インド、再び世界最悪の大気汚染都市に認定【欧米メディア】
インドは、今春に中国を抜いて人口世界一となっただけでなく、国内総生産(GDP)も世界5位に躍進している。そしてこの程、世界主要都市の大気汚染モニタリングの結果、インドが経済成長と相俟って、今年も中国を抜いて世界最悪の大気汚染都市に認定されている。
11月3日付欧米
『ロイター通信』、英国
『BBCニュース』等は、インドが今年も世界最悪の大気汚染都市になっていると詳報している。
インドの首都ニューデリーは11月3日、街中がおびただしいスモッグに覆われ、大気質指数(AQI、注1後記)が“深刻”のカテゴリーとされたことから、行政府が一部の学校を閉鎖することとした。
スイスの大気質測定企業IQAir(注2後記)が公表したモニタリング結果によると、同市のAQIは“(人体にとって)危険”レベルの640と世界最悪となっていて、パキスタン北東端のラホール市(ニューデリーの約500キロメートル北西)が335で2位となっている。...
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11月3日付欧米
『ロイター通信』、英国
『BBCニュース』等は、インドが今年も世界最悪の大気汚染都市になっていると詳報している。
インドの首都ニューデリーは11月3日、街中がおびただしいスモッグに覆われ、大気質指数(AQI、注1後記)が“深刻”のカテゴリーとされたことから、行政府が一部の学校を閉鎖することとした。
スイスの大気質測定企業IQAir(注2後記)が公表したモニタリング結果によると、同市のAQIは“(人体にとって)危険”レベルの640と世界最悪となっていて、パキスタン北東端のラホール市(ニューデリーの約500キロメートル北西)が335で2位となっている。
デリー汚染管理委員会(1991年設立のデリー首都圏の独立機関)のアシュワニー・クマル委員長(71歳)は、“気温の低下、無風気象、及び農作物の収穫後の野焼き等の季節的要因が重なったものだ”とした上で、“今後2~3週間続く恐れがある”コメントした。
デリー首都圏近隣のパンジャブ州、ハリヤーナー州、ウッタル・プラデーシュ州の農家は、通常10月に収穫後、焼き畑を行って冬の作物の種まきを行っている。
かかる事態もあって、同市のいくつかの大気モニタリング基地で、AQI 480前後を記録しており、約2千万人の住民の多くが目の痛み、喉の炎症を訴えている。
AQIは0~50なら非常に良好であるが、400~500となると健康に有害となり、また基礎疾患がある人にとってはとても危険である。
地元の医師は、“直近24時間で、咳をする赤ちゃんや呼吸が苦しくなった子供を多く診察している”と語った。
また、電化製品販売会社の担当者は、多くの住民が空気清浄機を買い求めており、また、入れ替え用のフィルターの在庫が払底し、11月6日の入荷を待っているところだと述べている。
なお、今年はインドが開催国となるクリケットの第13回ワールドカップ(編注;サッカーWC、夏季オリンピックに続いて世界3番目の視聴率を誇る1975年開始の大スポーツイベント)が行われるが、開催地となるインド北西部のアフマダーバード、また、金融の中心地であるインド西端ムンバイでも大気汚染に見舞われている。
(注1)AQI:いくつかの国や地域で採用されている大気汚染の程度を示す指標。大気汚染モニタリングにより、空気中の粒子状物質や二酸化硫黄などの汚染物質の濃度を測定し、空気の汚染度を指数化したもの。環境を担当する行政機関が市民に対して発表する。
(注2)IQAir:スイスに本社を置く大気質関係の事業を行っている企業。1963年設立。大気汚染モニタリング機器、空気清浄機などの空調製品の製造販売や、委託を受けての施設内の空調設計などを実施。また各国の空気質測定データや自社製品による測定データをリアルタイムで統合し表示する大気汚染情報プラットフォームであるAirVisualの運営も行っている。
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ハマスのイスラエル攻撃による石油価格への影響
パレスチナ自治区ガザでイスラム武装組織ハマスが7日、イスラエルへの攻撃を開始、ここ数十年で最も激しい紛争となっている。中東での戦闘激化による供給不安から原油価格も上昇した。
10月9日付英
『BBC』:「ハマスのイスラエル攻撃で石油価格上昇」:
イスラエルとガザ地区の状況悪化で、中東での産出中断への懸念から石油価格が急騰。国際的指標となる原油先物価格は、1バレルあたり2.25ドル上昇し、86.83ドルとなった。
ハマスのイスラエル攻撃はここ数十年のうち最も激しい紛争を引き起こしている。西側諸国はこの攻撃を批判。パレスチナ武装組織ハマスのスポークスマンは、最大産油国であるイランの支持を受けているとしたが、イランは8日国連安全保障会議の場で関与を否定。...
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10月9日付英
『BBC』:「ハマスのイスラエル攻撃で石油価格上昇」:
イスラエルとガザ地区の状況悪化で、中東での産出中断への懸念から石油価格が急騰。国際的指標となる原油先物価格は、1バレルあたり2.25ドル上昇し、86.83ドルとなった。
ハマスのイスラエル攻撃はここ数十年のうち最も激しい紛争を引き起こしている。西側諸国はこの攻撃を批判。パレスチナ武装組織ハマスのスポークスマンは、最大産油国であるイランの支持を受けているとしたが、イランは8日国連安全保障会議の場で関与を否定。イブラヒム・ライシ大統領はハマスの攻撃への支持を表明している。
9日イスラエルは米国の石油大手シェブロンに対し、ガザ地区からは砲撃の射程内に位置するイラン北部沿岸のガス田タマルでの生産停止を指示した。イスラエルのエネルギー相は、国内の需要を十分満たす供給があるとする一方、イスラエル最大の沿岸ガス田リヴァイアサンは通常通り稼働を継続するという。
イスラエルやパレスチナ自治区は石油産出地域ではないが、中東が世界のほぼ3分の1を担っている。専門家は、イランやサウジアラビア等の近隣の産油国に紛争の影響が拡大するとの懸念から、石油価格が上昇したとみている。2022年2月のロシアのウクライナ侵攻後は石油価格が上昇し、昨年6月には1バレルあたり120ドル台を更新した。
今後事態はどのような展開になるのか不透明なため、クライシスの際に投資家が購入する財務省長期債券やドルへの投資が増えるとみられている。イスラエルの中央銀行は9日、為替安定維持のため300億ドルの外貨を売却すると発表。
主要産油国のサウジアラビアは7月、1日あたり100万バレルの減産を発表。他のOPECプラス加盟国も減産継続に合意した。OPECプラスは世界の原油の40%を占めており、その決定は石油価格に大きな影響を与える。
同日付米『CNBC』:「イスラエル・ハマス紛争で石油価格上昇」
先週イスラム武装組織ハマスがガザ地区でイスラエルへの奇襲をかけたことから、石油価格が3%以上上昇した。
しかし専門家によると、ガザやイスラエルは石油の産出量がそれほど多くないため、紛争への第三者の介入がない限りは、全体的な石油市場や天然ガスの価格への影響は限られたものになるとみられている。
一方のロシアは石油や天然ガス輸出の中心に位置している。ただしイランは不確定要素であり、イスラエルの攻撃ではハマスを称賛し支持する姿勢をみせたが、関与は否定している。
気温が下がる時期のため、石油価格は上昇する傾向にあり、今後数ヶ月は紛争悪化の場合に備え状況を見守る必要がある。
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