トランプ一派にNY州裁判所が懲罰の第一弾【米メディア】(2022/04/27)
ニューヨーク州司法省はこれまで、トランプ前大統領が保有する大手複合企業トランプ・オーガナイゼーション(TO、1923年前身設立)の脱税問題等について調査を進めてきた。そしてこの程、ニューヨーク州裁判所が同省の申し立てを認め、証拠書類等提出を求める召喚状に十分応じていないとして罰金を科すとの命令を下した。
4月25日付
『CNBCニュース』 は、「NY州地裁判事、同州司法省の訴えを認めて、トランプ財閥の不動産鑑定書類を提出するよう不動産サービス大手クッシュマン&ウェイクフィールドに命令」と題して、TO保有資産の評価を行ったクッシュマン&ウェイクフィールド(C&W、1917年設立の世界最大の総合不動産サービス企業)に対して、同評価関係書類をNY郡地裁に提出するよう召喚状を発令したと報じた。
NY州地裁のアーサー・エンゴロン判事(2015年就任)は4月25日、NY州司法省が民事事件調査の一環で証拠書類として提出を求めていたTOのいくつかの不動産鑑定資料について、同評価を行ったC&Wに対して当該資料を同地裁に提出するよう召喚状(文書提出令状)を出した。...
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4月25日付
『CNBCニュース』 は、「NY州地裁判事、同州司法省の訴えを認めて、トランプ財閥の不動産鑑定書類を提出するよう不動産サービス大手クッシュマン&ウェイクフィールドに命令」と題して、TO保有資産の評価を行ったクッシュマン&ウェイクフィールド(C&W、1917年設立の世界最大の総合不動産サービス企業)に対して、同評価関係書類をNY郡地裁に提出するよう召喚状を発令したと報じた。
NY州地裁のアーサー・エンゴロン判事(2015年就任)は4月25日、NY州司法省が民事事件調査の一環で証拠書類として提出を求めていたTOのいくつかの不動産鑑定資料について、同評価を行ったC&Wに対して当該資料を同地裁に提出するよう召喚状(文書提出令状)を出した。
C&Wはこれまで、関係証拠書類の提出を拒んできたが、同令状に従って5月27日までに提出が義務付けられる。
同省報道官によると、同判事は上記発令の数時間前、同省のレティシア・ジェームズ長官がドナルド・トランプ前大統領(75歳)個人に対して要求していた関係書類提出の不提出を理由として、罰金を科すとの命令も下している。
それによると、同前大統領には、当該関係書類を地裁宛に提出するまでに要した期間に対して、1日当たり1万ドル(約128万円)の罰金が科されることになる。
これに関して、同長官は、“本日は二度も、何人も法を超越することは認められないとの真っ当な司法判断がなされた”と評価した。
更に同長官は、“我々が調査対象としているドナルド・トランプ及びTOに便宜を与えたと疑われるC&Wの行為に関して、地裁もその調査が妥当と判断した”とし、“我々の調査は、今後も怯まずに続けられる”と強調した。
一方、C&Wはメールによる声明で、“本日の召喚状は承知しているが、NY州司法長官の求めに従って真摯な対応をしていないとの主張は全く事実無根である”と表明した。
同社は更に、“同省の調査に協力すべく、これまで多くの時間、人員、費用を割いていて、数万に及ぶ情報提供をしてきている”とも強調した。
しかし、ジェームズ長官は、4月8日にC&Wに対してTOに関わる証拠書類提出を求める申し立てを行ったが、“C&Wは、TOの3件の重要な不動産に関わる鑑定書類の提出を拒んでいる”と主張している。
それは、NY州ウェストチェスター郡のセブン・スプリングス高級宅地、ロスアンゼルスのトランプ・ナショナル・ゴルフクラブ、及びマンハッタンの40ウォール・ストリート超高層ビル(通称トランプ・ビル)で、同長官は声明で、“TOがこれらの不動産に関し米連邦内国歳入庁(国税庁に相当)に対して、詐欺的もしくは誤解を与えかねない評価報告を行ったとの証拠がある”とし、“この評価報告によってTOは税額控除を得ているが、この評価にC&Wが行った鑑定が利用されている”と糾弾した。
