EU:中国による虚偽情報拡散対処に本腰を入れる(2022/05/09)
欧州連合(EU)の外交をつかさどる機関「欧州対外行動局」のフェイクニュースに対処する部門であるEUvsDisinfoは、EUにおけるロシアの偽情報の宣伝活動を7年間にわたって追跡、暴露してきた。しかし現在は中国のプロパガンダ活動にも対抗しようと立ち上がっている。
仏ニュースサイト
『ユーロニュース』によると、EUvsDisinfoはここ数週間で、2つの記事を中国語で発表した。同部門は通常、欧州の1つ以上の言語で記事を発表しており、中国語での発信は今回が初めてとなる。
報告書はどちらもウクライナ戦争に関するフェイクニュースを扱っている。欧州委員会の広報担当者によると、「EUvsDisinfoは、中国語圏の人に事実に基づく情報を提供し、ウクライナ戦争をめぐる誤った情報に対する認識を高めるために、中国語で発表した」という。...
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『ユーロニュース』によると、EUvsDisinfoはここ数週間で、2つの記事を中国語で発表した。同部門は通常、欧州の1つ以上の言語で記事を発表しており、中国語での発信は今回が初めてとなる。
報告書はどちらもウクライナ戦争に関するフェイクニュースを扱っている。欧州委員会の広報担当者によると、「EUvsDisinfoは、中国語圏の人に事実に基づく情報を提供し、ウクライナ戦争をめぐる誤った情報に対する認識を高めるために、中国語で発表した」という。EUvsDisinfoは過去にも、新型コロナウイルス、新疆における人権侵害、アフガニスタン、ウクライナなどについて、親ロシアの情報源と中国政府がコントロールしている中国情報源の類似性について記事を発信してきた。
ロシアのウクライナ侵攻に関して、中国共産党政府はロシアの軍事侵攻を非難することを拒否している。また、中国は中立を保ちたいとしている一方で、ロシア政府の公式見解を拡散している。ロシアは、ウクライナ侵攻は戦争や侵略ではなく、「特別軍事作戦」だという立場を取っており、ウクライナにある米国出資の複数の生物兵器工場が、渡り鳥に化学物質を注入してロシアを攻撃する計画に取り組んでいたと主張している。
一方、3月上旬、EUの議員たちは、「外国からの干渉や情報操作に関連した具体的な制裁措置」で武装するよう求め、欧州議会の決議で、ロシアと中国が最大の違反者であることが確認された。
欧州における中国とロシアの影響力を分析している団体「MapInfluenceEU」の創設者兼代表のイヴァナ・カラスコヴァ氏は、『ユーロニュース』の取材に対し、「EUは、新型コロナウイルスの流行とウクライナ戦争の間に、長年にわたって反EUメッセージで欧州国民を狙ってきたのはロシアだけでなく、中国も同様に活動していたことに徐々に気づいていった」と語った。
カラスコヴァ氏は、EU圏ではすでに、EU圏外の国家主体がヨーロッパのメディアに投資することを難しくするようすでに法制化がすすめられていることは、朗報だと指摘した。今後は、デジタル・プラットフォームを対象とし、メディアの自由を促進する法律の制定を検討すべきだと提言した。また、「中国は以前からヨーロッパでロシアのメディアを利用している。親ロシア派の偽情報拡散サイトを標的とした措置は、中国にも影響を与える」と強調した。
米『エポックタイムズ』によると、ブリンケン米国務長官も、「世界報道自由デー」の5月3日の記念講演で、中国共産党政権が外国企業との資金関係を利用して、外国のニュース会社の編集に干渉したり、共産党政権を否定的に表現するニュースを封じたりしていると非難した。
中国共産党は、習近平就任早々に発表した文書で、報道の自由という考えを中国の共産主義支配に対する脅威として挙げ、国家がメディアを統制すべきではないという考えと戦うよう党指導者らに指示していた。
中国の情報統制の試みは、メディアへの働きかけに限定されていない。米国司法省の3月に公開された資料によって、中国の諜報員が、下院議員に立候補した米軍退役軍人に対しストーカー、嫌がらせ、脅迫を目的とした陰謀に関与していたことが明らかになった。また、中国共産党が新疆ウイグル自治区で続けている弾圧に対してネットで批判的な発言を投稿した米国のオリンピック選手を、中国の諜報員が米国で私立探偵を雇い、ストーカー行為や違法な監視を行っていたことも明らかになった。
