英国の「合意なきEU離脱」により、世界で60万人超が職を失う恐れ(2019/02/13)
ドイツのハレ経済研究所は11日、英国が欧州連合(EU)から合意なしに離脱した場合、世界全体で60万人超が職を失う恐れがあるとの研究結果を公表した。EUで最大規模の経済国ドイツは最も深刻な影響を受け、失職者は10万人を超える可能性があるという。
『AFP通信』『AP通信』や地元ドイツの
『DPA』が、ハレ経済研究所(IWH)の研究について報じた。IWHは1992年に設立された非営利の経済に関する研究所であり、ドイツ東部・ザクセン=アンハルト州のハレに本拠を構えている。
本研究でIWHのエコノミストらは、英国の合意なきEU離脱後、同国のEU加盟国からの輸入が25%減少した場合、どのような影響があるかについて分析を行った。エコノミストらは、商品とサービスの貿易にのみ着目し、投資フローの変化など、他にも考えられるEU離脱の経済的要素については、分析の対象から除外したとしている。...
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『AFP通信』『AP通信』や地元ドイツの
『DPA』が、ハレ経済研究所(IWH)の研究について報じた。IWHは1992年に設立された非営利の経済に関する研究所であり、ドイツ東部・ザクセン=アンハルト州のハレに本拠を構えている。
本研究でIWHのエコノミストらは、英国の合意なきEU離脱後、同国のEU加盟国からの輸入が25%減少した場合、どのような影響があるかについて分析を行った。エコノミストらは、商品とサービスの貿易にのみ着目し、投資フローの変化など、他にも考えられるEU離脱の経済的要素については、分析の対象から除外したとしている。
これによると、EUに残留する27の加盟国では、英国に直接輸出を行っている企業で、合計約18万人が失職する恐れがある。しかし、これらの企業に対し、製品を販売・輸出しているEU域内と世界の企業で、さらに約43万3,000人が影響を受けるとして、例えば、中国では約6万人、日本でも約3,000人が職を失う可能性があるという。
欧州では、EUで最大の経済規模を誇るドイツで、自動車関連産業を始めとして約10万3,000人、フランスでは約5万人分の雇用が失われる恐れがある。英国国内でも、EU域内の企業に部品を輸出している企業などで約1万2,000人が影響を受ける可能性がある。それらの部品を使った完成品を英国が輸入しているからだ。
研究論文の共同執筆者は声明で、英国が合意なしにEUを離脱すると、両者間で関税が課され、世界のサプライチェーンが複雑に絡み合うことになると説明した。研究では、市場は世界中でつながっているため、合意なきEU離脱は、EU域外に供給拠点を構える企業に対しても、影響を及ぼすと警告した。
但し、エコノミストらは、英国の合意なきEU離脱によって、必ずしも労働者が解雇されることにはならないとも指摘した。「多くの先進国で熟練した労働力が不足していることを踏まえると、企業は就業時間を短縮したり、新たな市場を開拓したりして、従業員の雇用を維持することもあり得る。」と述べている。
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日本、労働市場最高潮も賃金・消費上がらず、また、人手不足倒産も<米・英・ロシア・ドイツメディア>(2017/05/31)
厚生労働省の5月30日公表データによると、4月の有効求人倍率(季節調整)は1.48倍と、1990年7月に記録したバブル経済期の最高値(1.46倍)を上回り、1974年2月(1.53倍)以来43年2ヵ月振りの高水準となった。しかし、総務省の公表データでは、世帯別個人消費が14ヵ月連続で減少しており、また、東京商工リサーチによると、人手不足関連倒産が310件(うち後継者難が268件、求人難が24件、人件費高騰による資金繰り難が18件)と徐々に増えてきている。欧米メディアも関心を持って報じている。
5月30日付米
『CNNニュース』:「日本の労働市場、人手不足状況悪化」
厚生労働省が5月30日に発表したデータによると、今年4月の求人倍率が1.48倍となり、1974年の1.53倍以来の高水準となっている。安倍晋三政権が推す、女性活躍社会創生政策も後押しして、女性や高齢者の就業人口が増えているが、業種によっては必要な雇用が確保できない状況にある。
少子高齢化によって労働人口の減少、更には将来の経済規模縮小が懸念されるが、日本は依然、移民労働力受け入れに消極的なことが顕著である。...
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5月30日付米
『CNNニュース』:「日本の労働市場、人手不足状況悪化」
厚生労働省が5月30日に発表したデータによると、今年4月の求人倍率が1.48倍となり、1974年の1.53倍以来の高水準となっている。安倍晋三政権が推す、女性活躍社会創生政策も後押しして、女性や高齢者の就業人口が増えているが、業種によっては必要な雇用が確保できない状況にある。
少子高齢化によって労働人口の減少、更には将来の経済規模縮小が懸念されるが、日本は依然、移民労働力受け入れに消極的なことが顕著である。
また、労働市場が好調であるのに、十分な賃金上昇に結びついていないという問題もある。
同日付英
『ロイター通信英国版』:「日本の労働市場好調で、個人消費増への期待」
四十数年振りの求人倍率を記録しても、4月の個人消費高は、車購入や教育費用の減少によって、前年同月比▼1.4%と、通年平均の▼0.7%を大幅に上回る落ち込みとなっている。
ただ、高い求人倍率と合せて、失業率が2.8%と、1994年6月以来の最低レベルが続いていることから、経済専門家は、いずれ個人消費増につながるものと期待している。これは、消費者物価指数+2.0%の目標が中々達成できない日銀関係者も同様であろう。
同日付ロシア
『RT(ロシア・トゥデイ)テレビニュース』:「日本の労働市場が予想以上にタイト」
4月の求人倍率は四十数年振りに高い数値を示しているが、少子高齢化に伴う労働人口減少が背景にある。かかる状況下、女性や高齢者の就業者数増となっているのは、日本経済にとって良いニュースであろう。
一方で、求人難の状況が賃金上昇に結びついていないという事態があるが、専門家によると、雇用が確保できない企業が海外移転に動いていることが背景にあるという。
同日付ドイツ
『DPA(ドイツ通信)インターナショナル』:「日本の世帯別個人消費が14ヵ月連続で落ち込み」
5月30日の総務省発表によると、4月の世帯別個人消費額は前年同月比▼1.4%と、14ヵ月連続の減少となっている。これは、日経ビジネスが予測した▼1.0%より、また、3月の▼1.3%より大きい落ち込みである。
また、平均月額賃金(インフレ調整値)も47万2,047円(4,253ドル)で、前年同月比▼2.2%と、2ヵ月連続の減少となっている。
経済専門家によると、女性や若年層が、特に低賃金のアルバイトやパートに従事していることが背景にあるとしている。総務省の発表では、かかる非正規雇用者が全体の37%に上る。
一方、今月初めの政府発表では、今年1~3月期の経済成長率は年率換算+2.2%と、5四半期連続の成長となっているとしているが、この背景には輸出が好調なことが挙げられる。
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