また、同長官の声明によると、“C&Wは2010年及び2012年、TO所有のトランプ・ビルを2億~2億2千万ドル(約256億~282億円)と評価していたのに、2015年には、同ビルを5億5千万ドル(約704億円)と鑑定していて、TOは当時、ラッダー・キャピタル・ファイナンス(LCF、2008年設立の不動産投資信託)から融資を受けるために当該鑑定評価を利用していた”という。
TOのアレン・ワイゼルバーグ最高財務責任者(74歳)の次男のジャック・ワイゼルバーグはLCFの重役である。
そして、アレン・ワイゼルバーグ及びTOは昨年、2005年以降同CFO及び他のTO重役への報酬に対する課税回避の罪で起訴されているが、同CFO及びTOとも、罪に問われることはないとの申し立てを行っている。
4月26日付『ザ・ビジネス・インサイダー』 オンラインニュース(2009年設立)は、「ドナルド・トランプの長年の鑑定人であるC&Wに対して、NY州司法長官の申し立てに従って関係書類提出命令」と題して、C&W及びトランプに対するNY州地裁の決定について詳報している。
NY州司法省がリリースした声明によると、“C&Wは過去十数年にわたり、トランプ及びTOの求めに応じて疑義ある鑑定を行ってきた”とし、“これに基づき、トランプは数億ドル(数百億円)の融資や税制優遇措置を享受してきた”という。
そして、例えばC&Wは、トランプ・ビルの評価を2012年には2億2千万ドルとしていたのに、2015年には3倍以上の5億5千万ドルだと鑑定しているが、その評価変更理由等の説明や関係書類に関わる同司法省の要求をことごとく拒否している、と同省は言及している。
今回の同地裁命令によって、C&Wは関係書類を5月27日までに提出する義務が生じる。
一方、同地裁は、トランプ個人に対して、NY州司法省の求める関係書類を提出していないことから、当該書類提出日まで1日当たり1万ドルの罰金を科すとの命令を下した。
トランプが、この罰金支払いに応じるか未だ定かでないが、アリーナ・ハッバ代理人弁護士(38歳)は、4月25日地裁命令を受けて、可及的速やかに事情説明を記載したトランプ個人の宣誓供述書を提出すると表明している。
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中国デジタル人民元、西側諸国への唯一最大の脅威なのか(2022/04/18)
米国がこの1年でデジタル通貨に注目するようになった一方で、中国はすでにデジタル人民元を自国内で15都市目に展開している。米専門家は、中国人民元は「過去50年間における西側諸国への唯一最大の脅威だと思う。しかし、ロシアのウクライナ侵攻によって影が薄くなっている」と警告している。
米国がこの1年でデジタル通貨に注目するようになった一方で、中国はすでにデジタル人民元を自国内で15都市目に展開している。米専門家は、中国人民元は「過去50年間における西側諸国への唯一最大の脅威だと思う。しかし、ロシアのウクライナ侵攻によって影が薄くなっている」と警告している。
米
『ビジネス・インサイダー』 によると、2021年後半、デジタル元は80億ドル(約1兆円)以上の取引額を記録した。中国は、電子商取引プラットフォームのアリババとテンセントの成功を受けて、2014年にデジタル通貨の開発に着手していた。
人民元のデジタル化に向けた動きは、中国政府が資本規制を強化しようとしていることを示唆しているが、専門家によれば、ドルが世界的に支配的であるため、中国の中央銀行デジタル通貨が台頭する脅威を最小限に抑えることができるという。...
