ロシアのルーブルが侵攻前の水準にまで回復、制裁の効果に疑問の声も(2022/04/08)
欧米の制裁、多くの欧米企業の撤退、ロシア軍の困難な状況にもかかわらず、ロシア通貨ルーブルが、侵攻前の水準まで戻っている。1ドルは3月初めには140ルーブル近くまで上昇していたのが、今では80ルーブルの価値に下がっている。またロシア経済はインフレと景気後退が予想されているものの、ガスや石油の輸出により経常黒字になることが予測されている。
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『ブルームバーグ』は、ロシア政府とそのオリガルヒに対する非常に広範な制裁措置や、外国企業の撤退にもかかわらず、外国人がロシアの石油や天然ガスを買い続け、ロシアの金庫を潤すことでルーブルを支えていれば、制裁措置はほとんど意味をなさないことが明らかになった、と伝えている。ブルームバーグ・エコノミクスは、ロシアが世界経済からほとんど切り離されているにもかかわらず、今年はエネルギー輸出から3210億ドル(約40兆円)近くを稼ぎ出し、2021年から3分の1以上増加すると予想している。...
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『ブルームバーグ』は、ロシア政府とそのオリガルヒに対する非常に広範な制裁措置や、外国企業の撤退にもかかわらず、外国人がロシアの石油や天然ガスを買い続け、ロシアの金庫を潤すことでルーブルを支えていれば、制裁措置はほとんど意味をなさないことが明らかになった、と伝えている。ブルームバーグ・エコノミクスは、ロシアが世界経済からほとんど切り離されているにもかかわらず、今年はエネルギー輸出から3210億ドル(約40兆円)近くを稼ぎ出し、2021年から3分の1以上増加すると予想している。ルーブルの急速な回復は、プーチンに大きな勝利をもたらしている。
ゼネラリ保険アセットマネジメントの新興国市場担当のギョーム・トレスカ氏は「政治家にとっては、制裁の影響がないことを示すことで、良いPRになる。そして、インフレの影響を抑えるのに役立つだろう」と述べている。
ロシア政府は、制裁措置を受けて、非居住者投資家が保有する資産の凍結や、保有する外貨の80%をルーブルに転換するようロシア企業に指示することを含む一連の資本規制を制定した。そして、今も様々な国がロシア産の石油やガスを購入していることで、ロシアに対して命綱を投げている。エネルギー輸出で経常黒字を得ていることで、ロシア通貨が回復した。
『ブルームバーグ』は、ロシアが国内市場を安定させ、厄介な債務不履行も回避することができているため、反ロシア政府連合が再びルーブルに打撃を与えようとするならば、やり方を変えなければならないだろう、と指摘している。今週、米国財務省は米国の銀行にあるロシアの口座からのドル債務の支払いを禁止した。これは、ロシアに国内のドル準備を放出させるか、デフォルトさせようとする試みである。
国際金融市場関連のニュースサイト『Investing.com』は、ウクライナ戦争と国際的な制裁措置により、今年のロシア経済が急激に落ち込むことはどの専門家も認めているものの、今回の危機の影響がどの程度になるかはまだ不透明な状況だと伝えている。
1日に発表されたロシアのS&Pグローバル購買担当者景気指数(PMI)は、2月の48.6から3月は44.1に低下した。50以下の数値は縮小を反映しており、ロシアの経済活動の落ち込みは、新型コロナウイルスのパンデミックの初期段階であった2020年5月以降で最悪となっている。ウクライナ戦争が長引けば、ロシア経済にとってその影響は飛躍的に悪化する可能性がある。特に、欧州連合(EU)は新たに報告された残虐行為を受けてロシアに対する新たな制裁措置を導入する予定である。
ゴールドマン・サックスは、「生産、新規受注、特に新規輸出受注が急激に減少し、下落が広範囲に及んでいる」と指摘している。そして、今年のロシアのGDPは10%縮小すると予想している。欧州復興開発銀行も2022年のロシア経済の縮小率を10%と予測しており、国際金融研究所は2022年に15%、2023年にさらに3%と、より大きな急落を予測している。
米『ビジネス・インサイダー』は、ルーブルの回復により、プーチン大統領に対する国内の圧力はいくらか緩和されたものの、国の経済の形を反映したものではない、と伝えている。
三菱UFJフィナンシャル・グループの通貨アナリスト、リー・ハードマン氏は、「ロシアはもう自由な市場ではない。基本的な状況はかなり悪化している」と指摘している。「この国の経済が比較的深刻な事態に陥るだろうと予想している。そして、今後さらにインフレが進行することになるだろう。」と述べている。ロシアのインフレ率はすでに15%程度に跳ね上がっており、専門家たちは2022年末には20%を超えると予想している。
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ウクライナ危機、ロシアによるサイバー戦争の可能性(2022/02/25)
ロシアのプーチン大統領が24日、ウクライナへの大規模侵攻に踏み切った。このロシアの軍事攻勢に加えて、サイバー戦争の始まりの可能性が懸念されている。
仏
『BFMTV』は、ロシアは長年、サイバー攻撃のための兵器を準備してきたと伝えている。ロシア政府に近いとされるハッカー集団は、国家や機関、大企業などを標的としたハッキングによって、定期的にその存在感を示してきた。
最近では、例えば、欧州医薬品庁へのサイバー攻撃でロシアに疑惑の目が向けられた。また、2017年のフランス大統領選では、第2回目の投票の2日前に、共和国前進党の内部メール2万通がハッキングされ、偽情報と関連付けて流布された事件で、ロシアのハッカーが疑われた。...
