南シナ海問題:習・ドゥテルテ両首脳が対話路線を強調すれば、トランプ大統領はベトナム首脳に仲介の申し出【米・英・フィリピン・中国メディア】
フィリピンのドゥテルテ大統領は、国内では中国に構わず南シナ海での資源開発・漁獲を進めると勇ましい発言をしている。しかし、習近平(シー・チンピン)国家主席の前では、巨額の経済支援を得ているだけでなく同主席の軍隊統率力に恐れをなしてか、同主席からの“中国流対話”の話にしおらしく追随している。一方、相変わらず米国第一主義を振りかざしているトランプ大統領は、ベトナム首脳に同海域で中国との領有権問題がヒートアップした際には、仲介役を買って出ると、習主席の前では言えないような発言をして、何とか存在感をアピールしようとしている。
11月12日付米
『ロイター通信米国版』:「習主席、南シナ海を平穏に守っていくとドゥテルテ大統領に表明」
中国国営
『新華社通信』は、習近平国家主席が11月11日、ダナン(ベトナム)でロドリゴ・ドゥテルテ大統領と会談した際、中国は南シナ海を平穏に守っていくとし、フィリピンとは対話による問題解決を図る旨表明したと報じた。
同大統領は今週初め、南シナ海問題で中国側に真意を質すと発言していたが、習主席との会談では、中国側が示唆したとおり、対話によって協同していくことに同意したとも言及されている。...
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11月12日付米
『ロイター通信米国版』:「習主席、南シナ海を平穏に守っていくとドゥテルテ大統領に表明」
中国国営
『新華社通信』は、習近平国家主席が11月11日、ダナン(ベトナム)でロドリゴ・ドゥテルテ大統領と会談した際、中国は南シナ海を平穏に守っていくとし、フィリピンとは対話による問題解決を図る旨表明したと報じた。
同大統領は今週初め、南シナ海問題で中国側に真意を質すと発言していたが、習主席との会談では、中国側が示唆したとおり、対話によって協同していくことに同意したとも言及されている。
同日付フィリピン
『マニラ・スタンダード』紙:「中比両首脳、対話継続で合意」
ドゥテルテ大統領は習主席との11月11日の会談に当り、まずマラウィ(ミンダナオ島)のイスラム過激派との戦闘に、いち早く中国が援軍を送ってくれたことに謝意を表明した。
一方、南シナ海問題については、同大統領は当初、中国側と適時に突っ込んだ協議をしていくとしていた。しかし、習主席から、東南アジア諸国連合(ASEAN)と枠組み合意した「行動規範(COC)」に基づいて対話を通じて対応していくとの意思表示があり、それを粛々と受け入れた。
なお、ASEAN外交官は、かつて中国は、COCには法的拘束力を持たせないと強調していたことから、実質的に来年から始められる、中国・ASEAN間のCOCに関わる具体的条項の協議の行方が懸念されるとコメントしている。
同日付中国
『環球時報』(
『新華社通信』配信):「習・ドゥテルテ両首脳、中比間連携強化に向けて会談」
習主席はドゥテルテ大統領との会談において、昨年10月の同大統領の訪中以来、中比関係は開かれた新しい局面に入っていると表明した。そして、今後も対話を通じて、両国間友好関係の発展に向けて努めていくとした。
更に同主席は、中国は今後とも南シナ海の平穏を守っていくべく、ASEAN諸国と連携していくとも述べた。
これに対してドゥテルテ大統領は、中国はフィリピンにとって大事な友好国であり、経済支援にも感謝するとし、今後も領有権問題含めて対話を通じて対応していくことに同意すると表明した。
一方、同日付英
『デイリィ・メール・オンライン』(
『ロイター通信』配信):「トランプ大統領、南シナ海領有権問題でベトナム首脳に仲介を申し出」
ドナルド・トランプ大統領は11月12日、ベトナムのチャン・ダイ・クアン国家主席との会談において、もしベトナムが中国と南シナ海領有権問題でもめるようなことになれば、いつでも仲介役を買って出ると申し出た。
同大統領は、中国が南シナ海のほぼ全域を中国主権と主張していることが問題であると認識しており、自身はかかる問題の仲介に長けているとも語った。
一方、同大統領としては、中国が北朝鮮問題の軽減に努めていることは評価しており、また、ロシアにも同様の対応を望んでいるとも言及した。
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習主席、ドゥテルテ大統領を恫喝<米・英・仏・ロシア・フィリピン・中国メディア>
5月19日付
Globali「中国、南シナ海問題でのASEAN抱き込みに前進」の中で、“中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)は、南シナ海海域で各国の活動を規制する「行動規範(COC)」の枠組みの草案について合意した。ただ、紛争解決の仕組みや法的拘束力については今後の協議課題とする一方、領有権問題は当事国で解決するとし、日米含めた域外国の干渉を許さない原則が含まれていることから、中国の思惑どおりの草案に行きついたものとみられる”と報じた。そして、表向きの合意に対して、裏では中国の武力による圧力-習主席からドゥテルテ大統領に対して、もしフィリピンが南シナ海で石油掘削を始めたら戦争になるとの恫喝-を掛けていることが判明した。
5月19日付米
『ボイス・オブ・アメリカ』:「フィリピン大統領、中国から戦争を匂わせる脅しを受けたと主張」
フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は5月19日、同大統領が5月15日に北京で習近平(シー・チンピン)主席と会談した際、もしフィリピンが南シナ海の領有権争いのある海域で石油探査を始めたら、中比間で戦争になる恐れがあると言われたことを明らかにした。
同大統領は、海洋領有権争いで中国に弱腰だと批判する人達に向けての弁明を試みたものとみられるが、中国側からの反発は必至であろう。...
