映画「バービー」、中東では”同性愛”問題で物議【米・中東メディア】(2023/08/10)
実写版映画「バービー」は、既報どおり、中国の領土問題主張を容認しているとの非難から、ベトナムでは上映禁止、また、米共和党重鎮も厳しく糾弾している。そうした中、中東のイスラム圏では、イスラム教が禁ずる“同性愛”を推奨していると問題視され、物議を醸している。
8月9日付米
『ニューヨーク・ポスト』紙、
『ザ・ラップ』興行ニュース紙、中東
『アルジャジーラ』TVニュース等は、実写版映画「バービー」が、中東ではイスラム教の教えに反する“同性愛”を後押ししているとして上映禁止等の措置に遭っていると報じた。
実写版映画「バービー」は、7月下旬に世界上映が開始される前から物議を醸していた。
最も強く非難したのはベトナムであり、米共和党重鎮らである。...
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8月9日付米
『ニューヨーク・ポスト』紙、
『ザ・ラップ』興行ニュース紙、中東
『アルジャジーラ』TVニュース等は、実写版映画「バービー」が、中東ではイスラム教の教えに反する“同性愛”を後押ししているとして上映禁止等の措置に遭っていると報じた。
実写版映画「バービー」は、7月下旬に世界上映が開始される前から物議を醸していた。
最も強く非難したのはベトナムであり、米共和党重鎮らである。
彼らは、同映画に描写された地図が、中国が南シナ海で一方的に領有権を主張している“九段線”を模しているとして、前者は上映を禁止し、後者は中国プロパガンダを支持するものだと非難した。
ところが、上映開始以来、米国を含めた多くの国々では多くの鑑賞者を引き付けていて、総額10億ドル(約1,440億円)と他の映画を引き離して1位の興行成績を上げている。
そうした中、今度はイスラム圏の中東で同映画の上映につき、非難の声が上がっている。
まずクウェートでは、“国民の倫理観と社会的伝統”を守るためとして上映禁止されることになった。
ラフィ・アル=スバイエ映画検閲委員会委員長は8月9日、地元メディア『KUNA(クウェートニュース通信)』のインタビューに答えて、“同映画が我が国で受け入れられない行動を容認し、かつ、社会的価値を歪める恐れがある”として非難している。
またレバノンでは、モハンマド・モルタダ文化相が同日、“同映画は同性愛及び性転換を後押しし、かつ、信仰や道徳に相反しているので、家族という重要な価値を棄損するものだ”と糾弾するコメントを発表した。
同相のコメントを受けて、バッサム・マウラウィ内務相は即日、上映許可の是非を判断するため同国検閲委員会に同映画の検証を行うよう指示している。
一方、同映画の主演で製作総指揮も司った豪州人女優のマーゴット・ロビー氏(33歳)は、“この映画は誰でも歓迎するバービーランドを描いたもの”だとし、“主演のバービーも助演のケンも、決して同性愛者を表現するものではない”と反論している。
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元ホワイトハウス報道官、映画「バービー」関連の中国領有権問題よりもっと重要な案件に向き合えと共和党議員批判【米メディア】(2023/07/18)
7月5日付GLOBALi「
映画「バービー」、ベトナムのみならず米共和党重鎮も中国プロパガンダ支持の作品と猛批判」で報じたとおり、米共和党重鎮の上院議員が、実写版映画「バービー」で中国主張の南シナ海領有権を示す「九段線」を表す地図が使われているとして猛批判した。しかし、元ホワイトハウス報道官のTVニュースキャスターは、米海兵隊(1798年創設)のトップが未承認のまま放置という問題を取り上げ、事の優先順位が間違っていると非難している。
7月17日付
『ハフポスト』紙は、元ホワイトハウス報道官のTVニュースキャスターが、共和党上院議員が重要課題を放置して、実写版映画に使用された漫画表示の地図が中国プロパガンダを支持するもの等、的外れな問題に拘泥していると非難したと報じている。
元ホワイトハウス報道官で、現在『MSNBC』のニュースキャスターを務めるジェン・サキ氏(44歳、2021~2022年在任)は7月16日、テッド・クルーズ共和党上院議員(52歳、テキサス州選出、2013年初当選)に対して、実写版映画「バービー」に噛みつくよりも、不当な理由で米軍上層部の任命に抵抗しているトミー・テュバービル共和党上院議員(68歳、アラバマ州選出、2021年初当選)を叱責するよう表明した。...
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7月17日付
『ハフポスト』紙は、元ホワイトハウス報道官のTVニュースキャスターが、共和党上院議員が重要課題を放置して、実写版映画に使用された漫画表示の地図が中国プロパガンダを支持するもの等、的外れな問題に拘泥していると非難したと報じている。
元ホワイトハウス報道官で、現在『MSNBC』のニュースキャスターを務めるジェン・サキ氏(44歳、2021~2022年在任)は7月16日、テッド・クルーズ共和党上院議員(52歳、テキサス州選出、2013年初当選)に対して、実写版映画「バービー」に噛みつくよりも、不当な理由で米軍上層部の任命に抵抗しているトミー・テュバービル共和党上院議員(68歳、アラバマ州選出、2021年初当選)を叱責するよう表明した。
米上院では現在、海兵隊トップの任命承認手続きが保留されている。
テュバービル議員らは、(共和党が人工妊娠中絶反対の立場を表明していることから)海兵隊が所属隊員に対して、人工妊娠中絶が許される州で処置を受けるための旅費を補填するとしていることに反対して、上記手続き移行を差し止めている。
そこで、サキ氏は報道番組上で、“共和党上院議員らは、映画「バービー」に使用されている漫画の地図が中国の南シナ海領有権を示すものだと、深刻に捉えている”とし、“海兵隊の海外拠点トップが空席のまま放置されている問題に比べて、この映画の地図描写問題がどれ程重要なことなのか全く理解できない”と痛烈に批判した。
なお、同映画配給会社ワーナー・ブラザース(1923年設立)広報担当は『MSNBC』の報道番組「バラエティー」に投稿して、“当該地図は何ら意図的に描写されたものではない”とし、“クレヨンで描かれた漫画タッチの落書き地図は、主人公が空想のバービーランドから「現実世界」へ旅するルートを示したものに過ぎない”と強調している。
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