クアッド、中国の対抗勢力として更なる進化の必要性(2022/05/24)
日本、米国、オーストラリア、インドを含む4カ国安全保障の枠組「クアッド」の2回目の対面式の首脳会談が今日、東京で開催された。
インド英字紙
『ディカン・ヘラルド』は、クアッド首脳会談は、中国とクアッド加盟国との関係が緊迫している時であり、北京は民主的価値観に挑戦し、強圧的な貿易慣行に頼るようになってきている時期に開催された、と報じている。中国は係争中の南シナ海のほぼ全域に対する領有権を主張しているが、台湾、フィリピン、ブルネイ、マレーシア、ベトナムはいずれもその一部の領有権を主張している。そうした中、中国政府は、南シナ海に人工島と軍事施設を建設している。...
全部読む
インド英字紙
『ディカン・ヘラルド』は、クアッド首脳会談は、中国とクアッド加盟国との関係が緊迫している時であり、北京は民主的価値観に挑戦し、強圧的な貿易慣行に頼るようになってきている時期に開催された、と報じている。中国は係争中の南シナ海のほぼ全域に対する領有権を主張しているが、台湾、フィリピン、ブルネイ、マレーシア、ベトナムはいずれもその一部の領有権を主張している。そうした中、中国政府は、南シナ海に人工島と軍事施設を建設している。
英『BBC』は、首脳会談はインド太平洋地域の地政学と安全保障に影響を与える、近年で最も重要な会議の一つと言える、と報じている。4カ国首脳会談は、昨年9月にワシントンで、対面式で行われた後、オンラインで2回開催され、今回4回目の会議となる。『BBC』は、これは、2017年までほとんど概念に過ぎなかったクアッドをトランプ前米大統領が本格的に始動させて以降、その重要性が増していることを示唆していると指摘している。また、過去数年間、クアッド各国の中国との二国間関係が着実に悪化していることも、この枠組みに新たな推進力を与えていると伝えている。
中国は、地域における主張を強めており、複数の国との間で、海上紛争でもめている以外にも、インドとの間では陸上境界線で争いが起こっている。また、中国政府は海軍の強化に多額の投資を行っており、ソロモン諸島との安全保障条約はオーストラリアに懸念を抱かせている。オーストラリア政府によって確認された条約協定の草案では、中国の軍艦が島々に停泊することが認められ、中国政府は「社会秩序の維持を支援する」治安部隊を派遣することができると述べている。日本も、中国海軍の日常的な「侵略」行為に警戒感を強めている。米国としても、この地域における自国の権益を守りたいという思惑がある。米国が主導で、地域の13カ国が参加するインド太平洋経済枠組み(IPEF)が発足されたことは、その一環である。
印『ディカン・ヘラルド』によると、バイデン大統領は「私たちは、クアッドが一時的なものではなく、本気なのだということを示した。私たちはこの地域のために物事を成し遂げるためにここにいる。私たちが一緒に築いているものを誇りに思うし、私たちの重要なパートナーシップが繁栄し、今後何年にもわたって続いていくことを楽しみにしている」と語った。オーストラリアの新しい首相アルバニージー氏も、「オーストラリア政府は、より強靭なインド太平洋地域の構築を優先する」と述べた。
インド日刊紙『インディアン・エクスプレス』は、モディ首相は、クアッドは世界の舞台で重要な位置を占め、その範囲は拡大していると述べ、ワクチン、気候変動対策、サプライチェーンの回復力、災害対応、経済援助において成果を上げており、インド太平洋地域の平和、繁栄、安定が確保されていると述べたと伝えている。
しかし、『BBC』によると、米シンクタンク「ウィルソン・センター」マイケル・クーゲルマン副所長は、クアッドがアセアン諸国を含むこの地域から中国に対する主要な対抗勢力と見なされるようになるには、もっと多くのことを行う必要があると述べている。そして、アセアン諸国もクアッド諸国も中国との貿易量が多いため、少なくともクアッドがこの地域で確かな安全保障を提供できるようになるまで、中国との直接的な対立は避けようとするだろうと述べている。「クワッドは長い道のりを歩んできたが、まだ非公式な構造であり、事務局もない。進化し続ける必要がある」と指摘している。
閉じる
仏大統領のスウェット姿、大統領選挙に向けてゼレンスキー風のイメージ戦略か(2022/03/15)
常に完璧なスーツスタイル姿で知られるフランスのエマニュエル・マクロン大統領。突如、大統領の公式カメラマンであるソアジグ・ドゥ・ラ・モワソニエール氏が、自身のインスタグラムでこれまでに見たことのなかったカジュアルなスウェット姿の大統領の写真を公開したことで、国内外で多くの反響を呼んでいる。
フランスの地方日刊紙
『ミディ・リーブル』電子版によると、インスタグラムで公開された写真は、寝不足で目の下にクマがあり、乱れた髪で、ジーンズに黒いスウェットを着た大統領であった。同紙は、マクロン大統領は、3月14日のインスタグラムで、勤勉な大統領であり国際外交官であることをアピールしていると伝えている。
写真を公開した大統領府の公式カメラマンであるソアジグ・ドゥ・ラ・モワソニエールのアカウントには、様々な見解が寄せられている。...
