米国の核実験で南シナ海汚染の可能性(2023/06/14)
中国による最新の研究によると、南シナ海で、20世紀半ばに米国が行った核実験に起因するとみられるプルトニウムの堆積物が見つかったという。
6月14日付露
『スプートニク』:「米核実験によるプルトニウムが南シナ海を汚染」
中国語の学術雑誌「Environmental Chemistry」へ掲載された最新論文によると、南シナ海の海底で、米国が20世紀半ばに行った核実験による放射性降下物に起因するとみられるプルトニウムの堆積物が見つかったという。
米国は、1946年~62年、南太平洋の東方約3千マイルの環礁や島々にある太平洋試験場で、核兵器十数個を爆発させたが、プルトニウムの製造過程において特有な2個の同位体の割合が、この堆積物と全く同じだったことが根拠となっているという。...
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6月14日付露
『スプートニク』:「米核実験によるプルトニウムが南シナ海を汚染」
中国語の学術雑誌「Environmental Chemistry」へ掲載された最新論文によると、南シナ海の海底で、米国が20世紀半ばに行った核実験による放射性降下物に起因するとみられるプルトニウムの堆積物が見つかったという。
米国は、1946年~62年、南太平洋の東方約3千マイルの環礁や島々にある太平洋試験場で、核兵器十数個を爆発させたが、プルトニウムの製造過程において特有な2個の同位体の割合が、この堆積物と全く同じだったことが根拠となっているという。
専門家は、堆積物が時計回りの北太平洋旋回に乗って、西方へ運ばれたと推定。潮流はマーシャル諸島、ミクロネシア、カロリン諸島を通り、フィリピン、台湾にぶつかり、北へ東ヘ向かい日本の南岸に行き着く。カリフォルニア沿岸からは南へ向かい、メキシコ沿岸を通り、再び西方へ向かって流れる。堆積物は潮流に乗り、ルソン海峡を経由し、南シナ海へ入ったと見られている。
米国は広島と長崎への原爆投下により終戦を迎えることとなった第二次大戦直後、太平洋上での核実験を開始した。マーシャル諸島では67個の核を使用、広島原爆2個分の威力となる実験をニ日置きに行っていた。実験では、水中や水面、そして上空から、対艦、対衛星兵器への対応も想定されたものだった。
同日付香港『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』:「南シナ海の放射能汚染は米国の核実験のせい、専門家」:
米国は1940年代から50年代にかけて、南シナ海から数千キロの場所で、平均レベル以上の放射性物質を放出した。10数年かけた研究により、冷戦時代に水路を汚染した.マーシャル諸島での核実験の最後の痕跡を発見した。
中国語の査読雑誌が中国の環境評価を裏付ける。汚染物質は該当地域に現在も残留しており、南方の事前に許可されていない地域にもまたがっている。近隣の住民は、高放射能で被爆し、がんを発症する確率が高い。出生異常など健康問題で今日まで苦しんでいる。環境的損害も甚大で、土壌、水、海水の汚染も広範囲にみられる。
この事実は、中国と他国が領有権で対立する南シナ海での緊張を更に高めるものとなるだろう。領土対立は、環境ダメージへの影響が確認された場合、該当諸国での補償問題をも困難にするだろう。環境学の専門家は、中国は核実験の影響への補償を求める国々に参加する妥当な理由があるとしている。
米国は1986年補償制度を確立し、マーシャル諸島の人々への補償に2億ドル以上を拠出したが、環境や健康への影響の範囲を考慮すると不十分だと批判された。現在に続く影響に対応するため、追加補償を求めている人々もいる。
核実験には法的、倫理的問題もあるが、法的側面からの立証は、米政府の免責権限などから困難となる。時間も経過しているため、実験との明確な因果関係を証明するのも困難となる。その理由の一つに、南シナ海を巡る、各国の優先事項と利害が異なる点がある。
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ドイツ、2024年に艦船をインド太平洋へ派遣へ(2023/06/05)
中台関係や南シナ海の領有権争いを巡る緊張が高まる中、NATO(北大西洋条約機構)加盟国は、インド太平洋地域でのプレゼンスを高めつつあると報じられている。
6月4日付
『ロイター通信』:「インド太平洋の緊張が高まる中、ドイツが2024年に艦船2隻をインド太平洋に派遣へ」:
ドイツのボリス・ピストリウス国防相は4日、中台関係や南シナ海をめぐり緊張関係が高まる中、2024年、インド太平洋へ艦船2隻を派遣すると発表した。
アジアで最も重要な安全保障会合となるシンガポールでのシャングリラ会合で、同氏は、「国際秩序と主要な海洋航路の保護のため、各国は立ち上がる必要がある」とし、中国を念頭に、派遣は「如何なる国への対抗目的ではない」と述べたとされる。...
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6月4日付
『ロイター通信』:「インド太平洋の緊張が高まる中、ドイツが2024年に艦船2隻をインド太平洋に派遣へ」:
ドイツのボリス・ピストリウス国防相は4日、中台関係や南シナ海をめぐり緊張関係が高まる中、2024年、インド太平洋へ艦船2隻を派遣すると発表した。
アジアで最も重要な安全保障会合となるシンガポールでのシャングリラ会合で、同氏は、「国際秩序と主要な海洋航路の保護のため、各国は立ち上がる必要がある」とし、中国を念頭に、派遣は「如何なる国への対抗目的ではない」と述べたとされる。
中国はドイツの最も重要な貿易パートナーであるため、安全保障と経済的利益を考慮すると、インド太平洋地域でのプレゼンスを高めることは、ドイツにとってはリスクとなり得る。
ドイツは、軍事プレゼンスを拡大し中国を牽制する欧州各国と足並みを揃え、2021年、20年ぶりに南シナ海へ艦船を派遣。欧州の海外貿易の40%に南シナ海の航路が利用されている。
同日付露『スプートニク』:「中国との膠着状態の中、ドイツが2024年インド太平洋へ艦船派遣へ」
2024年、インド太平洋へ2隻の艦船を派遣すると、ドイツのピストリウス国防相が発表。同相は「ルールに基づく国際秩序を守る必要がある」と述べたとされる。
昨年、米国および同盟国が中国に安全保障上の問題があるとしたのを受け、現在、NATO加盟国は、インド太平洋地域でのプレゼンスを高めつつある。
ドイツ連邦政府は2021年に艦船1隻を同地域に派遣している。2024年の再配備は、艦船1隻と補給艦だとされる。
国防相は、艦船の展開は如何なる国への対抗を示すものではないと強調。海路交通の保護を目的としているとし、2021年の派遣は、朝鮮半島での緊張の高まりに対応したものだったと説明。また、ドイツは、インド太平洋の平和と安定に貢献し、今後同地域への関わりを強めていくとしている。
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