欧州委員会:ウクライナ産の小麦を世界に届ける行動計画を提示(2022/05/17)
欧州委員会は、ロシアによる黒海沿岸の港湾の封鎖により、食糧不足の危機に瀕している世界の地域へ重要な物資を届けることができないウクライナに対し、鉄道、道路、河川による小麦やその他の穀物の輸出を支援することを提案した。
仏ラジオ局
『フランス・アンフォ』によると、ウクライナとポーランド、ハンガリー、ルーマニアとの国境では、主に小麦や石油を積んだ2万4千両近い鉄道車両が足止めを食らっている。戦争が始まって以来、2500万トンの穀物が出国を待っている。欧州委員会運輸部門の広報担当であるアダルベルト・ヤーンツ氏は、ウクライナ国内で止められている穀物の半分に相当するこれらの穀物は、「食料安全保障や経済的な理由、そして何よりも収穫が近づいていることから、7月末までに国外に出さなければならない」とし「これは本当に巨大な挑戦だ」と述べた。...
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仏ラジオ局
『フランス・アンフォ』によると、ウクライナとポーランド、ハンガリー、ルーマニアとの国境では、主に小麦や石油を積んだ2万4千両近い鉄道車両が足止めを食らっている。戦争が始まって以来、2500万トンの穀物が出国を待っている。欧州委員会運輸部門の広報担当であるアダルベルト・ヤーンツ氏は、ウクライナ国内で止められている穀物の半分に相当するこれらの穀物は、「食料安全保障や経済的な理由、そして何よりも収穫が近づいていることから、7月末までに国外に出さなければならない」とし「これは本当に巨大な挑戦だ」と述べた。
ヤーンツ氏によると、「ウクライナ産小麦の75%は輸出向けであり、ヨーロッパ向けが3分の1、中国向けが3分の1、アフリカ向けが3分の1である。」という。「ヨーロッパでは、食の安全という問題はないものの、アフリカでは、早急に対応しなければならない課題となっている。そのため、連帯の回廊と呼ばれるものを設定し、欧州委員会とウクライナ、各国当局、そして輸送事業者が共同で、ウクライナからできるだけ多くの穀物や油糧種子を搬出するための行動計画を提示した」とのだという。
ただし、穀物を鉄道で運び出すことは至難の業となっている。ヤーンツ氏は「ウクライナの鉄道とヨーロッパで使われているレールの間には互換性がない」ことを指摘している。「これは実務的な問題であり、輸送する穀物や油糧種子の積み替えは可能であるものの、時間がかかってしまう。適切な機械を使えば、1台の車両につき2時間程度で完了する。しかし、十分な機材が用意されていることが必要となる。コンテナに穀物を入れて、コンテナを運ぶことも出来るが、同じような問題に直面する。そして、ヨーロッパ内の輸送については、レールを使用できる枠があるかという問題もある。そのため、ヨーロッパ全域おいて、ウクライナ当局と協力して、大きなパズルのような仕組みを組み立てていく必要がある。欧州委員会が、事業者、機器のサプライヤーなど、さまざまな関係者をまとめることで、物流ネットワークのプラットフォームを構築し、異なるプレイヤーに調整を要求していく」という。
一方『AP通信』は、ウクライナの食糧を世界に供給するために、EU諸国を経由してオーストリアやドイツに鉄道やトラックで穀物を運び始めているが、現在その量は黒海経由で輸出されていた量のほんの一部に過ぎないと伝えている。
欧州委員会によると、ウクライナと27カ国との国境にある数千の鉄道車両の平均待ち時間は16日で、場所によっては30日に達するという。ウクライナでは非軍事機の運航が停止しているため、新たな供給ルートとして、陸路以外に河川輸送も検討されているという。同委員会は、加盟国に対し、国境通過地点での手続きを迅速化し、EU域内でウクライナの輸出品を一時的に保管するための容量を増やすよう促している。
なお、ウクライナ外務省は、ロシアが黒海沿岸の港湾を封鎖しているだけでなく、穀物を盗み、その一部を世界市場で売ろうとしていると非難している。同省は、ロシアがすでに40万から50万トン、1億ドル(約129億円)以上の穀物を盗んでいる可能性があるとする公式推定を引用した。また、黒海の主要港であるセヴァストポリから出航する穀物運搬船は、「実質的にすべてウクライナから盗まれた穀物を運んでいる」と主張している。
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EU、ウクライナ難民受け入れのための「暫定的保護命令」を採決へ(2022/02/28)
欧州連合(EU)は、ウクライナを支援するための取り組みの一環として28日、ウクライナからの難民を一時的に保護する特別措置の採決が行われる。
仏紙
『ル・フィガロ』によると、EU議長国フランスのダルマナン外相は28日にフランスのテレビ番組に出演し、戦争から逃れたウクライナ人は、すべてのEU加盟国において一律に亡命を認められるべきであると主張した。「彼らはフランスで歓迎されている。」と述べ、ヨーロッパが、経済、物質、人の連隊、そして亡命のために連帯していることを評価した。
すでに40万人近くがウクライナから避難しており、難民が最も多く非難しているポーランドとモルドバには、逃げて来る「人々を最高の条件で迎え入れるために」、「テント、医薬品、食料」が送られているという。...
