トランプの国境の壁は無くてもスマート化で対策案
バイデン米政権は、トランプ元政権の国境の壁予算を早急に撤回したが、一方でハイテクな監視システム導入やドローンを利用した独自のスマート化移民対策を構想している。これに抗議する移民の権利団体連合は、監視に予算を割くのではなく、壁建設により被害を受けた国境地域を支援すべきだとしている。
2月25日付ロシア
『スプートニク』は「トランプの壁と変わりがないとして権利団体がバイデンの“スマート壁”構想を批判」との見出しで以下のように報道している。
バイデン米政権は、トランプ元政権の国境の壁予算を早急に撤回したが、一方で監視技術、DNAサンプル、ドローンを使用した独自の国境管理対策を構想している。これに対し40の民間移民権利団体連合が、バイデン政権にあてた共同書簡により、同移民政策の撤回を求めた。...
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2月25日付ロシア
『スプートニク』は「トランプの壁と変わりがないとして権利団体がバイデンの“スマート壁”構想を批判」との見出しで以下のように報道している。
バイデン米政権は、トランプ元政権の国境の壁予算を早急に撤回したが、一方で監視技術、DNAサンプル、ドローンを使用した独自の国境管理対策を構想している。これに対し40の民間移民権利団体連合が、バイデン政権にあてた共同書簡により、同移民政策の撤回を求めた。
2021年の米市民権法案で提案されているスマート国境監視技術は、トランプ政権の人種差別的政策の継続を意味している。この包括的移民法案には、AI、生体情報、顔認識機能、無人航空機、赤外線カメラ、虹彩スキャン、DNA採取、レーダー、運動センサーを利用した対策の導入が盛り込まれている。
書簡で権利団体は、トランプの国境の壁建設を廃止したバイデン大統領の決定は歓迎したものの監視体制から移民を守るべきだと警告。その上で政府は、壁の建設により打撃を受けた国境の地域の支援に資金を回すべきだと主張している。
大統領選挙期間中、バイデン氏やハリス氏は、トランプの強硬な国境管理体制を人種差別的だとして痛烈に批判してきたが政権就任後は、かつて批判した政策の一部を継承する構えを見せている。保健福祉省(HHS)は月曜、テキサスとフロリダにある親が不在で入国してきた移民の子供の収容施設を再開すると発表。アレクサンドリア・オカシオ・コルテス下院議員は、公約と矛盾しているとしてこの動きを批判している。新司法長官が「移民は犯罪か」との質問をかわす姿勢を見せる等、バイデン政権の移民政策は依然不透明なものとなっている。
同日付米国『ザ・ヒル』は「プライバシーと移民の権利団体がバイデンのスマート壁法案を批判」との見出しで以下のように報道している。
プライバシーと移民の権利団体がバイデン政権によるメキシコ国境のスマート技術対策案に反対している。木曜公表された声明で、40の団体が先週国会に提出された移民法案について、トランプ元政権の人種差別的な国境政策と何ら変わりはないものだと抗議。この法案はスマート技術を使ってトランプの国境の壁を継続させようとするものだと批判している。
ボブ・メネンデ上院議員とリンダ・サンチェス下院議員が主導する同法案は、国家安保省のメキシコ国境管理をIT化すべく監視システムを導入する案を盛り込んだもので、陸海空からの国境通過時の出入国における不正行為を検出できるようにするものだという。また、生体認証データの収集やレーダー監視装置導入も盛り込んでいる。
、抗議団体はどのようなシステムか曖昧なまま国境管理のIT化が加速する危険があるとして懸念を示す。スマート技術は出入国や全国で既に採用されている重要なインフラだが、国境警備の名目で国内の動きを見張るためヘリ、航空機、ドローンが使われるケースがあり、昨夏には黒人差別への抗議デモの監視に利用されていたこともある。
バイデン政権の法案は、技術監視の乱用であると批判し、移民審査により時間がかかることでこれを避け、より危険な移動ルートをとる人が増えることで死者の増加に繋がりかねないと指摘する。1100万人の移民に市民権の道を開くバイデン政権の移民構想が上院で通過する見込みは薄い。抗議団体はトランプ元政権の移民政策の一部撤回の動きは歓迎しているが、監視強化により強制送還されたり、適正手続きがなおざりになってはならないとしている。
以前にもスマート技術による国境管理構想は上がっていた。2019年民主党と一部共和党議員が国境の壁予算の代替としてドローン、運動センサー、生体情報取得技術導入案を提出したが実現には至らなかった。
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バイデン新政権;ロシアに対しても睨みを効かせるべく大型爆撃機をノルウェーに派遣【米・ロシアメディア】
既報どおり、ジョー・バイデン大統領(78歳)は、アジア政策においてはもっぱら、中国の軍事力及び経済力の台頭を阻止することに注力すると明言している。一方、欧州においても、傍若無人のロシアに対しても睨みを効かせるべく、北大西洋条約機構(NATO、注1後記)加盟国のノルウェーに大型爆撃機を派遣して、軍事訓練の任に当たらせている。
2月22日付米
『Foxニュース』:「米空軍B-1爆撃機、ロシアに睨みを効かせるためノルウェーに派遣」
米空軍は2月22日、“長期訓練”を目的として派遣されたB-1爆撃機(注2後記)が同日にノルウェーに到着したと発表した。
在欧米空軍(1944年創設)司令官のジェフ・ハリジアン大将(58歳)は、“ノルウェーなどの同盟国と共同訓練を実施することで、抑止力や防衛力を強化し、かつ地域の安定を高めることが可能となる”との声明を発表した。...
