日米は11日、岸田総理の訪米に向けた外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)で、敵基地攻撃力運用での協力で一致した。一方、米国防長官は、台湾周辺の軍事活動は中国の侵攻兆候との見方に否定的見方を示している。
1月12日付
『ロイター通信』:「中国軍事活動、台湾侵攻兆候との見方に疑問」:
ロイド・オースティン米国防長官が11日、台湾周辺での中国軍事活動の台湾侵攻への深刻な兆候との見方に疑問を呈した。
オースティン氏は、ブリンケン米国務長官と日本の代表との共同会見で、「海峡での航空活動の増加や台湾周辺での水上艦の活動増加が見られるが、それが侵攻が差し迫っていることを意味するかについては非常に疑問視している」と述べた。
11日付米『VOA』:「中国軍の台頭抑止で日米同盟強化」:
11日、日米は南シナ海や台湾周辺へ進出する中国を阻止するための戦略的挑戦と計画行動を行うことで一致した。これらの行動には、沖縄基地の米海兵隊再編や、宇宙及び軍事技術での協力合意が含まれている。
中国が台湾海峡において「ニューノーマル」を作り出そうとしている一方、オースティン米国防長官は、これが台湾侵攻に差し迫った脅威と同格とみなすことはできないとし、「中国は数十年にわたり維持されてきた平和と安定を崩そうとしているが、我々は静かに断固としたアプローチを継続していく」としている。
11日の共同声明で、日米はより高度な反撃能力の保有にむけたインド太平洋における軍事強化として、2025年までに沖縄に新たに第3海兵隊沿岸連隊をおき、艦船攻撃能力などの向上を図るとしている。
米戦略国際研究センターの最新報告書では、「台湾有事の際、米国が日本の基地を使用できなければ戦闘活動は行えない」としている。
日本は、日米の戦略協力強化として、今後5年間で軍事予算をおよそ倍増し、初めて他国を標的とするミサイルを配備する国家安全保障戦略を打ち出しており、英国とも軍事協定を結んでいる。
12日付ロシア『スプートニク』:「米国防長官:中国軍船活動は台湾侵攻危機との見方に疑問」:
オースティン米国防長官は会見で、台湾周辺で中国の海軍活動が増加したことが侵攻の兆候であるとの見方に疑問を呈した。
台湾情勢は、米国のペロシ前下院議長が昨年8月に台湾を訪問して以来、ここ数ヶ月緊張状態が続いている。
日本は北朝鮮の核開発の進展や中国の軍事増強にともない、安全保障能力の強化に乗り出している。
先月日本メディアは、反撃能力の強化計画を報じた。今後五年で、防衛能力開発のため380億ドルの予算を投じるとされる。
日米は、安全保障に関し中国との対話を続けていくとしている。林外務大臣は、「中国と建設的で安定した関係を築くことが重要」だとし、数週間後に中国を訪問予定のブリンケン米国務長官は、「日米は中国と複雑かつ重要な関係にある」としている。
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東欧の最貧国モルドバ(1991年ソ連より独立)は、ロシア軍によるウクライナ発電施設攻撃のとばっちりを受けて、国内の深刻な電力不足に陥っている。そこで同国はこの程、同国内の一部とされるロシア傘下の非承認共和国にある発電所から電力供給を受ける契約を締結した。
12月3日付米
『AP通信』は、「モルドバ、停電リスク回避のため新たな電力供給契約を締結」と題して、ロシア軍によるウクライナ発電施設攻撃のとばっちりを受けて、同国からの電力供給を受けていた隣国モルドバが、背に腹は代えられず、自身が承認していない同国内のロシア支援の共和国から電力供給を受ける契約を締結したと報じている。
モルドバ高官が12月3日に明らかにしたところによると、厳しい冬期を迎えて更に深刻な停電が発生するリスクを回避するため、止む無くロシアが後ろ盾となっているトランスニストリア(注後記)から新たに電力供給を受ける契約を締結したという。
アンドレイ・スピヌ副首相(36歳、2021年就任)が表明したもので、国営電力会社エネルゴーコムがトランスニストリア在のクチューガン天然ガス発電所から12月の電力供給について成約したという。
11月初め、ロシアがモルドバ向け天然ガス供給量を40%削減したことから、同電力会社による国内電力供給が大きく阻害されていた。
欧州最貧国のモルドバでは、直近数週間、ロシア軍によるウクライナ在発電施設攻撃のとばっちりを受けて、深刻な電力不足に襲われている。
何故なら、旧ソ連時代の電力供給システムのままの同国は、ウクライナからの電力供給に大きく依存しているからである。
同副首相は『テレグラム(2013年にロシア人技術者が開発したメッセージアプリ)』に投稿して、“今回の契約締結によって、モルドバ国内の深刻な停電リスクを回避できることになる”とコメントしている。
同副首相はまた、ロシアからの天然ガス購入契約を有する同国のモルドバ・ガス(1991年設立)が、トランスニストリア向けに570万立方メートルの天然ガスを供給することによって発電量増に寄与することになる、とも言及している。
更に、来年1月以降3月までも同発電所からの電力供給を受けられるよう交渉を続けているとも付言した。
なお、トランスニストリアは1992年の内戦の結果、モルドバから分離し独立を宣言するに至ったが、国際社会からは依然承認されていない。
また、同地のクチューガン発電所は2004年に民営化されてロシア国営企業に売却されているが、モルドバ政府は民営化そのものを認めてはいない。
12月4日付ロシア『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース(2014年設立の通信社)は、「モルドバ副首相、トランスニストリアから電力供給再開と発言」と事情を詳報している。
スピヌ副首相は12月3日、トランスニストリアから1メガワット時当り73ドル(約9,900円)で12月に20万4千メガワットの電力供給を受けることになったと表明した。
同国のエネルゴーコムがトランスニストリア在のクチューガン発電所と契約を締結したもので、2023年1~3月期も同価格での供給継続の可能性があるとも付言した。
モルドバは現在、エネルギー価格の急騰やインフレーションに見舞われて厳しい経済状況となっている。
特に、10月からロシア半国営企業ガスプロム(1989年設立の世界最大の天然ガス生産・供給企業)からの天然ガス供給量が削減されたことから、国内でのエネルギー消費量を抑えるため、同政府は国民に電力使用節減を要求している。
なお、同政府データによると、隣国ルーマニアから1メガワット時当り190~348ユーロ(197~360ドル、約2万6,600~4万8,600円)で電力供給を受けているという。
(注)トランスニストリア:公式には沿ドニエストル・モルドバ共和国で、東欧にある事実上の独立国家。モルドバ東部を流れるドニエストル川と、モルドバとウクライナの陸上国境とに挟まれた南北に細長い地域に位置する。首都はティラスポリ。ロシア連邦の支援を受けているものの、国際的にはほとんど承認されておらず、モルドバの一地域として広く認識されている。
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