欧米メディア;日本の10月消費支出が5ヵ月連続で前年比増加するも賃金アップ以上の物価上昇を懸念、と報道
総務省の発表によると、10月の世帯消費支出が前年同月比+1.2%となり5ヵ月連続増となったという。しかし、賃金アップ率を更に上回る物価上昇傾向より、再び消費支出の減少が懸念されると欧米メディアが報じている。
12月6日付
『ロイター通信』は、「日本の10月世帯消費支出が5ヵ月連続の上昇」と題して、総務省発表に基づき、日本の消費支出事情に言及しているが、長らく続いた実質賃金横ばい状況から、今後期待される賃金アップ以上の物価上昇懸念より、再び消費支出の落ち込みが予想されると報じている。
総務省が12月6日に公表したデータによると、日本の10月世帯消費支出が前年同月比+1.2%となり、5ヵ月連続で上昇する結果となっているという。...
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12月6日付
『ロイター通信』は、「日本の10月世帯消費支出が5ヵ月連続の上昇」と題して、総務省発表に基づき、日本の消費支出事情に言及しているが、長らく続いた実質賃金横ばい状況から、今後期待される賃金アップ以上の物価上昇懸念より、再び消費支出の落ち込みが予想されると報じている。
総務省が12月6日に公表したデータによると、日本の10月世帯消費支出が前年同月比+1.2%となり、5ヵ月連続で上昇する結果となっているという。
これは、新型コロナウィルス(COVID-19)新規感染者減少傾向に伴い、より多くの人々が買い物や外食に繰り出し始めたためとみられる。
日本の経済活動の半分余りを占める個人消費支出の増加は、経済成長にとって良い材料ではあるが、円安と共に悪化するインフレーションの結果、賃金アップの見込みが弱々しくなるとみられることから、先行きの消費支出増見込みは余り芳しくない。
実際問題、12月6日にリリースされた厚生労働省のデータによると、10月の実質賃金は、絶え間ないインフレーションの影響からか、2015年6月以来最大となる▼2.6%もの落ち込みとなっている。
SMBC日興証券(1918年前身設立)の宮前耕也シニアエコノミスト(43歳)は、“(コロナ禍の回復に伴い)社会生活や経済活動が正常に戻りつつあることから、個人消費は年内一杯底堅いとみられるが、物価高騰が消費支出の伸びに少なからぬ影響を及ぼす”とコメントした。
その上で、“来年春の定期昇給時期に基本給の上昇が幾分期待されるものの、物価上昇率が2%程と予想されており、賃金アップよりインフレーションの方が先行しているため、個人消費に悪影響を及ぼすことになろう”と付言している。
ただ、12月6日付『共同通信』によれば、岸田文雄首相(65歳、2021年就任)は、来春の年間基本給交渉の結果に伴って日本の経済成長の好循環に繋がると信じると発言したとする。
しかし、10月のコア消費者物価(天候等によって価格変動が激しい生鮮食品を除いた物価)は、折からの円安に伴う輸入品価格高騰に伴い、前年同月比+3.6%増と直近40年間で最大となっている。
そのため11月の経済指標は、食品や光熱費の絶え間ない上昇やCOVID-19感染再拡大の影響で軒並み悪化している。
特に、消費者態度指数(注後記)は、2020年6月以来の最低値まで落ち込んでいる。
一方、内閣府の11月15日公表データによると、折からのインフレーションや世界経済の鈍化の影響から、第3四半期(7~9月期)の経済成長率は▼0.3%(年率▼1.2%)と1年振りのマイナス成長となっている。
ただ、『ロイター通信』が先月下旬に実施した調査の結果、第4四半期(10~12月期)の経済成長率は年率+3.1%に立ち直ると経済アナリストはみている。
(注)消費者態度指数:近い将来、物やサービスを購入する気があるかどうかなどの消費者心理を示す指標。指数が大きいほど、いわゆる財布の紐が緩いことを表す。1977年に当時の経済企画庁が初めて算出を行い、その後、内閣府が消費動向調査の一環として毎月発表。2001年から政府の景気動向指数の先行指標にも採用。消費者心理を表す指標は、ミシガン大学のサーベイ・リサーチセンターが1960年代から実施しているミシガン大学消費者信頼感指数や、民間経済研究所の全米産業審議会が1960年代から発表している消費者信頼感指数が著名で、米国の景気や消費動向を知る上で重要な指標として市場関係者らに注目されている。
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2022年生活費が最も高い都市はニューヨークとシンガポール
イギリスの経済誌「エコノミスト」の調査部門の最新レポートによると、今年世界で最も生活費が高い都市はニューヨークとシンガポールとなったという。
12月1日付英
『ガーディアン』:「2022年世界で最も物価が高い都市はニューヨークとシンガポール」:
今年最も生活費が高い都市はニューヨークで、シンガポールと並んだ。調査を行ったエコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)の世界主要都市の物価比較レポートによると、世界各地でエネルギー価格が急騰し、インフレ率が倍増した影響とみられる。
昨年首位だったテレアビブ(イスラエル)が3位に下落。...
