米朝首脳会談の行方の陰に米中の鍔迫り合いが見え隠れする中、ロシアも北朝鮮への影響力誇示に奔走【米・チェコ・ロシアメディア】(2018/05/31)
ドナルド・トランプ大統領は、金正恩(キム・ジョンウン)委員長の陰に習近平(シー・チンピン)国家主席の存在を感じて、一度は米朝首脳会談を中止すると宣言した。しかし、その後、米の思惑通りのシナリオで当該首脳会談を取進められるとの期待が高まったことから、当初予定通りの日程・場所で行われる可能性が再浮上した。そしてこの程、これまで静観していたとみられていたロシアが、改めて北朝鮮への影響力を誇示すべく、ロシア外相を急きょ訪朝させて、存在感を示そうとしている。
5月31日付米
『ワシントン・ポスト』紙(
『AP通信』配信):「ロシア外相、北朝鮮を急きょ訪問」
ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相(68歳)は5月31日、急きょ訪朝して李容浩(イー・ヨンホ、61歳)外交部長(外相に相当)と会談した。
同外相の訪朝は、米朝首脳会談開催の可能性が高くなったこと、更には、金正恩委員長(34歳)が直近で中韓との関係改善を図ろうとしていることから、これまでのロ朝友好協力関係に鑑み、ロシアとして対北朝鮮影響力を改めて誇示しようとしたものとみられる。...
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5月31日付米
『ワシントン・ポスト』紙(
『AP通信』配信):「ロシア外相、北朝鮮を急きょ訪問」
ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相(68歳)は5月31日、急きょ訪朝して李容浩(イー・ヨンホ、61歳)外交部長(外相に相当)と会談した。
同外相の訪朝は、米朝首脳会談開催の可能性が高くなったこと、更には、金正恩委員長(34歳)が直近で中韓との関係改善を図ろうとしていることから、これまでのロ朝友好協力関係に鑑み、ロシアとして対北朝鮮影響力を改めて誇示しようとしたものとみられる。
また、ウラジーミル・プーチン大統領(65歳)としても、これまで盛んに金委員長を擁護する発言を繰り返してきたのに、肝心の金委員長が、習国家主席(64歳)及び文在寅(ムン・ジェイン、65歳)大統領とそれぞれ2度も会談していることが気にかかることではある。
同日付チェコ『ラジオ・フリー・ヨーロッパ(米議会出資の報道局)』:「ロシアのラブロフ外相、トランプ大統領・金委員長会談直前に急きょ訪朝」
ラブロフ外相の突然の訪朝は、米朝首脳会談の実現確度が高まったことから、ロシアによる北朝鮮への影響力行使を念頭に置いたものとみられる。
同外相はツイッターで、李外交部長との会談後、金委員長とも面談したと強調している。
一方、マイク・ポンペオ米国務長官(54歳)は5月30日、金委員長の片腕と目される金英哲(キム・ヨンチョル、71歳)副委員長をニューヨークに迎えて、来るべき米朝首脳会談の準備のために会談している。
一方、同日付ロシア『イタル・タス通信』:「ロシア、南北朝鮮との3ヵ国共同インフラ開発プロジェクト推進に積極的」
今週訪朝したラブロフ外相は、李外交部長との会談の後、ロシアが新たな鉄道建設等、南北朝鮮との3ヵ国共同インフラ開発プロジェクト推進に積極的に関わっていく旨表明した。
更に同外相は、ロシア産天然ガスの輸送パイプライン敷設、また、発電事業展開にも関わっていく意向であり、これまで及び今回の会談を通じて、南北朝鮮各々からロシアの参画について支持されているとも語った。
なお、同外相の訪朝は、2009年以来のことである。
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トランプ大統領、利益相反の疑いで有望な2人の代理人弁護士を自身の弁護団に加えられず【米・チェコメディア】(2018/03/26)
3月26日付米
『AP通信』:「トランプ大統領弁護団に2人の弁護士参加が不可能に」
ドナルド・トランプ大統領の弁護団のジェイ・セクロウ代理人は3月25日、先週辞任したジョン・ダウド弁護士に代わって同弁護団に加入すると発表していた、ジョセフ・ディジェノバ弁護士及びビクトリア・トウエンシング弁護士が、利益相反を理由に加われなくなったとの声明を出した。
両弁護士は、大統領選へのロシア介入容疑を捜査しているロバート・マラー特別検察官の取り調べに関し、大統領を擁護する役割を担うことになっていた。...
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3月26日付米
『AP通信』:「トランプ大統領弁護団に2人の弁護士参加が不可能に」
ドナルド・トランプ大統領の弁護団のジェイ・セクロウ代理人は3月25日、先週辞任したジョン・ダウド弁護士に代わって同弁護団に加入すると発表していた、ジョセフ・ディジェノバ弁護士及びビクトリア・トウエンシング弁護士が、利益相反を理由に加われなくなったとの声明を出した。
両弁護士は、大統領選へのロシア介入容疑を捜査しているロバート・マラー特別検察官の取り調べに関し、大統領を擁護する役割を担うことになっていた。
利益相反の詳細は明かされていないが、両弁護士は、既にトランプ選挙陣営の顧問であったサム・クロービス氏の代理人になっているという。
セクロウ弁護士によれば、トランプ大統領は2人の弁護士が加われないことに失望していたとするが、別の案件で同大統領を助ける仕事に就くことは可能だとしている。
トランプ大統領は3月25日、自身はロシアによる大統領選介入疑惑に一切関わっていないと改めてツイートした。
一方、上院情報委員会の民主党代表であるマーク・ウォーナー議員(バージニア州選出)は『NBCテレビ』番組内のインタビューに答えて、ロシアは確かに大統領選にサイバー攻撃を仕掛けて介入しており、今後もそれが繰り返される恐れが十分考えられるのに、ホワイトハウスは優先してセキュリティ対策に乗り出そうとしていないと批判した。
同議員はまた、トランプ大統領は就任後14ヵ月も経っているのに、ウラジーミル・プーチン大統領との電話会談で、大統領選ロシア介入容疑のみならず、目下大問題となっている英国におけるロシア元スパイの暗殺未遂事件について、一切問い質したり非難することもしなかったなど、全く異様な話であるとした。
更に同議員は、かかる背景から、マラー特別検察官による、トランプ陣営の共謀疑惑についての捜査が続けられる理由であるとも付言した。
一方、3月25日付チェコ『ラジオ・フリー・ヨーロッパ(米議会出資のメディア)』:「トランプ政権、ロシア元スパイの暗殺未遂疑惑でロシア外交官追放を検討」
『CNNニュース』や『ロイター通信』は3月25日、トランプ大統領は3月26日にも、3月4日に英国で発生したロシア元スパイの暗殺未遂事件にロシア政府が関わった疑いから、少なくとも20人のロシア外交官を追放するとみられると報じた。
ホワイトハウスのラジ・シャー報道官は、米政府としては、当該事件に関わり、ロシア政府の陰謀だとの英国の主張、及びこれを支持する欧州連合(EU)の行動を評価しており、これに続く行動が必要だと考えていると表明した。
ただ、かかる行動は、トランプ大統領が望んでいるプーチン大統領との関係修復に水を差す行為となるのは確実である。
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