2017年のコカイン生産量は過去最高、薬物で要治療3500万人;国連薬物犯罪事務所報告(2019/06/28)
国連薬物犯罪事務所(UNODC)は26日、年次報告書「世界薬物報告」の2019年版を発表した。これによると、17年の世界のコカイン生産量は、前年比25%増の1,976トンとなり、過去最高を記録した。内戦が終結したコロンビアでの生産量急増が影響している。
『AFP通信』や独
『DPA』のほか中南米メディアなどが伝えたUNODCの報告書によれば、2017年に生産されたコカインの量は1,976トンで過去最高となり、薬物依存や健康障害で治療が必要な人は約3500万人に上ることが判明した。
同報告書は、コカインの生産量が、2017年までの10年間で50%増加したとしており、この急増は、主にコロンビアでの製造量の増加が原因と指摘している。同国は、世界のコカインの70%を生産していると推定され、2013~17年に、コカの畑の面積が4万6,000ヘクタールから17万1,000ヘクタールに拡大した。...
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『DPA』のほか中南米メディアなどが伝えたUNODCの報告書によれば、2017年に生産されたコカインの量は1,976トンで過去最高となり、薬物依存や健康障害で治療が必要な人は約3500万人に上ることが判明した。
同報告書は、コカインの生産量が、2017年までの10年間で50%増加したとしており、この急増は、主にコロンビアでの製造量の増加が原因と指摘している。同国は、世界のコカインの70%を生産していると推定され、2013~17年に、コカの畑の面積が4万6,000ヘクタールから17万1,000ヘクタールに拡大した。
一方、世界で押収されたコカインの量は、2017年までの10年間に74%増加した。2017年に各国の当局は、記録的な量の薬物を取り締まり、1,275トンが押収されたが、これは前年から13%増加している。その内の90%近くは南北アメリカで押収されたものであり、コロンビアだけで世界全体の38%を占めた。
コロンビアでは、2016年に同国政府と反政府左翼ゲリラ「コロンビア革命軍(FARC)」との和平の合意が成立して内戦が終結した。その後、コカを栽培していた農家は代替の作物の栽培を奨励された結果、同国中部の一部の地域では、コカインの生産量が落ち込んだ。しかし、UNODCの報告書によると、コロンビアではそれ以降、コカの栽培がさらに増加している。FARCが以前支配していた主に大都市から遠く離れた地域に犯罪集団が入り込み、新たな畑でコカの栽培を行っているからだという。
同報告書はまた、人口の多いインドやナイジェリアで実施した調査の結果が新たに判明し、薬物による依存症や健康障害などを患い、要治療となった人の見積もりを大幅に上積みした。2017年には世界全体で、それまでより約450万人増の約3500万人としている。UNODCは、要治療の7人中6人が必要な治療を受けられていないと指摘した。
UNODCは、北米のオピオイド危機についても報告している。2017年には米国で非常事態が宣言され、4万7,000人超がオピオイド鎮痛薬の過剰摂取によって死亡した。2017年には世界全体でオピオイドの服用者は5340万人となり、前年比56%増だった。
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世界の核弾頭総数は昨年比4%減、核兵器や施設の近代化が進展;国際平和研(2019/06/18)
スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は17日、世界の核軍備や安全保障に関する年次報告書を公表した。これによると、今年初めの世界の核弾頭保有数は、昨年比約4%減の最大1万3865個となり、減少傾向が続いているものの、米ロを中心に核兵器や生産施設の近代化が進められているとして、SIPRIは懸念を示している。
『ユーロニュース』や独
『DPA』などが報じたSIPRIの報告書によると、米ロ英仏中の5カ国にインド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮を加えた9カ国合計の核弾頭保有数は、今年1月時点での推計で最大1万3865個となり、昨年から600個(約4%)減少した。
世界での減少傾向の主因としては、全体の保有量の約9割を占める米ロ両国が、新戦略兵器削減条約(新START)に沿って戦略核弾頭を減らしたことが挙げられる。...
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『ユーロニュース』や独
『DPA』などが報じたSIPRIの報告書によると、米ロ英仏中の5カ国にインド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮を加えた9カ国合計の核弾頭保有数は、今年1月時点での推計で最大1万3865個となり、昨年から600個(約4%)減少した。
世界での減少傾向の主因としては、全体の保有量の約9割を占める米ロ両国が、新戦略兵器削減条約(新START)に沿って戦略核弾頭を減らしたことが挙げられる。同軍縮条約は2010年に調印、11年2月に発効し、両国が保有可能な軍備を制限したものである。
同条約は、保有可能な大陸間弾道ミサイル(未配備を含む)を各800発まで、核弾頭は1550個、他のミサイルや爆撃機は700機の配備を上限とした。両国は2018年2月の期限までに削減目標を達成したが、条約終了後の21年以降の取り決めについては未定だ。
報告書を執筆したハンス・クリステンセン氏は、「核弾頭の量に関してではなく、技術に関する新たな種類の軍拡競争がある」と指摘し、核を保有する各国が、戦略の変更により、核兵器や生産施設などの近代化に取り組んでいると説明した。例えば、ロシアは米国のミサイル防衛網を回避することが可能な武器を開発している。一方で、米国もロシアに対抗し、新たな短距離戦術核兵器の開発を進めるなど軍備の刷新、近代化を進めている。
米ロ以外では、中国やインド、パキスタンが、核弾頭の保有数を徐々に増やしている。インドとパキスタンは核兵器の生産能力を大幅に向上させており、今後の10年で保有数が急増する可能性があるとSIPRIは警告した。英仏両国の保有数は、ここ数年安定しているが、やはり兵器などの近代化を進めている。また、報告書は例年同様、北朝鮮やイスラエルを始め、各国の統計の不透明性を批判している。
各国の核弾頭保有数は次のとおり(カッコ内は昨年分)。米国6,185(6,450)、ロシア6,500(6,850)、英国200(215)、フランス300(300)、中国290(280)、インド130~140(130~140)、パキスタン150~160(140~150)、イスラエル80~90(80)、北朝鮮20~30(10~20)。北朝鮮は不明な要素が多いため、合計数には含まれていない。
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