トランプ新大統領:仏メディアがみる各国への影響と動向(2016/11/16)
トランプ新大統領の一挙一動に世界が注目する中で、トランプ新大統領登場の主要国への影響と動向を読み解く。仏メディアは自国以外では特に、ブレグジット後の英国、中国、日本への影響に関する記事が多くみられる。仏メディアは次の通り報じる。
メイ首相にはトランプ新大統領登場は好機
『レゼコー紙』は「米国との特別な関係が試される」と見出しを付け、「慎重なメルケル独首相に対し、メイ英首相は極めてオープンだった」と報じる。トランプ氏とメイ英首相の電話会談後の英政府の発表によると、メイ首相はトランプ氏から米国に招待された。また「レーガン=サッチャーの蜜月時代よりも緊密な関係を望む」と望むトランプ氏に対し、「英国は変化する世界に適応しなければならない」と応じた。...
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メイ首相にはトランプ新大統領登場は好機
『レゼコー紙』は「米国との特別な関係が試される」と見出しを付け、「慎重なメルケル独首相に対し、メイ英首相は極めてオープンだった」と報じる。トランプ氏とメイ英首相の電話会談後の英政府の発表によると、メイ首相はトランプ氏から米国に招待された。また「レーガン=サッチャーの蜜月時代よりも緊密な関係を望む」と望むトランプ氏に対し、「英国は変化する世界に適応しなければならない」と応じた。また、ジョンソン英外相もトランプ新大統領に善意を示しており、「レゼコー紙」は「英政府も英国の伝統的な実利主義外交を取る」と評する。
英国のトランプ接近の背後には、北大西洋条約機構(以下、NATO)がある。「NATOで米国に次ぐ軍事力を誇る英国政府は、NATOにおける米国のコミットメントを再確認させるべく、トランプ氏に圧力をかける予定」で、「NATOで英国はその役割を期待される」との見方を示す。一方貿易協定では、「保護主義貿易を前面に出すトランプ氏と自由主義経済のメイ首相が妥協点を見つけるのは難しい」と見る。
東アジアでの軍事レース再燃と日本の軍事費負担増
『フィガロ紙』は、日本については「トランプ氏は日本にとって未知数」と報じ、「TPPを拒否するトランプ政権の不確実性の中で、輸出に牽引された最新の日本の経済成長も長くは続かない」とみる。しかしそれより、トランプ新大統領の外交政策が、日本国内の経済政策に深く影響を及ぼす事を「フィガロ紙」は重くみる。日本は伝統的に軍事費をGDPの1%に抑制してきたが、稲田防衛大臣が既に「1%を超える事を妨げる規定は何もない」と発言した事から、「日本は米国から既に、金融バズーカ砲よりも軍事費にもっと予算を使うよう命じられた」可能性を指摘するモルガンスタンレーのエコノミスト山口氏の見解を採用する。トランプ新大統領は東アジアを不安定化させ、費用がかかる軍事レースを再開する可能性が高いため、それに伴い日本国内の米軍の費用負担増加を免れないと見る。
トランプVS中国 既に応酬始まる
『トリビューン紙』は「中国は、トランプ新大統領が関税に固執すればiPhone販売を中止すると脅す」と報じる。具体的には、米国工業活性化のために、中国からの輸入品に45%の関税を課す事をトランプ氏が実施する場合、ボーイングの受注をまとめてエアバスに変更、米国車とiPhone販売中止、トウモロコシと大豆の輸入中止を示唆しており、既に米中の応酬が始まったようだ。
「トリビューン紙」は、トランプの保護主義政策の理由だけでなく、地球温暖化抑止への努力を中国が否認したため、中国との二国間関係を悪化させるポーズが必要だったと分析し、iPhoneの販売中止は余程の事がない限りない実施しないと見る。電話会談では両者は協力する事で一致した模様。仏メディアでは、以前より米中は見かけほど関係は悪くなく、真っ向から対立する事はないとの見方が主流を占める。
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インドが韓国をぬいて世界第5位の自動車生産国に(2016/09/27)
経済減速の兆しがみられるが、インドの成長ぶりが明確な形となって現れる。世界第五の自動車生産国だった韓国は今年の7月に初めてインドにその座を奪われた。フランスメディアは次の通り報じる。
『トリビューン紙』は「インドは現在のところ韓国を抜いて世界第5の自動車生産国」と見出しをつけて、今年初めからのインドの追い上げを報じる。「トリビューン紙」によると、今年初めには既に僅差に迫っていた。今年初めからの生産台数の合計はインド257万に対し韓国は255万である。まだ暫定的だが「この順位が数年続けば、韓国は第5の座を永遠にインドに明け渡す事になる」と報じ、いずれこの順位が固定する可能性が高いとの見方を示す。...
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『トリビューン紙』は「インドは現在のところ韓国を抜いて世界第5の自動車生産国」と見出しをつけて、今年初めからのインドの追い上げを報じる。「トリビューン紙」によると、今年初めには既に僅差に迫っていた。今年初めからの生産台数の合計はインド257万に対し韓国は255万である。まだ暫定的だが「この順位が数年続けば、韓国は第5の座を永遠にインドに明け渡す事になる」と報じ、いずれこの順位が固定する可能性が高いとの見方を示す。韓国自動車工業協会(KAMA)を始めとする自動車業界の専門家は、この事態を重く受け止めているという。
しかしインド製造業の成長だけでなく、自動車業界で繰り返されるストライキによる生産減少もその原因となっている。「トリビューン紙」によると、現代自動車や起亜など自動車製造会社の最大手は12年ぶりにゼネストを経験した。事の発端は、現代自動車が安い人件費を求めてインドを含む工場の海外移転を進めた事に対する反発であった。
7月以降頻発するストにより生産に多大な影響が出た模様。韓国の自動車輸出は今年初めと比べて14.3%減少した。また、7月までインドの追撃をなんとか抑えていたのは、自動車への消費税減税措置による需要増が大きかったようだ。しかし頼みの減税措置も中止され、その場しのぎの需要増に終わった。
『レゼコー紙』は、特に世界第5の自動車メーカーである現代自動車のストライキ拡大を「深刻なレベルの社会的力比べ」と形容し、韓国政府は既に社会問題と見做す事を報じる。
自動車業界ほどではないが、韓国の主要産業や公共サービス分野で社会運動が繰り返されており、韓国の輸出にも影響が出ている。「レゼコー紙」は「韓国が世界第五の地位をインドに明け渡す事になった直接的原因」と見ており、このままいけば「メキシコの追い上げにも屈する可能性がある」と報じる。
アジアの国でフランスメディアを賑わすのは圧倒的に中国だが、最近インドの存在感も際立ってきた。フランスは豪州向けと同タイプの潜水艦をインドに既に販売し、先週はラファール戦闘機36機の契約をインドと締結した。「領土問題を抱える中国とパキスタンに対抗するための軍備増強」と
『ルモンド紙』は報じる。
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