台風襲来の中、マニラ湾でオイルタンカー沈没【英国・フィリピンメディア】(2024/07/26)
台風「Gaemi(ケーミー)」(日本では第3号と呼称、編注後記)は、台湾で土砂崩れを引き起こし、犠牲者3人、負傷者数百人を出している。そしてマニラ湾では、工業用燃料油を運搬中のオイルタンカーが沈没したため、漏れ出したオイルのために深刻な環境問題となる恐れがある。
7月25日付英国
『BBCニュース』、
『ジ・インディペンデント』紙、フィリピン
『ザ・マニラ・タイムズ』紙等は、台風襲来の暴風雨の中、マニラ湾でオイルタンカーが沈没し、漏出オイルのために深刻な環境問題が引き起こされる恐れがあると報じている。
フィリピンのハイメ・バウティスタ運輸相(67歳、2022年就任)は7月25日、1,500トンの工業用燃料油積載のタンカー“MTテラノバ”(2002年建造、比船籍)が同日早朝、マニラ沖で沈没し、乗組員17人のうち1人は救出されたが残り1人は行く不明だと発表した。...
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7月25日付英国
『BBCニュース』、
『ジ・インディペンデント』紙、フィリピン
『ザ・マニラ・タイムズ』紙等は、台風襲来の暴風雨の中、マニラ湾でオイルタンカーが沈没し、漏出オイルのために深刻な環境問題が引き起こされる恐れがあると報じている。
フィリピンのハイメ・バウティスタ運輸相(67歳、2022年就任)は7月25日、1,500トンの工業用燃料油積載のタンカー“MTテラノバ”(2002年建造、比船籍)が同日早朝、マニラ沖で沈没し、乗組員17人のうち1人は救出されたが残り1人は行く不明だと発表した。
同地域では台風「ケーミー」が通過したばかりで、暴風・荒波が続いていて捜索は難航しているという。
更に、積載オイルが漏れだしていることが確認されているが、拡散防止作業にかかれない状況であるとする。
また、比沿岸警備隊(1967年設立)報道官のアルマンド・バリロ少将は、“積載オイルの流出及び拡散防止作業は時間との闘いだ”としながらも、“万が一全ての積載オイルが拡散してしまうと、フィリピン始まって以来の最悪の油流出事故となってしまう”と表明した。
タンカーが転覆したマニラ湾は、多くの船舶の航路となっているだけでなく、海岸線は大規模ショッピングモールに加えて、リゾート施設や漁港もあるため、深刻な環境問題に発展しかねない。
なお、フィリピンでは昨年3月にも東ミンドロ州沖(マニラ南方のミンドロ島東部)で、80万リットル(800トン)の工業用燃料油積載のタンカーが沈没していて、その際に流出した油は近くのいくつかの漁村の海岸を黒いヘドロで覆ってしまった。
当時、沿岸の村の住民が、けいれん、嘔吐、めまいに見舞われただけでなく、流出油清掃作業に派遣された作業員たちも体調不良を起こしたと報告されているが、その除去作業には3ヵ月もかかってしまっている。
(編注)台風呼称:アジア14ヵ国が加盟する台風委員会が2000年、北西太平洋または南シナ海で発生する台風に関し、防災に備えて各国が情報共有できるよう共通の呼称をつけることで合意。具体的には各国から提案された140の名称一覧を基に毎年の台風を命名(5~7年で一巡)。今回の「ケーミー」は11番目で韓国が提案した名称(意味は蟻)。因みに、日本提案の名称は、5番目Koinu、19番目Yagi、33番目Usagi、61番目Koto、75番目Kujira、89番目Koguma、103番目Tokei、117番目Tokage、131番目Yamaneko。
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フィリピンの田舎町の現役市長に対して中国のスパイ容疑で逮捕状【英国・フィリピンメディア】(2024/07/16)
既報どおり、豪州当局がロシア系豪州人夫婦をスパイ容疑で逮捕した。そして今度は、フィリピンの田舎町の現役市長が中国のスパイ容疑で逮捕状が発行されている。
7月15日付
『BBCニュース』、フィリピン
『ジ・インクワイアラー』紙は、フィリピンの現役市長に対して、中国のスパイ容疑で逮捕状が発行されたと報じている。
フィリピンは、フェルディナンド・マルコスJr.大統領(66歳、2022年就任)が前政権の親中政策を翻して以来、中国との間で南シナ海領有権争いのある諸島でしばしば小競り合いを起こしている。
そのフィリピンでこの程、ルソン島中部タルラック州南端の田舎町であるバンバン市(人口7万8千人)の市長に対して、中国のスパイ容疑で逮捕状が発行されている。...
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7月15日付
『BBCニュース』、フィリピン
『ジ・インクワイアラー』紙は、フィリピンの現役市長に対して、中国のスパイ容疑で逮捕状が発行されたと報じている。
フィリピンは、フェルディナンド・マルコスJr.大統領(66歳、2022年就任)が前政権の親中政策を翻して以来、中国との間で南シナ海領有権争いのある諸島でしばしば小競り合いを起こしている。
そのフィリピンでこの程、ルソン島中部タルラック州南端の田舎町であるバンバン市(人口7万8千人)の市長に対して、中国のスパイ容疑で逮捕状が発行されている。
容疑者は、2022年の市長選に無所属で出馬して初当選したアリス・グオ(33歳)で、オンラインカジノ会社「フィリピン・オフショア・ゲイミング・オペレイターズ(POGOs、中国資本)」の違法行為にも関与しているとの疑いもある。
POGOsは、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領(当時71歳)が2016年に就任して親中政策を取っていた間、業容を大規模に拡大していて中国とも密接な関係をいた会社だが、これまで度々オンライン詐欺、人身売買、その他違法行為の嫌疑が取り沙汰されてきていた。
しかし、マルコスJr.大統領政権下の現在は、特に厳しく監視されている。
グオ容疑者を告発しているシャーウィン・ガチャリアン上院議員(50歳、2016年初当選)は、“彼女の本名は郭華平(グオ・ホアピン)で、中国国籍を有しており、(フィリピン法では)市長等の役職に就けない”と糾弾している。
同議員が中心となって、グオ容疑者のスパイ嫌疑やPOGOsの違法行為関与の疑いを調査すべく、同容疑者を6月25日及び7月10日の上院公聴会に召還したが、いずれも欠席したことから、上院名で同容疑者及び家族を議会侮辱罪で告発し、7月12日に逮捕状が発行された。
これに先立つ7月11日、マネーロンダリング防止協議会(AMLC、2001年設立)が同容疑者をPOGOsの仮装通貨投資詐欺容疑に関与した嫌疑で告発し、同容疑者の資産凍結命令が裁判所から発行されている。
しかし、7月12日の逮捕状を持って警察がグオ容疑者確保に向かったが、住居や事務所等にはおらず、行方をくらましている。
同容疑者は当日、“(支持者の方々に)暫く会えない”とした上で、“自分は不法行為に関与していないし、また、中国のスパイでもないし、更にフィリピン人であるからフィリピンを、そしてバンバン市を愛している”と『フェイスブック』に投稿していた。
なお、同容疑者は上記とは別の汚職容疑で、今年6月初めに市長職の停止処分を受けている。
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