中国、消費者物価指数弱含みでデフレーション突入の恐れ【欧米メディア】
中国では、直近の生産者物価指数(PPI)が大幅に下落しただけでなく、消費者物価指数(CPI)も弱含みで推移している。そこで、経済アナリストらが、中国経済がデフレーションに陥る恐れがあるとの見方を示し始めている。
7月10日付
『ロイター通信』は、直近のPPIが大幅に下落したばかりか、CPIも弱含みのため、大胆な財政政策が講じられないとデフレーションに陥る恐れがあるとの見方が出ていると報じている。
中国国家統計局(1952年設立)が7月10日、6月のPPI及びCPIをそれぞれ公表した。
それによると、PPIは前年比▼5.4%と、前月の▼4.6%より更に下落し、2015年12月以来最も大幅な落ち込みとなった。...
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7月10日付
『ロイター通信』は、直近のPPIが大幅に下落したばかりか、CPIも弱含みのため、大胆な財政政策が講じられないとデフレーションに陥る恐れがあるとの見方が出ていると報じている。
中国国家統計局(1952年設立)が7月10日、6月のPPI及びCPIをそれぞれ公表した。
それによると、PPIは前年比▼5.4%と、前月の▼4.6%より更に下落し、2015年12月以来最も大幅な落ち込みとなった。
また、昨年10月以降9ヵ月連続の下落となっている。
一方、CPIは前年比横ばいで、前月の+0.2%より鈍化しているが、これは豚肉価格急落が起因している。
食品とエネルギー価格を除いたコアCPIも前年比+0.4%、前月の+0.6%より伸びが鈍化しており、2021年2月以来の弱含みで推移している。
かかる統計値より、コロナ禍後の経済再生が、第一四半期(1~3月期)のみ活発であっただけで、鈍化に転じているとみられ、デフレーションに陥る恐れが出始めている。
英国の国際金融大手バークレイズ(1896年設立)のエコノミストは、“デフレーション環境がより厳しくなり、また成長の勢いが急激に鈍化していることから、中国人民銀行(PBOC、1948年設立の中央銀行)は段階的利下げを行わざるを得なくなっているとみる”と分析している。
野村総合研究所(1965年設立)は、7月のCPIが前年比▼0.5%下落すると予想しており、これは夏季の行楽シーズンでの消費増を見込んだ上でも変わらないとする。
一方、英国の経済リサーチ会社キャピタル・エコノミクス(1999年設立)のエコノミストは、“中国のインフレーション率は年末までに1%程度に上昇すると予想している”としながらも、“これは中国政府の予想水準(約3%)よりかなり低いため、PBOCは一層の金融緩和に踏み切らざるを得ないだろう”と分析している。
更に、“借り入れ需要が低迷し、人民元が下落圧力にさらされていることから、財政政策と通じての支援策が講じられるとみられる”ともコメントしている。
ただ、世界最大の総合不動産サービスの米法人ジョーンズ・ラング・ラサール(1985年設立)ブルース・パン主任エコノミストは、“PPIの下落が加速したのは、不動産や建設セクターの低迷によるものだが、前年比での下落率は下げ止まった可能性が高く、今年後半には徐々に縮小していくとみる”と分析している。
しかし、多くの経済アナリストは、PBOCによる小幅な利下げでは、コロナ禍で大きな負債を抱え込んだ企業や個人にとっては魅力とはならず、大胆な財政政策発動が不可欠だとみている。
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航空専門家、世界の航空運賃は原油市場沈静化に拘らず高止まりと分析【フランスメデイア】
世界の航空業界は、2020年初めから世界的大流行となった新型コロナウィルス(COVID-19)感染流行問題に伴う移動制限によって大打撃を受けたばかりか、この問題が沈静化してきた2022年には、ロシアによるウクライナ軍事侵攻が引き起こしたエネルギー価格高騰に見舞われてしまった。そこで大幅減収に追い込まれた航空業界は、軒並み航空運賃を引き上げて苦境を乗り越えようとした。ところが、今年になって漸く原油市場の高騰が収まってきているものの、航空業界専門家らは、運賃値上げは続き当分高騰したままとなると分析している。
6月11日付
『AFP通信』は、世界の航空運賃は高騰状態が続くとの専門家の分析について報じている。
世界中を苦境に陥れたCOVID-19は、昨年漸く沈静化に向かい、多くの国で移動制限が解除され、経済活動が戻りつつある。
そこで航空業界としても、今年から旅客数がコロナ禍前のレベルまで戻るものと期待している。
ところが、航空運賃そのものは既に高上りの状態となっている。...
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6月11日付
『AFP通信』は、世界の航空運賃は高騰状態が続くとの専門家の分析について報じている。
世界中を苦境に陥れたCOVID-19は、昨年漸く沈静化に向かい、多くの国で移動制限が解除され、経済活動が戻りつつある。
そこで航空業界としても、今年から旅客数がコロナ禍前のレベルまで戻るものと期待している。
ところが、航空運賃そのものは既に高上りの状態となっている。
この理由は、コロナ禍で落ち込んだ売り上げを補填するだけでなく、2022年2月下旬に始まったウクライナ戦争に伴うエネルギー価格の高騰による。
米ミズーリ州のセントルイス連邦準備銀行公表のデータによると、米国における2023年4月現在の航空運賃指標は、コロナ禍前の2019年4月より11%も上昇しているという。
また、フランス民間航空局(1946年設立)によると、フランスの今年4月現在の航空運賃は4年前と比べて32.6%、アジア太平洋地域方面の運賃は実に51%も上昇しているとする。
ただ、航空運賃の25~30%と最も多くを占める燃料費の高騰が昨年より沈静化してきても、運賃値下げの兆しはみえない。
国際航空運送協会(IATA、注後記)発表のデータによると、今年の原油価格は1バレル当たり98.5ドル(約1万3,790円)と、昨年の135.6ドル(約1万8,980円)より大幅に下がると見込まれている。
しかし、IATAのマリー・オーウェンズ・トムセン主任エコノミスト(2022年就任)は先週(6月5日の週)に開催された年次総会で、“人件費やその他諸々の費用は更に高騰する恐れがある”と表明した。
同氏は、“コロナ禍に伴う膨大な債務を弁済すべく、運賃値上げで対応してきたが、今後の燃料費以外のコスト上昇をカバーするため更に運賃を上げざるを得ないと見込まれる”と言及している。
米大手コンサルティング会社マッキンゼー(1926年設立)の航空業界専門のビック・クリシュナン氏は、“目下の航空運賃に影響を与える問題は、原油市場というより、航空業界が提供できる搭乗券数以上の旅客が殺到していることにある”とする。
すなわち、多くの部品不足等供給網問題に見舞われている航空機メーカーが、受注分の航空機製造・納入遅延問題を起こしており、このため、航空業界が必要とする発注済みの航空機の手当てが予定どおり進んでいないからであるという。
更に、米コンサルティング会社ベイン&カンパニー(1973年設立)のジェフリー・ウェストン氏は、“多くの航空会社が、コロナ禍で止む無く削減した乗務員、地上職員、補修員等を再雇用するため、コロナ禍前より高い報酬を払って確保する必要があった”とコメントしている。
(注)IATA:1945年設立の、世界の航空会社で構成される業界団体。本部ジュネーブ(スイス)。世界300社の主に大手航空会社が加盟し、世界の定期運航の有効座席キロ数のおよそ82%を占める。航空会社の活動を支援し、業界の方針や統一規準制定に寄与。
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