全部読む
フランスの地方日刊紙
『ミディ・リーブル』電子版によると、インスタグラムで公開された写真は、寝不足で目の下にクマがあり、乱れた髪で、ジーンズに黒いスウェットを着た大統領であった。同紙は、マクロン大統領は、3月14日のインスタグラムで、勤勉な大統領であり国際外交官であることをアピールしていると伝えている。
写真を公開した大統領府の公式カメラマンであるソアジグ・ドゥ・ラ・モワソニエールのアカウントには、様々な見解が寄せられている。4月の大統領選に向けて、ロシアの攻撃開始以来、SNSでTシャツと私服姿を披露しているウクライナのゼレンスキー大統領ばりのPRスタントだと見る向きもある一方で、選挙戦中の大統領が国家儀礼から離れ、「人々の日曜日の服装と同じようなカジュアルな姿」を披露したと見る向きもある。ドイツのあるネットユーザーは、「もしエマニュエル・マクロンがまだ今年の選挙で大本命でなかったら、この写真で本命になっていただろう」とコメントしている。
仏日刊紙『ルモンド』は、ツイッター上でもコメントが飛び交っていると伝えている。「これで明らかになった。彼は自分がゼレンスキーだと思っている、想像以上にひどい。」、 「スウェットが格好いいから、彼に投票することにしたよ」、「10代のパーカーを着て写真を撮るのは、80代以上とは違う層にアプローチしようとするためだ」、「英語の口頭試問で高校生風のスウェットを着た大統領。これはフェイクか?」、「マクロン大統領はパーカーとスキニージーンズでゼレンスキーのようなカジュアルっぽさを演じている。すごい演出だ!」と 様々な反応が集まっている。
海外メディアも写真に注目している。米ニュースサイト『TMZ』は、「ゼレンスキー大統領はその勇敢さで人々の心を掴んでいるが、ファッションでも勝利を収めているかもしれない、というのも、別の国の指導者が彼から服装のヒントを得ているようなのだ。」と報じている。普段のマクロン大統領はスーツに革靴、髭も剃っている。一方、常にカジュアルな姿のゼレンスキー大統領は国民の味方というイメージが強い。同ニュースサイトは、「問題は、バイデン大統領もそのうちテニスシューズとおじさん帽子でホワイトハウスにやってくるかどうかだ。」とコメントしている。
英『エクスプレス』は、マクロン大統領が4月の再選挙を控え、現在約53%の有権者が不支持を表明しているため、ゼレンスキー風のイメージに刷新しようとしているようだと主張している。デイリーテレグラフの記者エド・カミングは、「フランスのマクロン大統領は、ウクライナの非の打ちどころのないメディアキャンペーンを、判断を鈍らせるほどの羨望のまなざしで見つめていることは明らかだ。エリゼから発信される一連の奇妙な写真撮影を他にどう説明すればいいのだろうか?」と指摘している。
また、「先週、プーチンとの電話会談が失敗に終わった後、白いシャツ姿のマクロンの、執務室の椅子の背もたれをひたすら握りしめている姿、鼻梁をつまんで苦悶している姿、顔の前で手を組んで苦悩している姿と3枚の写真を目にした。マクロン氏にとっての問題は、他の指導者と同様に、政治的な写真撮影は現実世界の出来事の重圧に見合うものでなければならないということだ。多少の身だしなみや演出は許せるが、重々しさを出すのは無理がある。ゼレンスキーがその仕事にぴったりな人のように見えるとしたら、マクロンはスティーブ・ジョブズのために働く男のように見える。戦時中のリーダーよりも、ウォーハンマー(ミニチュアゲーム)のリーダーのように見える。」と指摘している。
閉じる
その他の最新記事