金正恩総書記;実妹に対米、対韓強硬発言を任せ、自身は唯一の目玉開発事業である大規模住宅建設を喧伝【欧米・韓国メディア】(2021/04/01)
金正恩総書記(キム・ジョンウン、37歳)の実妹である金与正宣伝扇動部副部長(キム・ヨジョン、32歳)は、肩書きよろしく、米国や韓国を激しく罵倒するコメントを発表して勢いが凄まじい。一方、同総書記は余り表舞台に出ていないが、久し振りに登場したのは、新型コロナウィルス(COVID-19)感染問題で経済不況に喘いでほとんどの目玉開発事業が停滞する中、唯一進捗している大規模住宅建設事業現場を視察した場面である。経済失政が指摘される中、それを糊塗するためのパフォーマンスとみられる。
4月1日付
『ロイター通信』:「北朝鮮の金総書記、大規模住宅建設事業の促進の必要性をアピール」
北朝鮮国営メディア『朝鮮中央通信』は4月1日、金正恩総書記が先週に続いて、平壌(ピョンヤン)で自身が進める計5万戸の大規模住宅建設現場を再訪し、住宅開発の促進の必要性を訴えたと報じた。
今回の報道の1週間前には、1年振りに弾道ミサイル2発を日本海に向けて発射し、核兵器開発の促進及び米新政権に対する圧力を強化しようとしたとみられている。...
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4月1日付
『ロイター通信』:「北朝鮮の金総書記、大規模住宅建設事業の促進の必要性をアピール」
北朝鮮国営メディア『朝鮮中央通信』は4月1日、金正恩総書記が先週に続いて、平壌(ピョンヤン)で自身が進める計5万戸の大規模住宅建設現場を再訪し、住宅開発の促進の必要性を訴えたと報じた。
今回の報道の1週間前には、1年振りに弾道ミサイル2発を日本海に向けて発射し、核兵器開発の促進及び米新政権に対する圧力を強化しようとしたとみられている。
同メディアによれば、同総書記は、“建設工程は必ず工程毎に厳しく管理し、建設資材もあらゆる方法で倹約し、また、事故発生をゼロに抑え、その上で卓越した建設ノウハウを蓄積していく必要がある”と強調したという。
同総書記は今年1月、新たな国家経済発展5ヵ年計画を発表したが、北朝鮮の核・弾道ミサイル開発に伴う国連制裁に遭っていて、同計画の進展は困難に直面している。
国連の報告では、北朝鮮がCOVID-19感染抑え込みのため徹底的な政策を講じているが、反って人権侵害や職権乱用を更に悪化させ、結果として市民の困窮や餓死まで誘発しているという。
北朝鮮当局は、依然国内にCOVID-19感染者は皆無だと主張している。
しかし、専門家は、中国やロシアと国境を接している北朝鮮にCOVID-19感染者がいないというのは全く信用できないとしている。
同日付『聯合(ヨナプ)ニュース』:「北朝鮮指導者、住宅建設事業現場を1週間で2度訪問」
北朝鮮国営『朝鮮中央通信』報道によると、金正恩総書記は4月1日、平壌市内で建設中の大規模住宅事業現場を再度視察したという。
これは、3月25日に続く1週間で2度目の視察で、最初の訪問時には、約1年振りに行われた弾道ミサイル発射実験に立ち会うことを止めてのものであった。
同報道では、同総書記が“800戸の集合住宅”建設現場を訪れて、関係者に大規模住宅建設事業の促進の必要性を訴えたという。
同総書記は、今年初めに発表した新5ヵ年計画の中で、平壌市内に2025年までに5万戸の集合住宅を建設することに加えて、国内全土にわたって住宅建設を急ぎ、市民生活の向上につなげる必要があると強調している。
国営メディアによると、これら集合住宅は、発明家、科学者、教育家、作家等優秀な市民への“贈り物”として進呈されるという。
なお、専門家は、同総書記が弾道ミサイル発射実験に立ち会わず、住宅建設現場を視察したことは、自身が示した新5ヵ年計画の進捗に困難が見え始めていることから、何としてでも経済回復に重点的に取り組んでいくことを強調したいがためのパフォーマンスとみている。
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北朝鮮;米政権に「騒ぎを起こすな」と警告(2021/03/16)
北朝鮮の金正恩総書記の妹、金与正氏は、米高官のアジア訪問前の声明で、現在行われている米韓軍事演習を批判し、米政権に対し、平和を望むなら「騒ぎをおこすな」等と警告している。
3月16日付
『ロイター通信』は「北朝鮮国営通信;平和を望むならば騒ぎを避けるべきと米新政権に警告」との見出しで以下のように報道している。
金与正氏が米高官と防衛長官の訪韓前日の声明で、現在行われている韓国の軍事演習を批判し、米政権へは平和を望むなら「騒ぎをおこすな」と警告している。朝鮮中央通信(KCNA)で同氏は、「我が国を挑発する米政権にこの機会に警告する。今後4年静かに眠りたいなら、最初から騒ぎを起こさないほうが良い」とした。...
