南シナ海問題;米中国防相会談後もすぐさま米軍艦が中国主張の領海内で“航行の自由作戦”実施【米・中国メディア】(2019/11/22)
今週初め、エスパー国防長官と魏国防部長(大臣に相当)が東南アジア国防相会議の機会を捉えて直接会談した。しかし、特に南シナ海問題では、双方がそれぞれこれまでの主張を繰り返すだけで終わった。そのためもあってか、同会談開催後まもなく、米国は戦艦2隻を続けて南シナ海の中国主張領海内を航行させ、同海域における中国の軍事拠点化を牽制した。これに対して中国側も、不測の事態を避けるため余計な挑発行為を止めるよう警告している。
11月22日付米
『ロイター通信』:「米軍艦が再び南シナ海の中国主張領海内を航行したと中国が反発」
米軍第7艦隊の報道官レアン・モムセン司令官は11月21日、『ロイター通信』のインタビューに答えて、沿海域戦闘艦“ガブリエル・ギフォーズ”が11月20日に、南シナ海南沙(スプラトリー)諸島のミスチーフ礁の12海里(約22キロメーター)内を航行したことを明らかにした。
同報道官によれば、同海域の自由な権利関係や国際法に則った海及び空の航行の自由を再確認するため、“航行の自由作戦”を実施したとした。...
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11月22日付米
『ロイター通信』:「米軍艦が再び南シナ海の中国主張領海内を航行したと中国が反発」
米軍第7艦隊の報道官レアン・モムセン司令官は11月21日、『ロイター通信』のインタビューに答えて、沿海域戦闘艦“ガブリエル・ギフォーズ”が11月20日に、南シナ海南沙(スプラトリー)諸島のミスチーフ礁の12海里(約22キロメーター)内を航行したことを明らかにした。
同報道官によれば、同海域の自由な権利関係や国際法に則った海及び空の航行の自由を再確認するため、“航行の自由作戦”を実施したとした。
更に同報道官は、同様の理由で駆逐艦“ウェイン・マイヤー”が11月21日に、西沙(パラセル)諸島内を航行したとも言及した。
中国国防部は11月22日、これら米軍艦の中国主権領海内航行を承知しており、領海から退去するまで追尾したと表明した。
更に、中国人民解放軍(PLA)南部戦区報道官は、米軍に対して不測の事態を避けるためにも、かかる無謀な挑発は止めるべきだとの声明を発表した。
なお、今週初め、バンコク(タイ)で開催された東南アジア国防相会議の機会を捉えて、マーク・エスパー国防長官と魏鳳和(ウェイ・フォンホー)国防部長が会談している。
ただ、エスパー長官が、中国は自国主張を強制かつ脅迫を以て押し通そうとしていると非難すれば、魏部長の方は、南シナ海で軍事力をひけらかして無用な挑発をすることを即刻止めるべきだと反論したに留まり、何ら両国間関係の改善はみられなかった。
同日付中国『チャイナ・デイリィ』:「中国領海内侵入の米軍艦に非難声明」
PLA南部戦区報道官の李華民(リー・ホァミン)上級大佐は11月22日、2隻の米軍艦が立て続けに南沙諸島及び西沙諸島の中国領海内を、中国政府の許可なく航行したとして厳重に抗議したと表明した。
同報道官はまた、米軍艦を戦闘機及び軍艦でそれぞれ追尾し、領海から即座に立ち去るよう警告したとも付言した。
米軍はこれまで何度も南シナ海において、中国主権を脅かす行為を実施しており、その度に中国側は、無用な衝突を回避するためにも挑発行為を慎むよう求めている。
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中国;台湾が中国の海域の主張に反対する場合、軍事行動を取ると明言(2019/06/03)
『ABCニュース』(米国)によると、中国国防相は、中国の台湾と南シナ海への主張を守るために、中国軍は「断固とした行動」をとると警告した。
シンガポールでの年次安全保障会議で、魏鳳和上将は、直接米国には言及しなかったが、米国の台湾への支援と、中国が事実上自国の領海と主張している戦略的航路で行っているいわゆる「航行の自由作戦」を批判した。
魏上将は、人民解放軍は「自国の神聖な領土は1インチたりとも明け渡すことはない」と述べた。
中国を統治する共産党は、台湾が中国の一部だという立場を維持しており、民主主義の島に対し攻撃的な言辞を増している。...
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シンガポールでの年次安全保障会議で、魏鳳和上将は、直接米国には言及しなかったが、米国の台湾への支援と、中国が事実上自国の領海と主張している戦略的航路で行っているいわゆる「航行の自由作戦」を批判した。
魏上将は、人民解放軍は「自国の神聖な領土は1インチたりとも明け渡すことはない」と述べた。
中国を統治する共産党は、台湾が中国の一部だという立場を維持しており、民主主義の島に対し攻撃的な言辞を増している。台湾は70年前の内戦の最中、中国本土より分離独立した。中国は台湾の独立に反対し、公式に「平和的再統合」を目指すとしているが、目的達成のために必要なら軍事力を使用することを排除していない。
中国と台湾の関係は、2016年に独立派の蔡英文氏が総統に選ばれてから悪化している。それ以来、中国は外交圧力を強め、台湾との接触を断ち、中国人の台湾への渡航に反対している。
「我々は最大の誠意と非常な努力により、平和的な統一を模索しているが、武力行使を放棄してないない」
魏上将はシンガポールでのシャングリラダイアローグで、各国の防衛幹部、政府関係者、学者に向かい述べた。
パトリック・シャナハン米国防副長官は木曜日同会議で講演したが、魏上将の講演には出席しなかった。シャナハン副長官は、中国が外国の技術を盗もうとしているとし、南シナ海での人口の前哨基地の軍事化を「懸念される道具」とし、米国が敵対的と捉える行為の中止を強く求めた。
中国は、南シナ海の島、サンゴ礁、礁湖などについて東南アジアの小国と争いを起こしている。中国は南シナ海の7か所に滑走路、レーダー、ミサイルを持つ前哨基地を作りおり、シャナハン副長官は、これらは、世界でもっと混雑した航路の料金徴収所になりかねないといった。
中国は現在、問題の海域での武力行使の発生を防ぐため、4か国の権利主張国との間で、基準と法規を含んだ条約を締結しようとしている。
魏上将は、中国は「限定された防衛施設」を作っているだけで、それは地域住民に対するサービスを提供し、支援の基盤とするためのものだと述べた。「そこに脅威があれば、防衛する。重装備の戦艦と軍用機と対面し、我々が防衛戦力を派遣しないわけにはいかない」
魏上将とシャナハン副長官は会議とは別に金曜日会談し、意思疎通を高め、両軍の交流と協力を深めることで合意した。
中国がこの会議に前回、高位の将軍を派遣したのは2011年である。中国当局はこのことは単なる偶然で、高位の将軍のスケジュールの所為に過ぎないとした。
しかし一部のオブザーバーは魏上将の出席は、中国と米国の貿易戦争で中国のビジネスが制裁の標的にされる中、中国が同地域での関係強化を図るという中国の意図があると見ている。
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