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仏紙
『ル・フィガロ』によると、EU議長国フランスのダルマナン外相は28日にフランスのテレビ番組に出演し、戦争から逃れたウクライナ人は、すべてのEU加盟国において一律に亡命を認められるべきであると主張した。「彼らはフランスで歓迎されている。」と述べ、ヨーロッパが、経済、物質、人の連隊、そして亡命のために連帯していることを評価した。
すでに40万人近くがウクライナから避難しており、難民が最も多く非難しているポーランドとモルドバには、逃げて来る「人々を最高の条件で迎え入れるために」、「テント、医薬品、食料」が送られているという。さらに「医薬品を満載した」2機の飛行機が「今後数時間のうちに」ポーランドに着陸する予定だという。
仏地方紙『シュッド・ウエスト』によると、この暫定的保護の措置は、旧ユーゴスラビア紛争に対応して設けられたが、使われることはなかったもので、避難民が大量に流入した場合に一時保護を与えることや、これらの難民を受け入れるための負担をEU加盟国で分担する措置が規定されている。現在ウクライナからの難民は、EU各国にビザなしで入国し3ヶ月間滞在することができる。
仏放送局『フランス・アンフォ』によると、人道援助活動を行っている「国際ケア機構」のフィリップ・レヴェック事務局長は27日、ウクライナから国外に避難した人々の数は、ロシア侵攻開始以来、36万8000人の難民・避難民という国連の推計よりも「はるかに多いのは確かだ」と述べている。「これは氷山の一角で、まだまだたくさんいるはず。人道援助が必要なのは大部分がウクライナ内部になる。欧州内では、ルーマニアとポーランドで、受け入れ体制が整えられているところだ。」と述べている。
しかし「アフリカや中東で経験していることとは全く違うので、難しい状況だ。」という。ウクライナからの難民は、60歳以上の高齢者が25%を占めており、「基本的に女性や子供で構成されており、男性たちは残って戦っている。さらに、衛生面や医療面で、他の地域よりずっと高度なレベルに慣れている人々であり、ニーズは大きい。重篤で慢性的な病態を抱えた人々がすでに確認されている。今のところ、それらに対応できる能力をあまり持ち合わせていない」。
レヴェック事務局長はまた、現在は資金的な手段が不足しているため、寄付を呼びかけているという。「国際ケア機構」のスタッフはウクライナには入国できないため、すでにウクライナにいるアソシエイト・パートナーに資金を送っている。ウクライナでは「銀行はまだ機能している。物資はまだお店で買えるので、不足はない。当面は、資金の移動が最も重要で、今後数週間、基本的なニーズのひとつになると思う。」と説明している。
なお、『AFP通信』は、ハンガリーでは、大量に押し寄せてくるウクライナからの難民に対して、ハンガリー国民が積極的に支援の手を差し伸べていると報じている。反移民政策で知られるオルバン首相も、同国の厳しい亡命基準を緩和することを表明した。ハンガリー警察の発表によると、すでに7万人以上がハンガリーに避難している。しかし、「誰しもが突然難民になりうる」という現実に直面し、ハンガリーの市民だけでなく、慈善団体、関係都市の市長などが積極的に支援活動に取り組んでいるという。
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