米中貿易交渉は、3月1日の関税賦課合戦休戦期限まであと僅か10日と迫る中、依然目立った進展はみられていない。米中両大国が対峙するのは、貿易以外でも多くあるが、南シナ海をめぐる対立も一向に鎮静化する様子はない。
2月18日付
『AP通信』:「南シナ海をめぐる近況」
<東南アジア諸国連合・中国間協議再開>
シンガポールのン・エンヘン国防相は2月16日、ドイツのミュンヘン国際安全保障会議に出席した際、東南アジア諸国連合(ASEAN)・中国間の南シナ海の領有権をめぐる行動規範(COC)の締結交渉が今月下旬に再開されると表明した。
同国防相は、交渉を重ねていくことで、“無用な誤解を減少させ、相互信頼を強化”することに繋がると付言した。...
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2月18日付
『AP通信』:「南シナ海をめぐる近況」
<東南アジア諸国連合・中国間協議再開>
シンガポールのン・エンヘン国防相は2月16日、ドイツのミュンヘン国際安全保障会議に出席した際、東南アジア諸国連合(ASEAN)・中国間の南シナ海の領有権をめぐる行動規範(COC)の締結交渉が今月下旬に再開されると表明した。
同国防相は、交渉を重ねていくことで、“無用な誤解を減少させ、相互信頼を強化”することに繋がると付言した。
双方は2002年、拘束力のない行動宣言に合意した後、2017年になってようやくCOCの枠組みに合意し、同年3月にCOC締結に向けて協議を開始した。
習近平(シー・チンピン)国家主席は昨年11月、南シナ海の領有権をめぐる主張の違いについては、今後3年以内の合意を目指すCOCによって平和裏に解決されると述べた。
しかし、大方の見方は、中国が拘束力を伴うCOCにどこまで応じるか疑問を持っている。
一方、ミュンヘン会議に出席していた中国の楊潔篪(ヤン・チエチー)外交顧問トップは、中国の主権及び海洋権を擁護する形で決着させると表明した。
同氏は更に、航行の自由という口実の下、中国の主権を脅かす如何なる行為にも断固反対するとも強調した。
<中国が米・タイ共催の合同軍事演習に参加>
2月12日に開始した米・タイ共催の合同軍事演習“コブラ・ゴールド”に、中国軍も含め29ヵ国が参加した。
1982年に始まった同軍事演習では、今回、米・タイの他、日本・中国・インド・シンガポール・マレーシア・韓国を含めた7ヵ国が主要な役割を演じている。
(*詳細は、2月12日付Globali「タイ・米国主催の合同軍事演習に日・中・印も参加(呉越同舟)」を参照)
<米軍、航行の自由作戦を継続>
米インド太平洋軍司令官のフィル・デビッドソン海軍大将は2月12日、米上院軍事委員会において、中国の一方的な海洋進出は、北朝鮮問題以上にアジア地域の貿易・安全保障上深刻だと証言した。
同司令官はまた、70年以上も平和と安定が続いたインド太平洋地域において、中国が国際法を無視した独善的なルールを導入しようとしており、これを牽制する具体的措置として、航行の自由作戦を今後も継続すると強調した。
同司令官は更に、米同盟国である英国・日本・豪州・ニュージーランド・カナダ・フランスも、中国に対抗すべく南シナ海での作戦に協調しているとも付言した。
<米軍艦、南沙諸島で航行の自由作戦展開>
米軍のミサイル駆逐艦“プレブル”と“スプルーアンス”は今月、スプラトリー(南沙)諸島内に中国が建設した人工島の12海里(22キロメーター)内を航行した。
これは今年に入って2度目の航行の自由作戦である。
米第7艦隊報道官のクレイ・ドス海軍中佐は、行き過ぎた領有権を主張する暴挙を牽制し、国際法に則った海洋権を擁護するための作戦だと表明した。
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英国のギャビン・ウィリアムソン国防相は11日、首都ロンドンで行った講演で、最新鋭空母「クイーン・エリザベス」を太平洋地域に派遣する意向を明らかにした。中国の海洋進出をけん制するとともに、欧州連合(EU)離脱後の世界戦略として、太平洋地域での同国の影響力を増す狙いがあるものとみられている。
『ロイター通信』『インディペンデント』などの報道によると、ウィリアムソン英国防相は、中国とロシアを名指しし、両国の軍備増強は国際秩序にとって危険であると警戒感を示し、EU離脱後、厳しい対抗措置を取ることが必要であると強調した。但し、空母の派遣日程や、そのための長期的な予算措置などの詳細については余り触れなかった。
中国は南シナ海で海洋進出を進め、近隣諸国と領有権争いをしている。米国は11日、ミサイル駆逐艦「スプルーアンス」と「プレブル」を南沙諸島に派遣し、再び「航行の自由作戦」を実施した。...
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『ロイター通信』『インディペンデント』などの報道によると、ウィリアムソン英国防相は、中国とロシアを名指しし、両国の軍備増強は国際秩序にとって危険であると警戒感を示し、EU離脱後、厳しい対抗措置を取ることが必要であると強調した。但し、空母の派遣日程や、そのための長期的な予算措置などの詳細については余り触れなかった。
中国は南シナ海で海洋進出を進め、近隣諸国と領有権争いをしている。米国は11日、ミサイル駆逐艦「スプルーアンス」と「プレブル」を南沙諸島に派遣し、再び「航行の自由作戦」を実施した。横須賀の米海軍第7艦隊が発表し、中国はすぐにこれに反発した。
ウィリアムソン英国防相は、クイーン・エリザベスの最初の任務には、こうした中国の行動をけん制するために太平洋地域を航行することの他、地中海や中東周辺の海域での活動も含まれると説明した。そして同空母には、米英2戦隊の最新鋭戦闘機F35が搭載されることになるという。
同国防相は、「ブレグジット(EU離脱)は、わが国の歴史に素晴らしい機会をもたらしてくれる。その機会に我々は世界でのプレゼンスを強化しなければならない。」と述べた。また、テクノロジー戦、転覆工作や宣伝活動などが多用されて、平時と戦時の境目が曖昧になりつつあり、英国や同盟国は、世界的な利益を保護するために、軍事力を背景にした力を用いる備えを整えておかなければならないと主張した。
同国防相はまた、ロシアに対抗するために、トランプ米大統領のNATO加盟国に対する国防費の増額要求に応え、米国と緊密に連携していく必要性を訴えた。NATOでは国防費を国内総生産(GDP)の2%とすることを目標に掲げ、英国はこれを達成している僅か数カ国の内の1つだ。しかし、その金額は米国の13分の1、中国の5分の1にとどまる。
英首相官邸は、ウィリアムソン国防相の講演内容について、クイーン・エリザベスは2021年まで配備されず、航行については首相が最終的に決定すると説明した。そして、中国は建設的な関係を有する国として配慮を示し、国防相発言とは距離を置く立場を表明した。
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