香港の林鄭月娥行政長官は27日、香港政府の統治能力が失われたという見方を否定した。また、辞任を求める声が続いている中で、今後も市民への奉仕に「専念していく」意向を明らかにした。長官は、「香港行政府が統治能力を失ったとは思わない。日々、政府は法執行機関を支えるだけではなく、他の問題にも責任感を持って取り組んでいる」と述べ、「引き続き謙虚な心で香港の人々への奉仕に専念する」と語った。
あるアナリストは26日、「法改正を完全に撤回しなかったことと、警察の抗議活動への不満が広まったことの2点が、最近の社会不安の最も大きな要因だ」と指摘し、「暴力的な抗議活動は政府がデモ参加者の要求を無視し続ける限り続くと考えられる」と語った。...
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香港の林鄭月娥行政長官は27日、香港政府の統治能力が失われたという見方を否定した。また、辞任を求める声が続いている中で、今後も市民への奉仕に「専念していく」意向を明らかにした。長官は、「香港行政府が統治能力を失ったとは思わない。日々、政府は法執行機関を支えるだけではなく、他の問題にも責任感を持って取り組んでいる」と述べ、「引き続き謙虚な心で香港の人々への奉仕に専念する」と語った。
あるアナリストは26日、「法改正を完全に撤回しなかったことと、警察の抗議活動への不満が広まったことの2点が、最近の社会不安の最も大きな要因だ」と指摘し、「暴力的な抗議活動は政府がデモ参加者の要求を無視し続ける限り続くと考えられる」と語った。
2か月に及ぶ抗議活動はアジアの金融センターである香港の経済活動を妨げ、投資家の不安が高まっている。8月初め、香港政府は2019年のGDP成長率を、これまで想定していた2~3%のレンジから、0~1%のレンジに引き下げた。
抗議活動による直近の悪影響は観光業への影響だ。ホテルの稼働率と小売りの売上は低迷し、観光業が打撃を受けている。ホテルの事業者は、社会不安が収益に影響を与える可能性があると投資家に警告している。また不動産業にも悪影響が及ぶ可能性がある。さらに抗議活動の影響はその他の産業にも及んでいる。8月中旬に辞任したキャセイパシフィック航空のルパート・ホッグCEOは、コメントの中で「最近の出来事」に言及していた。同CEOは、同社のパイロットや職員が反政府抗議活動に参加していたことが判明して以降、中国政府から強い圧力を受けていた。さらには金融センターである香港で大きな存在感を持つとされる複数の大手の会計事務所も、抗議活動と距離を置くコメントを出したとされている。
先のアナリストは、「複数の香港の大企業が公式声明を出したことは、抗議活動の流れをせき止める手段として、中国本土の市場に参入していて本土市場の影響を受ける企業に対して中国政府が圧力をかけていることを示唆している」と指摘している。「香港問題についての中国政府の立場を積極的に支持しない企業は、代償を払うことになるだろう、というのが暗黙の脅しだ。具体的には、国をバックにした消費者のボイコットから、中国市場での政治性のある各種規制の取り締まりまで、さまざまな内容におよぶ恐れがある」と指摘している。
一方、『CNN』は「なぜ民主派トラブルメーカーのジミー・ライ氏が中国に対抗するただ一人の億万長者なのか」の中で香港の民主化闘争の一翼を担う、ある億万長者の動向も伝えている。
ジミー・ライ氏は1948年中国生まれ。少年時代に中国から香港に避難民として移住してきた。そして1990年代半ばに、香港の挑発的かつアンチ中国政府のタブロイド紙、アップル・デイリーの創業者として富を築き上げた。
それ以来、同氏は香港で最も著名な民衆扇動家としての役割を担った。それにより同氏の富は脅かされ、自身も殺害の脅しにもさらされもしたが、中国本土と香港の緊張関係の象徴ともなった。アップル・デイリーは香港の民主化運動の最大の擁護者となった。抗議者の新聞となったのだ。どぎつい表紙は市民に行進に参加するよう呼びかけ、デモ行進で掲げるポスターを配り、常に政府の失策を愚弄した。香港の大物実業家の中で、同氏は、香港の自由のために自身の富を犠牲にしてもよいと考えている唯一の億万長者のように見える。70歳の同氏がデモ行進に参加する姿がしばしば目撃されている。大雨の中でも真夏の日差しの中でも、だ。
