映画「バービー」、フィリピンは描写地図は中国主張の領有権問題とは無関係として上映許可【米・フィリピンメディア】(2023/07/14)
7月5日付GLOBALi「
映画「バービー」、ベトナムのみならず米共和党重鎮も中国プロパガンダ支持の作品と猛批判」で報じたとおり、同映画内で映し出された地図が、中国が一方的に南シナ海における領有権を主張する「九段線」を描写したものだとして、ベトナムが上映禁止したばかりか、米共和党重鎮も中国プロパガンダを容認するものだと猛批判している。ところが、ベトナム同様中国との領有権問題を抱えるフィリピンはこの程、当該地図は中国の領有権主張問題とは無関係だとして同映画の上映を許可した。
7月13日付米
『ブライトバート』オンラインニュース、7月11日付フィリピン
『CNNフィリピン』、7月12日付
『ザ・フィリピン・スター』紙等は、フィリピンがこの程、中国主張の領有権問題を支持する映画だとして物議を醸していた実写版
『バービー』について、問題はないとして上映を許可したと報じている。
「フィリピン映画テレビ審査・格付委員会」(MTRCB、注後記)は7月12日、物議を醸している実写版映画『バービー』の上映を許可すると発表した。...
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7月13日付米
『ブライトバート』オンラインニュース、7月11日付フィリピン
『CNNフィリピン』、7月12日付
『ザ・フィリピン・スター』紙等は、フィリピンがこの程、中国主張の領有権問題を支持する映画だとして物議を醸していた実写版
『バービー』について、問題はないとして上映を許可したと報じている。
「フィリピン映画テレビ審査・格付委員会」(MTRCB、注後記)は7月12日、物議を醸している実写版映画『バービー』の上映を許可すると発表した。
但し、同映画の中で使用されている、中国が南シナ海で領有権と主張する“九段線”を模した“漫画的”に表現された地図をぼやかすことが条件だとした。
フィリピンは、中国との間で同海域における領有権問題を抱えているが、中国と同様に対峙しているベトナムは今月初め、当該地図が映像として使われていることを理由に上映を禁止している。
ただ、このときにフィリピン政府は、同映画を精査した上で決定するとしていたが、何人かの議員は、中国主張の領有権を模した地図が使用されるなら、上映は禁止すべきだとコメントしていた。
一方、同映画配給会社ワーナー・ブラザース(1923年設立)は、映画の中で使われているのは“主人公バービーが、夢の国のバービーランドから「現実世界」まで旅するルートを線で描写したものだ”とし、“偶々中国の九段線に似通っただけだ”と強調している。
そして、MTRCB自身も、同映画上映に最も反対を表明しているフランシス・トレンティーノ上院議員(63歳、2019年初当選)に宛てた書簡の中で、“同映画に映し出されている漫画的な地図は、「九段線」を表したものではなく、主人公が旅するルートを描写したに過ぎない”とした上で、“今回の結論に至るまでに、あらゆる角度から検討しているし、これまでも架空の産物である「九段線」が描写された作品に制裁を科すことを躊躇ったことはないので、この決定が揺らぐことはない”と説明している。
ただ、MTRCBは同書簡の中で、“無用な誤解を生じさせないよう、映像に使われている地図をぼかすようにワーナー・ブラザースに伝えている”とも言及した。
これに対して、同上院議員は7月12日の記者会見で、“MTRCBの決定を尊重する”と表明する一方、“中国の度重なるフィリピン領海侵入に断固として反対していく”とも強調している。
(注)MTRCB:「1985年大統領布告第1986号」により設置された大統領府の直属機関で、映画及びテレビ番組の内容の審査、分類を実施。
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映画『バービー』、ベトナムのみならず米共和党重鎮も中国プロパガンダ支持の作品と猛批判【米・英国メディア】(2023/07/05)
実写版映画「バービー」が、中国主張の南シナ海領有権を示す「九段線」を描写した地図を使っていることを理由にベトナムで上映が禁止された。そして今度は米共和党重鎮の上院議員が、中国のプロパガンダを容認するものだとして猛批判している。
7月4日付米
『ニューヨーク・ポスト』紙、英国
『デイリィ・メール』紙等は、米共和党重鎮の上院議員が、中国主張の「九段線」を示す地図を映像に使っていることから、実写映画「バービー」は中国プロパガンダを支持する作品だと猛批判していると報じた。
米共和党重鎮のテッド・クルーズ上院議員(52歳、テキサス州選出、2013年初当選)は7月3日、7月21日から全米で上映される実写版映画「バービー」について、中国共産党のプロパガンダを反映させた映像を流すものだとして猛批判した。...
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7月4日付米
『ニューヨーク・ポスト』紙、英国
『デイリィ・メール』紙等は、米共和党重鎮の上院議員が、中国主張の「九段線」を示す地図を映像に使っていることから、実写映画「バービー」は中国プロパガンダを支持する作品だと猛批判していると報じた。
米共和党重鎮のテッド・クルーズ上院議員(52歳、テキサス州選出、2013年初当選)は7月3日、7月21日から全米で上映される実写版映画「バービー」について、中国共産党のプロパガンダを反映させた映像を流すものだとして猛批判した。
同映画では、中国が南シナ海において一方的に自国領海と主張する「九段線」が描写された地図が映像として使われている。
上記主張は2016年、同じく自国領海だと主張するフィリピンの提訴を受けた常設仲裁裁判所(PCA、1901年設立、所在地オランダ・ハーグ)によって否定されたが、中国側はこの裁定を一切受け入れていない。
かかる背景もあって、同海域の西沙諸島(パラセル)及び南沙諸島(スプラトリー)の領有権で中国と対立しているベトナムがこの程、同映画の上映を禁止すると発表した。
同上院議員は、“この映画は中国制作としか思えない”と、親中国の映画だとの批判の声を更に強調するツイートをした。
同上院議員事務所は、“中国は米国の見聞や思想をコントロールすべく、規模の大きい米国映画業界において、今回の映画「バービー」を利用して中国のプロパガンダを喧伝しようとしている”との同上院議員コメントを出している。
同上院議員は昨年、ハリウッド映画制作会社が中国の検閲を受け入れた場合、当該会社への連邦政府の援助や協力が打ち切られることになる法案を提出し、立法化されている。
豪州国立大学(1946年設立)国際法専門のドナルド・ロズウェル教授は、豪州NPOウェブサイト『ザ・カンバーセイション』に投稿して、“中国は南シナ海の石油・天然ガス等の資源を確保するため、自国の主権内と一方的に主張してベトナムやその他の国の漁船等を追い出し、また、当該主権を示す”九段線“の地図を事ある毎に示して既成事実化しようとしている”と批判した。
更に同教授は、“利用できるものはハリウッド映画も同様で、今回の映画の中でも「九段線」の正統性を知らしめようとしている”と言及している。
ベトナムは2022年も、米アクションアドベンチャー映画「アンチャーテッド」を同様の理由で上映禁止としている。
なお、フィリピンのウェブサイト『エスクァイア・フィリピン』によると、中国では、バービー人形そのものは十年以上前に廃れてしまっているが、未だに世界で販売されている当該人形の多くの製作を担っているという。
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