アジア・フィリピン・中国メディア;南シナ海情勢近況-北朝鮮問題尻目に事態は動く(2)(2017/04/25)
4月18日付Globali「南シナ海情勢近況-北朝鮮問題尻目に事態は動く」の中で、“米国シンクタンクは今月、中国の沿岸警備隊(中国海警)の警備艇3隻が、昨年12月から今年2月の間、60日以上にわたりマレーシアのボルネオ島沖に居座って、領有権問題で争うマレーシアを威圧していると発表した”と報じた。そして中国は、従順さを示すドゥテルテ大統領と違って、何かと批判的なローレンザーナ国防相が、南沙(スプラトリー)諸島内のフィリピン実効支配の島に軍人らと訪問したことに対して、中比首脳間合意を損なうと威嚇した。また、中国は、南シナ海海洋資源探査のための深海潜水艇の技術開発を着々と進めている。
4月23日付フィリピン
『インクワイアラー・ネットニュース』:「国防相のパグアサ島訪問で駐留部隊の士気高揚」
フィリピンのデルフィン・ローレンザーナ国防相は4月21日、フィリピンが40年余り実効支配している、南沙諸島内のパグアサ島(英語名シトゥ島)を訪問したが、駐留部隊は士気が上がると歓迎した。
同島を含めた9つの島嶼には、フィリピン軍兵士数十名-主に海軍、空軍、沿岸警備隊の兵士が3ヵ月毎の交替で駐留しているが、同島には未舗装の滑走路、粗末な港や宿泊施設等しかなく、約100名の住民も含めて過酷な住環境である。...
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4月23日付フィリピン
『インクワイアラー・ネットニュース』:「国防相のパグアサ島訪問で駐留部隊の士気高揚」
フィリピンのデルフィン・ローレンザーナ国防相は4月21日、フィリピンが40年余り実効支配している、南沙諸島内のパグアサ島(英語名シトゥ島)を訪問したが、駐留部隊は士気が上がると歓迎した。
同島を含めた9つの島嶼には、フィリピン軍兵士数十名-主に海軍、空軍、沿岸警備隊の兵士が3ヵ月毎の交替で駐留しているが、同島には未舗装の滑走路、粗末な港や宿泊施設等しかなく、約100名の住民も含めて過酷な住環境である。
今回の訪問に当り同国防相は、未舗装の滑走路の舗装含めて、同島のインフラ整備に少なくとも16億ペソ(3,200万ドル、約35億円)の予算を計上したことと、同島を観光地化する計画であることを発表した。
同日付アジア
『アジアン・コレスポンデント』紙:「中国、フィリピン軍幹部の南シナ海島嶼訪問に苛立ち」
中国外交部の陸慷(リゥ・カン)報道官は、ローレンザーナ国防相、エドワルド・アノ空軍大将他軍幹部がパグアサ島を訪問したことについて、非常に憂慮しており不快な事態だと表明した。
今回の行動は、中比首脳間で合意した、両国の領有権問題について対話で解決していくとの取り決めに反することだとも非難した。
一方、同国防相は、搭乗していた飛行機がパグアサ島に向かう途中、同島近くのスビ礁(中国が人工島建設済み)駐留の中国部隊から、中国領空内に侵入しているので速やかに立ち去るよう警告があったが、フィリピン領を訪れるための通常の手段だとして無視したとコメントした。
一方、4月24日付中国
『チャイナ・デイリィ』(
『新華社通信』配信):「中国製深海潜水艇“蛟竜(チャオロン)”、南シナ海での探査活動前に潜航試運転」
中国製有人深海潜水艇“蛟竜”が4月22日、南シナ海での深海探査活動に移る前に、海南島(ハイナン)三?市(サンヤ)沖で18分間の潜航試運転を実施した。
同潜水艇の南シナ海における潜水活動は、中国の第38回海洋科学探査計画(4ヵ月実施予定)の第2段階のものである。また、第3段階として同潜水艇は、ヤップ海溝(編注;フィリピン海南部の最深8,946メーターの海溝)及びマリアナ海溝(北西太平洋マリアナ諸島東にある、世界最深10,911メーターの海溝)において深海探査活動を行う予定である。
なお、同潜水艇は2012年6月、マリアナ海溝において7,062メーターの潜水(編注;日本の“しんかい6500”が1989年に達成したのは6,527メーター)に成功している。
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米・英・ロシア・アジア・中国メディア;南シナ海・スカボロー礁をめぐる中国・フィリピン間駆け引き(2016/11/24)
11月21日付
Globali「中国の南シナ海問題対策の近況」の中で、“習主席はドゥテルテ大統領に、南シナ海を敵対ではなく両国間協調の場に変えようと進言した。これに対して同大統領は、中国主導のアジア地域経済発展政策に賛同し、これまでの対米関係より更に中国寄りの政策を取っていくと約束した”と報じた。そして更に明らかになったことには、同大統領は中国側に対して、領有権争いのある南シナ海・スカボロー(中沙)礁海域を禁漁区に設定する考えを披露したが、今のところ中国側は明確な対応を示していない。
11月21日付米
『CNBCニュース』(
『AP通信』配信):「ドゥテルテ氏、中国が実効支配のスカボロー礁海域を禁漁区とすると宣言」
「●ロドリゴ・ドゥテルテ大統領は11月19日、習近平(シー・チンピン)主席と会談した際、目下中国が実効支配している南シナ海・スカボロー礁海域を、中国・フィリピン双方の漁師に操業を認めない禁漁区に設定する考えを伝達。
●同礁は、2012年以来中国が実効支配していて、フィリピン漁師の操業を中国公安が妨害・強制排除してきたことから、ドゥテルテ氏の前のアキノ前大統領時代にフィリピンは2013年、常設仲裁裁判所(PCA)に提訴。...