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12月1日付英
『ガーディアン』:「2022年世界で最も物価が高い都市はニューヨークとシンガポール」:
今年最も生活費が高い都市はニューヨークで、シンガポールと並んだ。調査を行ったエコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)の世界主要都市の物価比較レポートによると、世界各地でエネルギー価格が急騰し、インフレ率が倍増した影響とみられる。
昨年首位だったテレアビブ(イスラエル)が3位に下落。シドニーがトップ10入りし、ロシアのモスクワとサンクトペテルブルグは経済制裁や石油価格上昇の影響で88位も上昇した。
ベネズエラの首都カラカスは今年物価が132%上昇、2019年のハイパーインフレの影響でランクは下がったものの高止まりしている。
通貨が下落しランクを落とした都市もある。東京や大阪は最もランクを落とした10都市に入り、それぞれ37位と43位で、2021年の13位と10位から下がった。最も下げ幅が大きかったのは、スウェーデンのストックホルムとルクセンブルグで、38位下がって99位と104位となった。シリアのダマスカス、リビアのトリポリは依然として最も生活費の安い都市となっている。
シンガポールがトップに立ったのは全く驚くべきものではなく、2021年にも2位タイ、過去10年間で8回も首位となっており、今年ニューヨークが首位となったのは初のこと。
イギリスの3都市はすべて順位を落とした。ロンドンは昨年の17位から28位に、エジンバラは27位から46位、マンチェスターは41位から73位に下がっている。オーストラリアを見ると、港湾都市を中心に総じて上昇。
上昇を続ける石油価格がインフレの最たる要因で、平均すると1リットルあたり22%値上がりしている。ロシア以外の代替供給先をさがしている欧州の都市では、天然ガスや電気も29%値上がりし、世界平均11%の3倍となっている。
レポートによると、今後はウクライナ戦争が激化しない限り、エネルギーや食糧などの物価は、2022年の上昇率と比べれば、2023年には安定するとみられる。
同日付香港『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』(AFP通信):「インフレの影響で世界一物価の高い都市はニューヨークとシンガポール」:
2022年の世界的インフレにより、世界で最も生活費が高い都市にニューヨークとシンガポールが選ばれた。1日英エコノミストの調査部門が8月、9月に実施した「世界各地の生活費インデックス」に関する最新レポートが発表された。
レポートによると、「ウクライナ戦争や長引くパンデミックにより、エネルギーや食糧の流通が困難になったことから、世界の大都市で生活費が高騰した」という。
ニューヨークが1位となったのは初の一方、香港とロサンゼルスは5位から脱落。最も生活費が安い都市は変わらず、ダマスカス(シリア)とトリポリ(リビア)だった。
調査対象の172の都市での物価上昇率は平均8.1%と高騰した。国により多少の違いはあるが、アジアの各都市では、物価上昇率は平均4.5%と、急激な上昇は免れる傾向にあった。
調査では5万項目の商品が米ドルに換算され、「都市ランキングにはドル高の影響が大きい」。今年FRBがインフレ抑制策として金利を引き上げたことでドルが上昇した。ニューヨークの他、米国ではロサンゼルスとサンフランシスコがトップ10にランクインした。
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