同氏を支援する人たちにとっては、同氏は勇敢な民主派活動家だ。しかし同氏を攻撃する人たちからすれば、同氏と同氏の「醜聞あさり」のメディアは米国の手先であり、混乱の元凶だ。最近では、火炎瓶が同氏の自宅の門に投げつけられ、同氏がエイズで死亡したという記事がライバルのメディアに掲載された。そして同氏の政治献金が反汚職法に抵触するという嫌疑もかけられた。同氏は否定し、最終的には裁判は撤回された。
同氏が米国とつながりを持っていることは否定できない。先月同氏は米国ワシントンを訪れ、ペンス副大統領、ポンペオ国務長官、ボルトン補佐官氏と会談し、香港の自由が米国と中国の対立にとってどれだけ重要な意味を持つかを議論した。
同氏は現在の米中貿易戦争を、民主主義と独裁体制の対立であると位置づけ、「新たな冷戦は、相容れない価値観の対立だ。米国と共有する価値観を守るために、香港で私たちは中国と戦っている。我々は敵の領域で米国の戦争を戦っている」とし、戦いの中で死ぬ覚悟はできている、と語った。
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香港のキャセイパシフィック航空は10日、反政府デモを支持する職員らが、中国本土に向かう便や中国の領空を通過する便に乗務することを禁止するとした、中国の航空当局が定めた新たな規則に従うことを発表した。
『AFP通信』や
『ロイター通信』などの報道によると、同航空会社はまた、デモに参加して暴動の罪で起訴されたパイロットを7月末に停職処分とし、デモに関連したものと思われる違法行為により地上職の職員2名を解雇したことを明らかにした。
中国の航空規制当局である中国民用航空局(CAAC)は9日、11日以降の中国本土へ向かう便について、乗務員の身元確認情報を提出し、承認を得るよう同航空会社に命じた。...
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『AFP通信』や
『ロイター通信』などの報道によると、同航空会社はまた、デモに参加して暴動の罪で起訴されたパイロットを7月末に停職処分とし、デモに関連したものと思われる違法行為により地上職の職員2名を解雇したことを明らかにした。
中国の航空規制当局である中国民用航空局(CAAC)は9日、11日以降の中国本土へ向かう便について、乗務員の身元確認情報を提出し、承認を得るよう同航空会社に命じた。また、安全上の問題として、香港の「違法な抗議活動」を支持しているとみられる職員は、中国本土に着陸する便や同国の領空を通過する航空便への乗務が禁止されると警告した。
香港では民主化を求める反政府デモが2カ月にわたって続き、暴力行為がエスカレートしている。中国政府は、同地で続く大規模デモは、1997年に香港が英国から返還されて以来の最大の危機であるとして、中国の体制に対する挑戦とみなしている。
キャセイパシフィック航空では、同社の一部の職員がデモに参加するとともに、客室乗務員の組合がデモを支持する共同声明に署名している。さらにパイロットが暴動で起訴されたことをメディアが報じたため、中国政府の怒りが同社に向けられた模様だ。同社のルパート・ホッグ最高経営責任者(CEO)は10日、従業員らに宛てたメッセージで、CAACが定めた新たな規則には従わざるを得ないと述べた。
ホッグ氏は、「中国本土でのキャセイパシフィックグループの運航業務は、当社事業の鍵となるものだ。本土との間を往復するだけでなく、当社の欧米に向かう便の飛行ルートの多くが中国本土の領空を通過している。」「当社はそれゆえ、当社に対し管轄権を持つ全ての規制当局によって発出される通知と同様に、CAACの規則に従うことを法的に求められている。当社は従わなければならないし、従うことになる。」と説明している。
同社のジョン・スローサー会長は先に、従業員の思想の自由を擁護するとしていたが、ホッグCEOは今回、従業員の振る舞いについて注意を促し、「我々はお互いや、顧客、一般の人々を尊重することが不可欠だ。当社便の安全な運航と、顧客に提供するサービスに影響する不適切な行為は、一切許容しない。」と強調した。
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