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5月19日付米
『ボイス・オブ・アメリカ』:「フィリピン大統領、中国から戦争を匂わせる脅しを受けたと主張」
フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は5月19日、同大統領が5月15日に北京で習近平(シー・チンピン)主席と会談した際、もしフィリピンが南シナ海の領有権争いのある海域で石油探査を始めたら、中比間で戦争になる恐れがあると言われたことを明らかにした。
同大統領は、海洋領有権争いで中国に弱腰だと批判する人達に向けての弁明を試みたものとみられるが、中国側からの反発は必至であろう。何故なら、ちょうど同じ時期に中国で、中比代表が両国間の協力関係討議のための対話が正に進められているからである。
同日付英
『Yahooニュース英国版』(
『ロイター通信』配信):「フィリピン大統領、中国の習主席から、もしフィリピンが南シナ海で石油掘削を始めたら戦争になると脅されたと告白」
ドゥテルテ大統領によると、昨年下された常設仲裁裁判所(PCA)裁定に基づき、フィリピンとしても南シナ海海域での石油探査を始めたいと話したところ、習主席からは、中比両国は目下友好関係にあるが、もしそのような行動に出れば、戦争になるかも知れないと、柔らかくしかしきっぱりと言われたという。
同日付フランス
『フランス24』オンラインニュース(
『AFP通信』配信):「フィリピンのドゥテルテ大統領、海洋領有権絡みで中国から“戦争”の脅しをされたと告白」
ドゥテルテ大統領が北京で習主席と李克強(リー・コーチアン)首相と面談した際、フィリピン国内からの突き上げもあり、南シナ海でフィリピン領海とされる地域で石油等天然資源の探査を始めたいと話したところ、中国側からは、今現在中比両国は友人同士だが、もしそのような活動を(中国の意に反し)強行することになれば、戦争は避けられない、と脅されたという。
ただ、同大統領はその際、フィリピンとしてはPCA裁定の遵守を今すぐに中国側に求めていく考えはないとも語った。
同日付ロシア
『RT(ロシア・トゥデイ)テレビニュース』:「ドゥテルテ大統領:もしフィリピンが南シナ海で石油探査を始めたら戦争になると中国から脅されたと表明」
ドゥテルテ大統領は5月19日にダバオ市(フィリピン南部ミンダナオ島)で開かれた、フィリピン沿岸警備隊全国大会において、訪中時に習主席と会談した際、PCA遵守を強く求めることはしないが、フィリピン領海とされた南シナ海海域で石油掘削を始めたいと話したところ、同主席からは、戦争も避けられない事態となると脅されたと、かなり衝撃的な内情を明らかにした。
5月20日付フィリピン
『マニラ・スタンダード』紙:「中国、戦争となると脅し」
ドゥテルテ大統領は、ロザリオ外相やカルピオ最高裁上級判事は自分が中国に対して弱腰だと批判するが、中国の習主席に対して、南シナ海のフィリピン領海で石油掘削を始めたいときちんと伝えたと話した。しかし、習主席からは、そうなったら戦争に至る可能性もあると脅されたとし、中比間では戦力に大きな差があり、フィリピンが一方的に被害を被ることになる。従って、フィリピンにPCA裁定がある以上、ここは中比間友好関係を保っていくことが肝要だと説明した。
一方、同日付中国
『新華社通信』:「中国・フィリピン、南シナ海問題で半期毎の二国間協議開催で合意」
中国とフィリピン代表は5月19日、南シナ海問題に関して、半年毎に二国間協議(BCM)を開催することで合意した。
中国外交部の劉振民(リゥ・チェンミン)副部長(副大臣に相当)と、在中国フィリピン大使館のホセ・ロマーナ大使との間で合意したのもので、南シナ海問題を友好理に協議していくことで、両国間の連携強化につなげるものと確認した。
BCMの次の協議は、今年後半にフィリピンで開催されることになる。
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