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3月16日付
『ロイター通信』は「北朝鮮国営通信;平和を望むならば騒ぎを避けるべきと米新政権に警告」との見出しで以下のように報道している。
金与正氏が米高官と防衛長官の訪韓前日の声明で、現在行われている韓国の軍事演習を批判し、米政権へは平和を望むなら「騒ぎをおこすな」と警告している。朝鮮中央通信(KCNA)で同氏は、「我が国を挑発する米政権にこの機会に警告する。今後4年静かに眠りたいなら、最初から騒ぎを起こさないほうが良い」とした。
ブリンケン米国務長官とオースティン国防長官が、外交政策や安全保障問題を協議するため、1週間の日程でアジアを訪問する。キングスカレッジの韓国研究家は、この声明のタイミングからは、これまで中国と北朝鮮政策を焦点としてきた協議の重要課題が北朝鮮であることが伺えると指摘している。北朝鮮分析サイト「38ノース」は声明が「過去の発言と行動との違いに対するいら立ちを露わにするものだった」としている。
北朝鮮は米国からの対話の申し入れを拒絶してきた。トランプ元大統領の時からの関係悪化はバイデン政権でも継続中である。米韓は先週、合同軍事演習を開始。演習は北との関係考慮や、コロナのリスクを回避する形でシミュレーションによるものとなった。
金氏は、「戦争演習と敵対心からは、決して対話と協力は生まれない」とし、韓国を「戦争ゲームに頼り、泥沼の政治経済的、疫病の危機に瀕している」と批判。2018年の南北合意について、「戻るのは難しい」とし、今後の挑発を注視するとしている。また、南北国境の緊張緩和のための合意書の破棄や、韓国との協力を目的とした団体の解体する可能性も示している。
3月15日付米国『FOX』は「北朝鮮が沈黙を破り米国に騒ぎを起こすなと警告」との見出しで以下のように報道している。
金正恩氏の妹、金与正氏が月曜、ホワイトハウスが北朝鮮からの反応がないとした後、バイデン政権に最初から騒ぎを起こすべきでないと警告した。15日、サキ報道官は、「北朝鮮に様々なチャンネルを通じ接触を試みた。外交が常に我々の目的だ。緊張緩和を目的とする。だが反応が得られていない」等とした。だが、金与正氏の声明前には、バイデンチームの北朝鮮関係筋からは、コロナ禍など多くの理由から、しばらくの期間、北からの反応は見込めないだろうとみられていた。
バイデン政権は、トランプ元政権の北朝鮮政策を精査しており、今後数週間以内に発表するとしている。バイデン氏はトランプ氏のように金正恩氏へ「ラブレター」は書かないようで、アプローチの明確な方針は示していないが、複数の声明や文書からは、米政府の目標は、完全な北朝鮮の非核化だとされている。元高官からは、北朝鮮が米国との対話に応じない要因には、政権側が北朝鮮の関税を撤廃しない意向だと察したためだとと指摘されている。
北朝鮮は日韓訪問で今週会談するブリンケン氏、オースティン氏と日韓との会談、アラスカでのブリンケン氏、ジェイク・サリバン国家安保補佐官と中国外交担当トップと会談を注視しているはずだ。特に韓国について北朝鮮は会談内容を考慮に入れるものとみられている。
新政権への警告にもかかわらず、北朝鮮は以前のように、新大統領就任を歓迎したミサイル試射は行っていない。
日韓訪問、軍事演習、そして4月のバイデン大統領と菅総理の会談も北朝鮮からの挑発につながる可能性がある。
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