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米
『ビジネス・インサイダー』 によると、2021年後半、デジタル元は80億ドル(約1兆円)以上の取引額を記録した。中国は、電子商取引プラットフォームのアリババとテンセントの成功を受けて、2014年にデジタル通貨の開発に着手していた。
人民元のデジタル化に向けた動きは、中国政府が資本規制を強化しようとしていることを示唆しているが、専門家によれば、ドルが世界的に支配的であるため、中国の中央銀行デジタル通貨が台頭する脅威を最小限に抑えることができるという。ボストンカレッジの経済学者で副学部長のアレクサンダー・トミック氏は『ビジネス・インサイダー』 の取材に対し、「デジタル人民元は必ずしもドルを置き換えるためのものではなく、中国政府が国内の資金の流れをより把握できるようにするためのものだろう」と述べた。
中国人民銀行は今月、デジタル人民元をさらに広州、杭州、天津、重慶の4都市で推進すると発表した。トミック氏によれば、ほとんどの取引はAlipayやWeChat Payといった民間の決済会社を通じて行われているが、デジタル人民元の利用が拡大すれば、この状況は変わる可能性があるという。
サウスチャイナモーニング・ポスト紙は、現在、中国中央銀行は、銀行、テクノロジー企業、地方公共団体がこの通貨を採用するためのインセンティブの開発に取り組んでいると報じている。トミック氏は、中国では、政治的な反対意見が制限されているため、米国よりも迅速に新しい決済手段を開発することができるだけでなく、論争を引き起こすような、あるいは不人気となりうるような決定を、より少ない公開討論で行うことができるという点で有利であると指摘している。重要なのは、もし中国がデジタル人民元を完全に導入できれば、将来の経済制裁に対する盾として機能する可能性があるということだ。
ヘッジファンドマネージャーのカイル・バス氏は米『エポックタイムズ』 に対して、デジタル人民元は、「過去50年間における西側諸国への唯一最大の脅威だと思う。しかしその脅威はロシアのウクライナ侵攻によって影が薄くなっている」と警告している。
中国のデジタル通貨はこれまで、中国の20以上の異なる都市でパイロットテストが実施されており、2022年の北京冬季オリンピックでは、初めてモバイルアプリを通じて訪日外国人が利用できるようになった。バス氏は、「これは単純なデジタル決済アプリではありません。これは、あなたがどこにいるのか、あなたの名前は何か、社会保障番号は何か、そしてあなたのすべての識別子を追跡するアプリになります。地理的位置特定機能も備えているのです」と指摘している。
バス氏はまた、中国のデジタルマネーの開発が完了し、中国国外の誰もが利用できるようになれば、中国政権は経済的に困っている人など、特定のデジタル元利用者を探し出し、彼らに影響力を行使する可能性があると述べた。「中国政府がアメリカやヨーロッパ、カナダの一般の人々すべてにアクセスできたとしたら、どうでしょう。例えばもし、アルゴリズムを実行し、出会いアプリのTinderを利用している米国政府の職員で、お金に困っている人を探しだしたとすれば、すぐに影響力を行使して堕落させることができます。これは国家安全保障上の問題です。つまり、デジタル権威主義を輸出するのです。」と説明している。
さらに、「中国が決済する世界取引の約87%はドルで決済されています。エネルギーも食料も原材料も不足し、毎日世界中に買いに行かなければならないのに、自国の通貨は信用されず、資本勘定も閉ざされたままです。そのためにドルを使わなければならないのです」。バス氏は、中国のデジタル人民元の世界展開は、米ドルへの依存度を下げるという非常に具体的な意図があると指摘している。
ワシントンのシンクタンク、アトランティック・カウンシルの調査によると、米国を含む世界の80カ国以上が中央銀行デジタル通貨の発行を検討している。今のところナイジェリアが、自国通貨のデジタル形式を開始した9カ国のうちの1つとなっている。米国は3月、デジタル資産に関する大統領令の概要を発表した。バイデン大統領は、米国のCBDCの研究開発を「緊急課題」としており、その発行は「国益に適う」と判断した。
米『CNBC』 は、「Cashless: China’s Digital Currency Revolution」の著者であるリチャード・ターリン氏が、中国のデジタル人民元は、今後10年間で国際貿易決済におけるドルの支配に挑戦することになると主張していることを伝えている。「中国は最大の貿易国であり、中国から物を買うときには、デジタル人民元が徐々にドルに取って代わるのを見ることになるだろう」と語っている。
元銀行員でフィンテックの分野にも携わってきたターリン氏は、「5~10年先まで考えると、デジタル人民元は国際貿易におけるドルの使用量を減らす上で重要な役割を果たすことができるだろう」と述べた。代替決済システムへの移行は、各国が現在の「ほぼ100%」ドルに依存している状態を解消したいという願望から生まれる可能性が高いという。「将来的には、ドルへの依存度を100%から80%、85%へと、ゆっくりと、そしてほんの少しだけ下げようとするロールバック、リスクマネジメントが行われるだろう」と指摘している。
世界第2位の経済大国である中国は、現在「あらゆる金融技術で10年先を行っている」という。一方、米国は潜在的なデジタル・ドルのための計画と試験から脱するだけでも「あと5年は簡単にかかる」という。
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