周知のごとく、中国発の新型コロナウィルス集団感染問題は収束どころか、世界各地に飛び火している。そうした中、米国含めた多くの国が、“中国人お断り”と、このときとばかり中国廃絶運動を展開している最中、日本が友好の証として、心温まる支援を行っていることについて中国政府も市民も感謝していると米メディアが報じている。ただ、第二次大戦時から続く両国間の長い確執に漸く雪解けが訪れるようとしていると好意的に論じているものの、大戦中の南京大虐殺の犠牲者が30万人と、当時の当該地域周辺の総人口とほぼ同じ犠牲者数であることの非現実性に言及することなく、中国側の根拠のない言い分をそのまま掲載していることは気にかかる。
2月25日付
『CNNニュース』:「新型コロナウィルス問題を契機に日中関係が雪解け」
新型コロナウィルスが中国で猛威を振るう最中、日本青少年育成協会がマスクや体温計等の支援物資を中国宛に送付した際、段ボール箱に書かれた「山川異域・風月同天」という言葉に中国側が大いに感激している。
“違う地域だが、同じ空の下に住んでいる”という意味の漢詩で、1,300年以上前(奈良時代)、当時の天皇の孫が中国の高僧である鑑真和上(688~763年)宛に送ったものである。...
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2月25日付
『CNNニュース』:「新型コロナウィルス問題を契機に日中関係が雪解け」
新型コロナウィルスが中国で猛威を振るう最中、日本青少年育成協会がマスクや体温計等の支援物資を中国宛に送付した際、段ボール箱に書かれた「山川異域・風月同天」という言葉に中国側が大いに感激している。
“違う地域だが、同じ空の下に住んでいる”という意味の漢詩で、1,300年以上前(奈良時代)、当時の天皇の孫が中国の高僧である鑑真和上(688~763年)宛に送ったものである。
同僧はこれにいたく感激して、日本に渡って仏教を広める決意をしたと言われている。
この漢詩は、中国のツイッター微博(ウェイボー)で瞬く間に中国全土に拡散された。
現在、中国における新型コロナウィルスでの死亡者は2,700人を超え、感染者は8万人を上回っている。
そうした中での日本からの支援に対して、中国外交部(省に相当)の耿爽(クァン・シュアン)報道官は今月初め、困難なときに厚い支援の手を差し伸べてくれる日本に大いに感謝すると表明した。
と同時に、同報道官は、米国が過剰な反応を示して、いの一番に武漢(ウーハン)から同国人を退去させただけでなく、中国人の入国を拒否するという暴挙に出ていると非難している。
中国にとって日本は、第二次大戦中の様々な被害をもたらした敵であった。
すなわち、1937年7月から始まった旧陸軍による中国侵攻作戦(支那事変)、同年12月の推定30万人が犠牲になった南京(ナンキン)大虐殺(編注;南京は当時の中華民国首都)、更には、1938年2月から1943年8月の間に数多行われて推定3万2千人が犠牲になった重慶(チョンチン)戦略爆撃(編注;重慶は南京から退散した中華民国の新たな首都)等々である。
爾来、日中間では旧日本軍の侵略の歴史としてしばしば問題提起され、近年でも、2013年に尖閣諸島(中国名釣魚島)の領有権問題で激しく対立している。
特定非営利活動法人言論NPO(多くの有識者ネットワークから成るシンクタンク、2001年設立)が当時行った世論調査によると、中国人回答者の92.8%が日本に対して否定的な感情を持っていたという。
しかし、言論NPOが2019年に行った調査によると、日本に否定的な感情を持っていると答えたのは52.8%まで減っている。
背景には、2014年11月北京開催のアジア太平洋経済協力会議(APEC)で安倍晋三首相と習近平(シー・チンピン)国家主席が世界の報道陣の前で初めて握手したことを皮切りに、2018年5月に両首脳間で朝鮮半島非核化問題について電話会談が行われ、同年10月に安倍首相が首相就任以来初めて訪中(日本の首相として7年振り)するという、一連の政治的歩み寄りがあると言える。
言論NPOの工藤泰志理事長は、政治的関係改善に触発されて、民間ベースでの交流、特に中国人による日本旅行や日本の文化(アニメ等)への関心の高まりが進んでいったと分析している。
同理事長によれば、2018年の訪日中国人旅行者は838万人で、2013年時の実に6倍増となっているという。
なお、新型コロナウィルス問題に関わり、2月18日現在、日本の民間レベルでの対中国支援は、300万余りのマスクや4,396万人民元(630万ドル、約6億9千万円)に上る義援金が贈られている。
また、日本政府からも、例えば武漢在住邦人退去のために送ったチャーター機に様々な防疫品を積載させたことを初め、厚い支援が行われている。
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中国政府当局は5日、若者のゲーム依存対策の一環として、時間制限やゲームの課金上限額などを定める新たな規制を発表した。中国は世界最大のビデオゲーム市場の1つだが、子どもたちの近視の悪化などの健康への影響や、ネット依存症への懸念から、同国政府はゲーム業界に対する規制を強化してきた経緯にある。
『AFP通信』や英
『BBC』『ガーディアン』などの報道によると、中国政府は5日に新規制を発表した際の声明で、「ゲームのコンテンツ、機能、ルールなどを修正」し、若者らがゲーム依存に陥ることを防止するようゲーム制作会社に求めた。
今回発表された新たな規制では、18歳未満の子どもは、夜10時から朝8時までオンラインゲームをすることができなくなり、日中などの時間帯でも、遊ぶことが可能な時間は、平日は90分まで、週末や祝日は3時間までに制限される。オンラインゲームの課金上限額も、16歳未満については月200人民元(約3,130円)、16~18歳については月400元(約6,260円)までとなる。
新規制ではさらに、ゲームをする人全てに対し、ユーザー登録の際に、実名のほか、インスタント・メッセンジャーアプリのウィーチャット(微信)のアカウント情報や、電話番号、身分証明書番号などの個人情報の登録を義務付けるという。
本規制をめぐり、中国のソーシャルメディア、ウェイボー(新浪微博)上には7日、2億1000万件もの意見が寄せられた。あるユーザーは、「この発表は、若者はゲームをしてはならないということだ。中国の殆どの10代の若者は、朝6時半から夜10時までは学校などに行っている。」と批判した。また、親など自分以外の身分証番号などを入手して、アカウントを作成することも簡単にできるため、規制の効果を疑問視する投稿もあった。
昨年、中国政府はオンライン上で行うことが可能なゲームの数を制限すると発表し、新ゲームの発売などを抑制し、未成年の子供たちがゲームをする時間を削減する規制を導入している。今回の新規制はこうした動きをさらに進め、具体化したものだ。
未成年者のビデオゲーム利用の抑制については、企業側でも取り組みが進められている。世界最大のゲーム会社である中国のインターネットサービス大手テンセント(騰訊)は今年3月、新たな制限を設けると発表し、実名登録などの対策を既に講じている。
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