ブリンケン氏は、「我々は、中国がその技術を悪用して、中国国内だけでなく海外においても、中国国民、ジャーナリスト、活動家、その他に対する監視、嫌がらせ、脅迫、検閲を、強化しようとしていることを深く懸念している。」と語った。
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オーストラリアと米国:中国を警戒・パプアニューギニアとの安保協力強化を検討(2022/04/27)
オーストラリアと米国は、南太平洋のソロモン諸島が中国と、安全保障に関する協定を結んだと発表したことを受け、ソロモン諸島とオーストラリアの間に位置するパプアニューギニアとの安全保障上の関係を強化することを検討している。
豪
『シドニーモーニングヘラルド』は、オーストラリアの東海岸から2000キロ弱離れたソロモン諸島のインフラを中国軍が保護することを認める合意を受けて、米国とオーストラリア当局者は、近隣の太平洋諸島諸国とのパートナーシップを強化することに焦っている、と伝えている。
5月に連邦議会総選挙を控えるオーストラリアでは、労働党のアンソニー・アルバネーゼ党首が、スコット・モリソン首相がこの取引を阻止するために十分な働きをしてこなかったと攻撃し、太平洋地域での対外援助支出を増やすと発表した。...
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豪
『シドニーモーニングヘラルド』は、オーストラリアの東海岸から2000キロ弱離れたソロモン諸島のインフラを中国軍が保護することを認める合意を受けて、米国とオーストラリア当局者は、近隣の太平洋諸島諸国とのパートナーシップを強化することに焦っている、と伝えている。
5月に連邦議会総選挙を控えるオーストラリアでは、労働党のアンソニー・アルバネーゼ党首が、スコット・モリソン首相がこの取引を阻止するために十分な働きをしてこなかったと攻撃し、太平洋地域での対外援助支出を増やすと発表した。
一方、米代表団は先週、フィジー、パプアニューギニア、ソロモン諸島の太平洋島諸国を歴訪し、各国の指導者や政府関係者と会談を行った。クリテンブリンク米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は、パプアニューギニアと米国の安保協力を強化したいという意向が双方にあると述べ、両国の間で今後数カ月かけて議論が行われる計画だと述べた。
豪政府高官筋によると、オーストラリアも数カ月前からパプアニューギニアとの安全保障上の結びつきを強化することを検討していたという。しかし、米『エポックタイムズ』によると、パプアニューギニアなど、他の太平洋諸国も、中国から安全保障協定を採用するよう同様の「圧力」に直面しているという。
中国は以前、パプアニューギニアのブーゲンビル島自治区に関心を示し、「一帯一路構想」の旗印のもと、同地域へのインフラ投資として10億米ドル(約1278億円)を提供すると報じられたことがある。現在ブーゲンビルは2027年までにパプアニューギニアからの独立を達成する方向で動いている。また2018年には、中国共産党はパプアニューギニアの海軍基地の再開発も申し出たが、オーストラリアと米国との取引に敗れた。
モリソン首相は、この地域での影響力をめぐって中国共産党政府と競い合うことの難しさを警告している。首相は26日、ラジオ番組で、「我々はこの地域のすべての国々に懸念を抱いている。太平洋諸島には20の国があり、20の地域で中国共産党の影響力に対抗することを検討している。我々は太平洋の島々のすべてに大使館がある、世界で唯一の国である。この地域は激しく争われており、我々は常に前向きに取り組んできた。しかし、同じルールに従わない中国政府を相手にしているのだ」と語った。
中国とソロモン諸島の安全保障協定の締結を受けて、日本政府も上杉外務政務官をソロモン諸島に派遣している。『ロイター通信』によると、林外務大臣は、ソロモン諸島のソガバレ首相が26日、日本の代表団に対し、中国による自国への軍事基地建設を認めるつもりはない、と述べたことを明らかにした。
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