該合意の一環で、中国がネパールに対して、ヒマラヤ山脈縦断鉄道建設計画推進に関わる事前調査・採算性評価用の資金を融資するとともに、専門家グループを同国に派遣することになった旨表明したとする。
同構想は、中国が推進するBRIの一環で取り進められるもので、鉄道のみならずその他諸々の通信ネットワーク設備の建設が対象になるという。
なお、習近平国家主席が2019年に同国を訪問して以来、両国関係は“戦略的パートナーシップ”に格上げされている。
(注)債務の罠(借金漬け外交):国際援助などの債務により債務国、国際機関の政策や外交等が債権国側から有形無形の拘束を受ける状態をいう。この表現は、インドの地政学者ブラフマ・チェラニーによって中国のBRIと関連づけて用いられたのが最初。債務国側では放漫な財政運営や政策投資などのモラル・ハザードが、債権国側では過剰な債務を通じて債務国を実質的な支配下に置くといった問題が惹起されうる。
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中国では、毎年民族大移動が起こる春節を10日後に控える。更に、北京冬季大会が2週間後に始まることもあって、中国本土の多くの都市で厳格な行動制限措置を講じている。例えば、北東部のハルビン(黒竜江省)では、新規感染者が発生していないのにも拘らず、約1千万人の全市民に対して新型コロナウィルス(COVID-19)の検査を実施するという。
1月22日付欧米
『ロイター通信』:「ハルビン市政府、春節の長期休暇前に全市民のCOVID-19検査実施」
中国北東部のハルビン市政府は、約1千万人の全市民に対して1月24日からCOVID-19検査を実施すると発表した。
同市において直近ではCOVID-19新規感染者は発生していないが、春節の長期休暇を控えることから、予防対応のためだとしている。
同市政府は、ITアプリ「ウィーチャット(微信、IT大手テンセントが開発)」のオフィシャルアカウント上で、多くの人の移動が起こる春節を控え、“多くの都市でオミクロン株の感染が発生しており、これを防ぐため、厳しい対応を行う必要がある”と表明した。...
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1月22日付欧米
『ロイター通信』:「ハルビン市政府、春節の長期休暇前に全市民のCOVID-19検査実施」
中国北東部のハルビン市政府は、約1千万人の全市民に対して1月24日からCOVID-19検査を実施すると発表した。
同市において直近ではCOVID-19新規感染者は発生していないが、春節の長期休暇を控えることから、予防対応のためだとしている。
同市政府は、ITアプリ「ウィーチャット(微信、IT大手テンセントが開発)」のオフィシャルアカウント上で、多くの人の移動が起こる春節を控え、“多くの都市でオミクロン株の感染が発生しており、これを防ぐため、厳しい対応を行う必要がある”と表明した。
中国国内の多くの都市では、来月初めに北京冬季大会開催を控えることもあって、COVID-19感染拡大を防ぐために厳しい行動制限措置が取られている。
ただ、一部の国営メディアは、例えば東部河南省のある県当局が、この時期に故郷に帰るような“悪意に満ちた行動”を控える様にとの通達を無視した県民に対して検査を行い、陽性と判明すれば拘束する、と表明したことを酷評している。
『人民日報』は、ミニブログサイト「ウェイボ―(微博、新狼公司が運営)」上で、“春節時に故郷に帰りたいと思うのは人の常であり、それを悪意を持った行動と評するのは如何なものか”と苦言を呈した。
そして、“感染を抑えるのは重要な任務であるが、それは科学的かつ法に適う方法で行うことが肝要であり、故郷に帰りたいと思う人たちにもっと思いやりを持って接するべきである”と言及している。
なお、中国国家衛生健康委員会(NHC、1949年前身発足)は1月22日、1月21日の新規感染者は63人と、前日の73人より減少したと発表した。
そのうち、市中感染は23人で、残り40人は海外からの渡航者だとする。
1月21日現在の中国全土の総感染者は10万5,547人で、死者は出ておらず4,636人のままである。
同日付中国『チャイナ・ナショナル・ニュース』:「中国の新規感染者のうち23人が市中感染」
NHCが1月22日、前日に市中感染者23人が出たと発表した。
内訳は、北京10人、天津6人、河南省4人、広東省3人となっている。
また、中国全土で海外渡航者のうち40人の感染が確認されたとする。
中国政府は、北京等の大都市における新規感染者の発生を懸念しており、特に冬季大会開催を控える北京において、オミクロン変異株の感染者が出たことを憂慮している。
そこで、北京においては厳しい防御措置が取られることになり、例えば同市に入る全ての旅行者は、直近72時間前までのCOVID-19検査が必須とされている。
『北京日報(1952年発刊)』は、オミクロン株の早期発見及び感染拡大防止対策のため、当該措置が1月22日から3月末までの期間適用される、と報じた。
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