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11月21日付米
『CNBCニュース』(
『AP通信』配信):「ドゥテルテ氏、中国が実効支配のスカボロー礁海域を禁漁区とすると宣言」
「●ロドリゴ・ドゥテルテ大統領は11月19日、習近平(シー・チンピン)主席と会談した際、目下中国が実効支配している南シナ海・スカボロー礁海域を、中国・フィリピン双方の漁師に操業を認めない禁漁区に設定する考えを伝達。
●同礁は、2012年以来中国が実効支配していて、フィリピン漁師の操業を中国公安が妨害・強制排除してきたことから、ドゥテルテ氏の前のアキノ前大統領時代にフィリピンは2013年、常設仲裁裁判所(PCA)に提訴。
●フィリピン高官によると、習主席は明確に受諾する等の意思は示さなかったものの、前向きなコメントを吐露。」
同日付英
『インターナショナル・ビジネス・タイムズ』オンラインニュース:「中国の習近
平主席、ドゥテルテ氏のスカボロー礁海域を聖域とするとの申し出に前向き」
「●フィリピン高官によると、ドゥテルテ大統領のスカボロー礁海域を聖域、すなわち双方の漁師の操業を認めない禁漁区に設定するとの申し出に対して、前向きな返答。
●国際メディアの報道によれば、習主席は、両国間で領有権争いのあった海域を、“双方協調の場”にしていこうと発言。」
11月22日付ロシア
『RT(ロシア・トゥデイ)』テレビニュース:「ドゥテルテ氏、領有権
争いのある南シナ海・スカボロー礁海域を禁漁区に設定すると宣言」
「●ドゥテルテ大統領の“一方的な宣言”に対して、習主席が受諾したかどうか不明。
●なお、フィリピン元大統領で中国特使のフィデル・ラモス氏は、同大統領の考えに賛同するとし、漁師の操業は同海域外で実施すればよいと発言。」
同日付アジア
『アジアン・コレスポンデント』:「ドゥテルテ氏、領有権争いの海域を禁漁
区に設定すると宣言」
「●フィリピンのエスペロン国家安全保障補佐官は、フィリピン政府単独の考えであるが、ドゥテルテ大統領は明確に習主席にその意図を説明。
●ただ、大方の見方は、ドゥテルテ氏の申し出を受諾することは、中国主権を主張して2012年以来実効支配してきたスカボロー礁海域がフィリピンのコントロール下にあることを半ば認めることになりかねないので、容易な話ではない模様。」
11月21日付中国
『環球時報』(
『AFP通信』配信):「ドゥテルテ氏、領有権争いのある海
域を禁漁区に設定」
「●フィリピン側の発表では、ドゥテルテ大統領の禁漁区設定の申し出に対して、習主席は前向きな返答をしたとの情報。
●ドゥテルテ新政権になり、同大統領が10月に訪中して、中国との連携強化を訴えたこともあって、両国間の緊張関係は薄まり、スカボロー礁でのフィリピン漁師による操業も許される状況へと好転。」
一方、11月22日付米
『ロイター通信米国版』:「中国、フィリピン側提案の禁漁区設定宣言
について言及避ける」
「●中国外交部の耿(ゲン)報道官は11月22日、フィリピンのドゥテルテ大統領が習主席との会談で持ち出した、南シナ海・スカボロー礁海域を禁漁区に設定するとの提案への賛否についてコメントせず。
●但し、同報道官は、中国が同海域でのフィリピン漁師の操業を現在は認める等、両国間の友好関係に基づく“適切な対応”を示しているとし、更にまた、同海域が中国主権の範囲であるとの考えに一切変更はないと付言。」
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