インド英字紙
『ディカン・ヘラルド』は、クアッド首脳会談は、中国とクアッド加盟国との関係が緊迫している時であり、北京は民主的価値観に挑戦し、強圧的な貿易慣行に頼るようになってきている時期に開催された、と報じている。中国は係争中の南シナ海のほぼ全域に対する領有権を主張しているが、台湾、フィリピン、ブルネイ、マレーシア、ベトナムはいずれもその一部の領有権を主張している。そうした中、中国政府は、南シナ海に人工島と軍事施設を建設している。
英『BBC』は、首脳会談はインド太平洋地域の地政学と安全保障に影響を与える、近年で最も重要な会議の一つと言える、と報じている。4カ国首脳会談は、昨年9月にワシントンで、対面式で行われた後、オンラインで2回開催され、今回4回目の会議となる。『BBC』は、これは、2017年までほとんど概念に過ぎなかったクアッドをトランプ前米大統領が本格的に始動させて以降、その重要性が増していることを示唆していると指摘している。また、過去数年間、クアッド各国の中国との二国間関係が着実に悪化していることも、この枠組みに新たな推進力を与えていると伝えている。
中国は、地域における主張を強めており、複数の国との間で、海上紛争でもめている以外にも、インドとの間では陸上境界線で争いが起こっている。また、中国政府は海軍の強化に多額の投資を行っており、ソロモン諸島との安全保障条約はオーストラリアに懸念を抱かせている。オーストラリア政府によって確認された条約協定の草案では、中国の軍艦が島々に停泊することが認められ、中国政府は「社会秩序の維持を支援する」治安部隊を派遣することができると述べている。日本も、中国海軍の日常的な「侵略」行為に警戒感を強めている。米国としても、この地域における自国の権益を守りたいという思惑がある。米国が主導で、地域の13カ国が参加するインド太平洋経済枠組み(IPEF)が発足されたことは、その一環である。
印『ディカン・ヘラルド』によると、バイデン大統領は「私たちは、クアッドが一時的なものではなく、本気なのだということを示した。私たちはこの地域のために物事を成し遂げるためにここにいる。私たちが一緒に築いているものを誇りに思うし、私たちの重要なパートナーシップが繁栄し、今後何年にもわたって続いていくことを楽しみにしている」と語った。オーストラリアの新しい首相アルバニージー氏も、「オーストラリア政府は、より強靭なインド太平洋地域の構築を優先する」と述べた。
インド日刊紙『インディアン・エクスプレス』は、モディ首相は、クアッドは世界の舞台で重要な位置を占め、その範囲は拡大していると述べ、ワクチン、気候変動対策、サプライチェーンの回復力、災害対応、経済援助において成果を上げており、インド太平洋地域の平和、繁栄、安定が確保されていると述べたと伝えている。
しかし、『BBC』によると、米シンクタンク「ウィルソン・センター」マイケル・クーゲルマン副所長は、クアッドがアセアン諸国を含むこの地域から中国に対する主要な対抗勢力と見なされるようになるには、もっと多くのことを行う必要があると述べている。そして、アセアン諸国もクアッド諸国も中国との貿易量が多いため、少なくともクアッドがこの地域で確かな安全保障を提供できるようになるまで、中国との直接的な対立は避けようとするだろうと述べている。「クワッドは長い道のりを歩んできたが、まだ非公式な構造であり、事務局もない。進化し続ける必要がある」と指摘している。
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