中国政府が一人っ子政策の問題顕在化で出産を奨励、発行切手にその気持ちが表れる?
中国政府は1979年以来続けてきた人口抑制策の一人っ子政策について、2016年に規制を一部緩和して都市部で二人目の子供を持つことを認めた。しかし、その後も出生率は上向かず、人口抑制策による問題が顕在化しており、子供の数を増やすよう呼びかけている。
中国共産党の機関紙「人民日報」にこのほど、「子供を産むことは家族の問題であるが、国家の問題でもある。」と題した一面の論説コラムが掲載された。それは「低い出生率が経済や社会にもたらす影響が表れ始めている。」と警告し、子供を産むよう奨励するとともに、若い人々が家庭を持つことが可能となるよう、公共政策の推進を求めている。
中国郵政が最近新たな切手を発表したが、その図案は、人々が持つことのできる子供の数に関して残る制限が撤廃されることをうかがわせる。...
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中国共産党の機関紙「人民日報」にこのほど、「子供を産むことは家族の問題であるが、国家の問題でもある。」と題した一面の論説コラムが掲載された。それは「低い出生率が経済や社会にもたらす影響が表れ始めている。」と警告し、子供を産むよう奨励するとともに、若い人々が家庭を持つことが可能となるよう、公共政策の推進を求めている。
中国郵政が最近新たな切手を発表したが、その図案は、人々が持つことのできる子供の数に関して残る制限が撤廃されることをうかがわせる。その切手は、来るべき亥年用に発行されるもので、両親と3匹の子供が描かれており、政府がさらに大家族を奨励する方針を示すものとしてSNSなどで話題となっている。2016年の申年の記念切手にも、2匹の子猿が描かれ、一人っ子政策を放棄することを認めたものと見られていた。
政府は一人っ子政策を変更したが、人口統計上の影響は益々顕在化している。中国では高齢化が進展して労働人口が縮小しており、高齢者への社会的支援が未だ整わない中、若者は両親と祖父母を支えている。2017年には同国の一人の女性が生涯に産む子供の数を示す出生率は1.6であり、人口を維持するために必要と見込まれる2.1を大きく下回った。
単純に政策を転換するだけでは効果は出ない。中国の都市の中間層の出生率は、西欧諸国と同様に低いが、経済的な面が影響している。人民日報の論説も、「特に都市部においては、子供を持つための費用は高くなる一方だ。出産から学校まで経済的・時間的負担は増大している。都市部に住む若い層の多くは、子供を持ちたがらない。」と指摘し、子供を増やすためには、教育や医療の提供などの面で政府の奨励策が必要としている。
この論説に対し、ネット上では大きな反響があった。中国版ツイッターの新浪微博(ウェイボー)には多くの意見が寄せられている。批判的なコメントは削除されている可能性があるが、論説の主張を支持し、政府の措置を求める声が多い。
就業における性差別を禁じる法律はあるものの、中国の女性は就職難に直面している。子供をさらに持つことが奨励されれば、今後子供を産む可能性がある女性を企業が敬遠し、さらに就職時に不利な扱いを受けるのではないかと懸念する声も一方では上がっている。
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中国、「金銭崇拝」や偽契約を理由に映画スターの給与に上限
【28日付
『ガーディアン』『BCC』など】 中国当局は、27日、エンターテイメント産業が「金銭礼拝」と「社会的価値の歪曲」を促進していると批判し、有名人の収入に上限を課した。
中国の税務当局、テレビ・映画取締官、宣伝部などの5つの政府機関からの共同通知によると、俳優の給与は総生産コストの40%までに制限されるべきとある。新華社通信に掲載された発表によると、主演俳優は出演者の総賃金の70%以上を受け取るべきではないという。
この指令は、中国の有名人が偽契約を結んで税金を逃れようとしていることへの非難を受け、発表された。
5月、中国のテレビ司会者のツイ・ヨンユアン氏が、中国で最も稼いでいる俳優の一人であるファン・ピンピン氏が結んだと考えられる契約書の写真を投稿した。...
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中国の税務当局、テレビ・映画取締官、宣伝部などの5つの政府機関からの共同通知によると、俳優の給与は総生産コストの40%までに制限されるべきとある。新華社通信に掲載された発表によると、主演俳優は出演者の総賃金の70%以上を受け取るべきではないという。
この指令は、中国の有名人が偽契約を結んで税金を逃れようとしていることへの非難を受け、発表された。
5月、中国のテレビ司会者のツイ・ヨンユアン氏が、中国で最も稼いでいる俳優の一人であるファン・ピンピン氏が結んだと考えられる契約書の写真を投稿した。契約額は片方が156万ドル、もう片方が780万ドルとなっていて、より少額の契約のみが当局に報告される、脱税の一般的な方法である「陰陽契約」の実例となった。
ファン氏は如何なる違法行為も否定しているが、ツイ氏は他の有名人についても同様に訴えている。ファン氏が映画スタジオを経営する江蘇省の税務当局は今月、「ネット上の議論で主張されている特定の映画・テレビのプロ」による脱税について調査を開始したと述べた。
指令では、陰陽契約は俳優らが映画業界の質を損なうだけでなく、若者に「盲目的に俳優に憧れを抱か」せると批判した。業界は「興行成績とクリックスルー率だけ」を気にするのではなく、社会的利益を最優先すべきであるとしている。しかし実際にどのようにして給与の上限が課されるかなどの詳細には触れていない。
中国の監督当局は、エンターテイメントや映画業界、特にオンラインコンテンツの統制に取り組んでいる。映画スターの莫大な収入を批判する人が増えているためこの指令を支持する中国国民は多いだろう。
あるウェイボーユーザーは「社会は彼らにあまりにも多くを与え、彼らがそのお返しに何をしたか見てごらん」と書いた。「雷鳴は大きいが、雨粒は小さい。」と指令が実際に変化をもたらすか懐疑的な人もいた。
中国当局は議論の多発を警戒している。今月初めに当局は報道機関に「映画やテレビ業界の人々や「陰陽契約」に関する税務問題についての内容は控えるように」との指令を出している。
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