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2月22日付米
『Foxニュース』:「米空軍B-1爆撃機、ロシアに睨みを効かせるためノルウェーに派遣」
米空軍は2月22日、“長期訓練”を目的として派遣されたB-1爆撃機(注2後記)が同日にノルウェーに到着したと発表した。
在欧米空軍(1944年創設)司令官のジェフ・ハリジアン大将(58歳)は、“ノルウェーなどの同盟国と共同訓練を実施することで、抑止力や防衛力を強化し、かつ地域の安定を高めることが可能となる”との声明を発表した。
同機は所属するダイエス空軍基地(テキサス州)を飛び立ち、ノルウェー中部のオーランド空軍基地に到着した。
軍事専門家のジェリー・ヘンドリックス氏(54歳、元海軍大佐)によれば、同爆撃機の派遣はロシアに対する明確なメッセージとなるとする。
同氏は『フォーブス』誌(1917年創刊)のインタビューに答えて、“今回のミッションによって、同盟関係が強化されるだけでなく、ロシア側も明確に理解できる圧力となろう”と言及した。
また、同誌の航空宇宙・国防関係レポーターのデビッド・アックス氏は、“爆撃機は単に爆弾を落とすだけでなく、配備されただけで明確なメッセージとなる”と語っている。
ジョー・バイデン大統領は先月、ウラジーミル・プーチン大統領(68歳)と初めて電話会談した際、米ロ核軍縮条約、アフガニスタン駐留米兵に対する報奨金問題、2020年大統領選に関わるロシア介入疑惑等、幅広い分野について協議した。
ホワイトハウスは、“ロシアが米国及びその同盟国に損害を与えるような場合、米国は米国及び同盟国の安全保障のため、毅然たる対応をすることをはっきりさせた”との声明を発表している。
同日付ロシア『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「米空軍爆撃機、ノルウェーに初めて派遣」
今回ノルウェーに派遣されたのは、ダイエス空軍基地第7爆撃航空団所属のB-1B戦略爆撃機である。
米空軍がリリースした声明では、同機はノルウェーのオーランド空軍基地に派遣され、同地において、テレビ映像を使っての模擬訓練から、欧州上空を実飛行しての操縦訓練まで利用されるという。
同機のノルウェー派遣は初めての試みである。
なお、ロシア外務省のマリア・ザハロア報道官(45歳)は今月初め、ノルウェーが米空軍爆撃機を受け入れるならば、ロシアは、同国が欧州における軍事的活動を強化する目的と捉えると警告を発している。
(注1)NATO:北大西洋同盟とも呼ばれ、欧州と北米の30カ国による政府間軍事同盟で、1949年4月に調印された北大西洋条約の執行機関。NATOは、独立した加盟国が外部からの攻撃に対応して相互防衛に合意することで、集団防衛のシステムを構成している。加盟国は、域内いずれかの国が攻撃された場合、集団的自衛権を行使し共同で対処することができる。本部はブリュッセル(ベルギー)。
(注2)B-1爆撃機:ロックウェル社(現ボーイング社)が開発した、超音速戦略爆撃機。1986年運用開始で、米空軍は現在66機を保有し、2036年まで運用予定。1機当り約2億8千万ドル(約294億円)。
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