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仏
『BFMTV』は、ロシアは長年、サイバー攻撃のための兵器を準備してきたと伝えている。ロシア政府に近いとされるハッカー集団は、国家や機関、大企業などを標的としたハッキングによって、定期的にその存在感を示してきた。
最近では、例えば、欧州医薬品庁へのサイバー攻撃でロシアに疑惑の目が向けられた。また、2017年のフランス大統領選では、第2回目の投票の2日前に、共和国前進党の内部メール2万通がハッキングされ、偽情報と関連付けて流布された事件で、ロシアのハッカーが疑われた。
ウクライナに対する攻勢の一環として、ロシアのハッカーたちは、紛争の激化に先立ち、すでに仕事に取り掛かっていた可能性も示唆されている。1月初旬、ウクライナの外務省や非常事態省など、複数のウクライナ政府機関のサイトが使用できなくなった。1月17日付けのルモンド紙では、犯人の目的としては、データの窃盗、脅迫の試み、ウクライナ人の指導者に対する信頼を損ねることなどの目的が考えられると伝えられていた。今回の紛争においては、例えばウクライナ軍の機密のやりとりを傍受するため、そして何よりも重要な場面で敵の通信を遮断するなどの目的があげられる。
サイバーセキュリティの専門家であるオリヴィエ・ローレリ氏は『BFMTV』の取材に対して、「このような攻撃は、即座に行われることはまずありえない。長期的にハッキングしてきたもので、休止状態のままにさせておいたスパイウェアを導入し、適切なタイミングで使用する。特に世界中の多くのサーバーに影響を与えるLog4Shellのようなものへの攻撃で、今後数カ月で流出が急増する可能性があると想定できる」と説明している。ロシアはおそらく中国と並んで、大規模なサイバー戦争に最も備えている大国だという。
2019年11月、ロシア国内では「インターネット主権」を支持する法律が施行され、国内ネットワークが他の地域から完全に独立した形でも動作できるようになった。アメリカやヨーロッパのサーバーへのアクセスが遮断されても、国内でのオンラインのやりとりを続けることができる。緊急時には、連邦通信監監督機関が全国のネット通信を一元管理する役割を担っている。ロシアのメディア「RBC」によると、これに関するテストが2021年の夏に実施されている。
米『ビジネス・インサイダー』によると、ロシアのサイバー攻撃に対して、ハッカー活動家たちの国際的ネットワーク「アノニマス」が現在進行中のロシア・ウクライナ戦争への介入をツイッター上で宣言した。ロシアがウクライナに対して攻勢をかけている中、アノニマスのハッカーたちは、ロシア政府のいくつかのウェブサイトと、国営テレビ局のウェブサイトをダウンさせたと主張している。
アノニマスによって停止させられたり、速度が低下したりしたサイトには、ロシア政府、下院、国防省のものが含まれる。ハッカー集団は、ロシアのインターネットサービスプロバイダーであるCom2Com、Relcom、Sovam Teleport、PTT-Teleport Moscowのウェブサイトに対する分散サービス妨害(DDoS)攻撃も行ったという。
一方、米『アクシオス』は、バイデン政権と米議会が、ウクライナ侵攻後のロシアによるサイバー戦争に備え、アメリカ企業に対する潜在的な攻撃に備えるよう警告していると伝えている。米当局は、プーチン大統領が米国に報復の責任があると考えた場合、サイバー紛争がエスカレートすることを懸念している。
ジョージタウン大学セキュリティ・新興テクノロジーセンターのカテリーナ・セドヴァ研究員は、ロシアのサイバー攻撃のターゲットとして、送電網やパイプラインなどの重要なインフラが考えられるとし、「必ずしも人命を危険にさらすわけではないが、米国の対ロシア活動に対する世論を揺るがすほどの不便をもたらすだろう」と語っている。
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