気候変動によるアルプスの氷河融解でスイス・イタリアの国境引き直し【欧米メディア】(2024/10/02)
スイス行政機関の直近の発表によると、アルプス氷河の半分以上を占めるスイスにおける氷河融解が直近3年間で12%余りに達したという。そうした中、アルプス氷河の稜線や永久雪の領域によって国境を決めているスイスとイタリアが、氷河の融解により自然の境界が移動してしまったことから、両国が国境を引き直すことになった。
10月1日付
『ロイター通信』、
『BBCニュース』は、気候変動に伴ってアルプス氷河の融解が激しく進んだことから、同氷河の稜線に基づいて国境を決めていたスイスとイタリアが国境を引き直すことになったと報じている。
スイス科学アカデミー(1815年設立)傘下のスイス氷河モニタリングネットワーク(GLAMOS、スイス国内の20の氷河を数百地点で計測)は10月1日、今年の氷河融解が2.5%進み、最悪だった2022年の6%、次に深刻だった2023年の4%と合わせて、直近3年間で12%超の融解となっていると発表した。...
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10月1日付
『ロイター通信』、
『BBCニュース』は、気候変動に伴ってアルプス氷河の融解が激しく進んだことから、同氷河の稜線に基づいて国境を決めていたスイスとイタリアが国境を引き直すことになったと報じている。
スイス科学アカデミー(1815年設立)傘下のスイス氷河モニタリングネットワーク(GLAMOS、スイス国内の20の氷河を数百地点で計測)は10月1日、今年の氷河融解が2.5%進み、最悪だった2022年の6%、次に深刻だった2023年の4%と合わせて、直近3年間で12%超の融解となっていると発表した。
今年の冬にアルプスに大雪が降ったものの、特に8月の平均気温が高く、積雪の多くが融けると同時に氷河の融解も促進してしまったという。
GLAMOSのマティアス・フス代表は、“今年は冬に大量の降雪があったことと、春に雨の多い涼しい気候が続いたため、氷河の融解が食い止められるかと期待したが、今夏の気温が異常に高かったため、融解が進んでしまった”と嘆いた。
そして、“ここ数年の事態が今後も続くとなると、スイスの氷河にとって大惨事となってしまう”と警鐘を鳴らした。
スイス政府は、標高の高いアルプス地方の気温は10年間で+0.3℃も上昇していて、これは世界平均の2倍以上となるとした上で、このまま温室効果ガスの排出量が増え続けると、アルプスの氷河は2100年までに80%も失われる恐れがあると予測している。
なお、氷河の融解が進んで、アルプス山脈で行方知れずとなった人たちの発見が相次いでいる。
・2014年、マッターホルン(標高4,478m)の山頂近くの氷河の先端で、1970年に遭難したとされる日本人2人の登山者(当時21歳と23歳)の遺骨と遺品を、また、1979年に行方不明となっていた英国人登山家ジョナサン・コンビル(当時27歳)の遺体を発見。
・2022年、アルプス山脈最大のアレッチ氷河で、1968年に墜落した飛行機の残骸を発見。
・2023年、マッターホルンで、1986年に行方不明になっていたドイツ人登山者(当時38歳)の遺体を発見。
一方、アルプス氷河の融解が進んでいることから、氷河の稜線や永久雪の領域によって国境を決めているスイスとイタリアは昨年5月、自然の境界が移動したとして国境の引き直しを行うことで両国の合同委員会で合意した。
スイスは9月27日、上記合意書草案に基づく国境の引き直しについて正式に承認したが、イタリアはまだ承認手続きに入っていない。
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英国眼科専門誌、世界の子供の3割余りが近視、中でも日本の近視率は世界1との研究論文掲載【欧米メディア】(2024/10/01)
直近の英国眼科専門誌に掲載された研究論文によると、世界の子供の3割以上が近視(中でも日本の近視率が86%で世界1位)となっていて、2050年には約4割に達する見込みだという。
9月25日付米
『CNNニュース』、英国
『BBCニュース』は、直近発行の英国眼科専門誌に掲載された、世界の子供の近視状況について詳報している。
9月24日に発行された英国眼科学会誌(BJO、1917年創刊)は、中国広東省中山大学(チュンシャン、1924年創立の国立大)の研究グループによる世界の子供たちの近視状況に関わる研究論文を掲載した。
それによると、世界の中で近視となった子供は2023年で36%と、1990年の24%から大幅に増えていて、このままいくと2050年には40%に達してしまうと推定されるとする。...
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9月25日付米
『CNNニュース』、英国
『BBCニュース』は、直近発行の英国眼科専門誌に掲載された、世界の子供の近視状況について詳報している。
9月24日に発行された英国眼科学会誌(BJO、1917年創刊)は、中国広東省中山大学(チュンシャン、1924年創立の国立大)の研究グループによる世界の子供たちの近視状況に関わる研究論文を掲載した。
それによると、世界の中で近視となった子供は2023年で36%と、1990年の24%から大幅に増えていて、このままいくと2050年には40%に達してしまうと推定されるとする。
当該研究グループが、6大陸の50ヵ国における540万人以上の子供と10代青年を対象に調査した結果、以下のことが判明したという。
・東アジアの子供たちの近視率は35%と、欧米諸国の15%、南米・アフリカの途上国の1%に比較して遥かに高率。
・特に、日本の子供の近視率は86%と世界1位で、それに次いで韓国が74%。
・また、シンガポール、中国、台湾でも近視率が急上昇。
・コロナ禍以降、行動自粛政策に遭って子供たちが屋内で生活する時間が増えてしまい、結果としてTV・ビデオ・インターネット等の視聴が急増したことによる視力低下。
・また、香港やシンガポール等、東アジアでは2歳頃から子女教育が始められることから、子供たちの目の筋肉に負担を与えて近視になる可能性が高い。
・一方、アフリカ等では子女教育開始は6~8歳頃からなので、東アジアに比べて近視率は7分の1。
以上のBJO掲載研究論文に関わり、マサチューセッツ公立大(1863年創立)傘下のチャン医科大(別称マサチューセッツ大ウースター校、1962年設立)のベンジャミン・ボッツフォード准教授も、今年6月発行の学術専門誌『ザ・カンバーセイション』(2011年豪州で創刊)に同様の研究レポートを寄稿している。
同准教授のレポート趣旨は以下のとおり。
・子供にとって、スマートフォンやPCの画面を何時間も凝視することにより、眼精疲労やドライアイを発症する恐れが高い。
・従って、「20-20-20ルール」(20分毎に20秒の休憩を取り、PC等から20フィート(約6メートル)離れること)適用を推奨。更に、目薬点眼でドライアイ症状緩和。
・また、屋外で過ごす時間を長くすることで、小児期の近視の発生率の低下が期待。
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