ロシア政権に近い富豪新興財閥(オリガルヒ)のロシア人が、米企業の企業秘密をハッキングによって盗み出し、その情報に基づいてインサイダー取引を行って暴利を上げたとして米当局によって逮捕・拘束されている。そしてこの程、米連邦地裁での審理が始まった。
1月30日付
『AP通信』は、「ロシア人富豪、ハッキング及びインサイダー取引容疑で審理開始」と題して、ロシア政権に近い大富豪オリガルヒが、米企業にハッキングを仕掛けて盗み出した機密情報に基づくインサイダー取引で暴利を上げていたとして、米連邦地裁で裁かれることになったと報じている。
米検察官は1月30日、米連邦ボストン地裁の審理に当たっている陪審員に対して、ロシア人富豪にかけられた、ハッキング及び機密盗み出しによる違法な暴利を上げた容疑についての訴状を読み上げた。
同訴状によると、被告人はロシアIT企業大手M-13(メディア監視・サイバーセキュリティ事業展開)の創設者、かつロシア政府上層部との結びつきが強いウラディスラフ・キリューシン(42歳)で、マイクロソフト(1975年設立)やテスラ(2003年設立)等の米大手企業にハッキングを仕掛けて企業機密を盗み出し、当該情報を基にインサイダー取引を繰り返したという。
同被告は2021年3月、プライベートジェットに乗ってスイスにスキー旅行で訪れた際、米当局の要請に基づいてスイス警察によって逮捕されていた。
その後、同年12月に米当局に引き渡され、そのまま保釈されることもなく、今回の審理を迎えたものである。
ただ、総額9千万ドル(約117億円)に上るインサイダー取引事件に関わったとされる4人の共謀者のうち、逮捕されているのはキリューシン被告のみである。
その中には、2016年米大統領選不正介入容疑をかけられているロシア軍情報担当高官も含まれ、依然逮捕されていない。
ステファン・フランク検察官は陪審員に対して、キリューシン一派は盗み出した企業機密情報を使ってインサイダー取引を繰り返すスキームを作りだし、“キリューシン被告は200万ドル(約2億6千万円)を投じて2,100万ドル(約27億3千万円)の不当利益を得る等、グループ全体で900万ドル(約11億7千万円)を元手に合計9千万ドルを稼ぎ出した”と訴えた。
同検察官はまた、“この取引は運の結果でも慎重に金融動向調査等を行ったためでもなく、単に市場を欺いた犯罪だ”とも付言した。
これに対して、キリューシン被告の代理人マキシム・ネムツェフ弁護士は陪審員に対して、検察側陳述は“穴だらけ”で“推論”のみで構成されているとした上で、キリューシン氏はハッキング行為が発覚して取引が停止される遥か以前から、米企業の株取引を行っていて、既に巨万の利益を上げていた、と反論を申し立てた。
更に同弁護士は、“ロシア人であること、裕福であること、また、ロシア政府と契約を締結しているIT企業を所有していることで、何ら違法となることはない”とも強調した。
なお、先に言及されたロシア軍情報担当高官はイワン・エルマコフ容疑者で、2016年米大統領選の際、ヒラリー・クリントン民主党候補や民主党本部にハッキングを仕掛けて情報を盗み出す等して、同大統領選の結果に影響を与えた容疑で2018年に訴追された12人のロシア人容疑者のうちのひとりである。
同容疑者はかつてキリューシン被告所有のIT企業に勤めており、特に同被告と繋がりが強く、同被告より住居も買い与えられていた程である。
同日付『ロイター通信』は、「ロシア政府と緊密なロシア人実業家、ハッキング及びインサイダー取引容疑で裁判」と詳報している。
今回裁判にかけられたキリューシン被告は、2022年2月のロシアによるウクライナ軍事侵攻で米ロ関係が破綻する以前から、米ロ関係を危うくする容疑者のひとりとしてマークされていた。
すなわち、同被告は2021年3月にスイスで逮捕され、同年12月に米国に移送される以前から、米企業等にハッキングを仕掛け、盗み出した機密情報を基にインサイダー取引で暴利を貪っていた。
また、彼の共謀者の中には、2016年米大統領選に不当介入して訴追されている元ロシア軍情報担当高官も含まれている。
なお、1月30日に始まった同被告の審理は、今後3週間続けられる予定である。
その際、米検察官は、同被告がインサイダー取引で上げた暴利で購入した400万ドル(約5億2千万円)の豪華ヨットの写真を陪審員に見せようと考えていたが、米連邦ボストン地裁のパティ・サリス裁判官(71歳)は先週、陪審員に“同被告がこれ程裕福なオリガルヒだ”との先入観を与えかねないとして、複数の写真を見せることは禁じていた。
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1月2日付米
『ビジネスインサイダー』:「NASA局長、中国は米を制し月領土を主張する恐れ」:
NASAのトップが、中国が米国との月面到達競争に勝ち月を占領しようとしていると述べている。
1日に発表されたポリティコとのインタビューで、米航空宇宙局のビル・ネルソン局長は、中国軍の南シナ海進出のようなことが、月でも起きる可能性を示唆。「米中は事実上の宇宙競争をしており、科学研究という名目で中国が月面での領土を主張しないか見守る必要がある。...
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1月2日付米
『ビジネスインサイダー』:「NASA局長、中国は米を制し月領土を主張する恐れ」:
NASAのトップが、中国が米国との月面到達競争に勝ち月を占領しようとしていると述べている。
1日に発表されたポリティコとのインタビューで、米航空宇宙局のビル・ネルソン局長は、中国軍の南シナ海進出のようなことが、月でも起きる可能性を示唆。「米中は事実上の宇宙競争をしており、科学研究という名目で中国が月面での領土を主張しないか見守る必要がある。これは全く可能性のないことではない。疑うなら、スプラトリー諸島で中国がしたことをみればよい」と述べている。
昨年撮影された最新画像によると、中国が南シナ海のスプラトリー諸島に軍事基地を建設した様子がみてとれる。
NASAは昨年11月、月の周辺に無人宇宙船「オリオン」を飛ばすアルテミス1計画を完了。その後マスク氏のスペースXも参加したアルテミス3計画では、2025年までに、宇宙飛行士を月面に到着させることを目指している。
中国は近年、ティアンゴン宇宙ステーションを建設した。11月には基地に向け、宇宙飛行士らを乗せた有人船を打ち上げた。中国は、今後10年で、エネルギー資源開発を目的とした月面探査プログラムの一環として、月にむけた3つのミッションを計画している。
同日付『MSN』:「中国は地球上を支配し、次は月面上に領土を拡大しようとしている」:
米航空宇宙局(NASA)のネルソン局長が、中国による月面上の領土計画をめぐり懸念を表している。
ネルソン氏は、中国は月面到着に成功した暁には、月の領土を主張するかもしれないと懸念する。そして、米国は中国との間で、月へ宇宙飛行士を送ろうと競った「宇宙競争」状態にあり、中国が科学研究を装って月に到達しないように見張らなくてはならないとしている。
更に、中国への疑念を抱くネルソン氏は、「中国は月面上の資源豊富な地域で、米国を追い払い、月計画で米国や他国を阻止しようとするだろう」と述べている。その証拠として、習政権が常に主権を主張し続けている南シナ海での中国の進出をあげている。
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