2023年は世界の再生可能エネルギーによる発電割合が初めて30%を超えたという。2024年もこの傾向が継続する一方、化石燃料は減少し、2000年以降初めて世界の発電総量の60%未満になると予測されている。
5月9日付米
『AP通信』:「再エネ由来拡大、世界の総発電の30%に達する」:
英国のシンクタンク「エンバー」が8日に発表した報告書によると、地球温暖化の要因となるCO2やメタン等の汚染物質を排出しない再生エネルギーによる電力が2023年記録を更新、太陽光や風力の数量増加に伴い、初めて世界の発電の30%がクリーンエネルギー源を占めた。
昨年のクリーンエネルギーの種類は、水力発電が最も多いが、インド、中国、北米、メキシコでは干ばつにより水力発電による発電量が過去5年で最低となった。...
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5月9日付米
『AP通信』:「再エネ由来拡大、世界の総発電の30%に達する」:
英国のシンクタンク「エンバー」が8日に発表した報告書によると、地球温暖化の要因となるCO2やメタン等の汚染物質を排出しない再生エネルギーによる電力が2023年記録を更新、太陽光や風力の数量増加に伴い、初めて世界の発電の30%がクリーンエネルギー源を占めた。
昨年のクリーンエネルギーの種類は、水力発電が最も多いが、インド、中国、北米、メキシコでは干ばつにより水力発電による発電量が過去5年で最低となった。気候変動が干ばつ悪化の原因となっていると指摘される。
昨年世界の電力使用量は過去最高で約2%上昇、これは1年間にカナダで使用される電力量に匹敵する。電力需要が増加した背景としては、建物を温めたり冷却したりするヒートポンプや電気自動車の需要増、また、水から水素を取り出す技術として電解槽システムの普及が要因とみられる。他にも、データセンターへの送電利用や、世界的な気温上昇でエアコンが普及したことが要因と考えらている。
昨年最も多かったクリーンエネルギーは太陽光発電で、これは19年連続最も普及している方式であり、2024年は更に普及が進むとみられている。
中国は昨年、最も再生エネルギーを増やし、世界の新規の太陽光発電の51%、風力発電の60%を占めていた。中国、EU、米国、ブラジルは合わけて昨年の太陽光発電の81%を担っている。しかし、世界の石炭発電の55%は中国で、中国国内の総発電量の60%が石炭由来となっている。
国際エネルギー機関(IEA)は、石炭が化石燃料の中でも最も炭素を排出するとしており、気候変動対策として化石燃料による排出量は早急に減少させることが求められているが、中国、インド、ベトナム、メキシコでの排出量は増加傾向にある。
報告書によると、干ばつで貯水池が枯渇した場合、水力発電の代わりに、石炭を使う国もある。これは気候変動により、そもそも気候変動の原因となる物質の使用を促進するという悪循環の一例である。
クリーンエネルギーが拡大する一方、昨年は、化石燃料が未だに世界の発電の大部分を占める。専門家は、今、すべての温室効果ガスを削減しても、既に大気中に存在する汚染物質の量により、地球は何年も温暖化を続けるとしている。
2024年の電力使用は更に増えると分析されているが、再生エネルギー発電も同時に進むと予測され、そのため化石燃料による電力量は2%ダウンするとみられている。
同日付『ロイター通信』:「世界の総発電量、2023年に再生エネルギーが30%を記録」:
2023年世界の再生エネルギー発電量は、太陽光や風力発電の増加で、世界の発電総量の30%を記録。
昨年ドバイで開かれたCOP28気候変動サミットでは2030年までに再生エネを三倍とする目標で合意された。
エンバーによる年次「グローバル電力レビュー」によると、再生エネルギーは昨年、前年の29.4%から30.3%に上昇。昨年の世界の太陽光発電と風力発電の新規設置の半分以上は中国で、世界の太陽光発電は23.2%、風力発電は9.8%上昇した。
報告書では、2024年も再生エネルギーの成長が継続する一方、化石燃料は2%減少し、2000年以降初めて世界の発電総量の60%未満となると予測されている。
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