トランプ氏息子のロシア弁護士との面会
トランプ米大統領の長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏が、昨年の米大統領選中にロシア人弁護士と会合していたとされる問題で面会仲介者とのメールを公開した。メールには、仲介人からロシアの弁護士が”ロシア政府によるトランプ候補支援の一環”として、”クリントン民主党候補に不利な情報”を提供するとあったという。サンダース報道官によると、トランプ大統領はメールを公表した息子の透明性を高く評価しているという。民主党議員らからは、「メールは氷山の一角」、「外国政府が陣営に近づき“支援したい”等というのは許されない」、「陣営が米国民主主義転覆をたくらむ敵対国の権力と結託したのは決定的」とし、政権のポストにないジュニア氏の当件がロシア結託といえるのか今後の調査が注目されている。政権の経済政策への新たな悪影響への懸念から金融市場にも影響し、株価とドルが下落し米国債相場は上昇した。
7月11日付
『ロイター通信』は「トランプ・ジュニアのメールはロシアがクリントン不利になるよう加担した事を示す」との見出しで以下のように報道している。
「ジュニア氏本人が火曜に公表したメールから、昨年トランプ・ジュニア氏にロシア政府関係者の弁護士(ナタリア・ヴェゼルニツカヤ)と会うよう勧めた人物(ロブ・ゴールドストン)から、トランプ候補へのロシア政府からの支援の一環でヒラリー・クリントン民主党候補に不利となる情報提供すると聞かされていたことが公開されたメールの内容から分かった。...
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7月11日付
『ロイター通信』は「トランプ・ジュニアのメールはロシアがクリントン不利になるよう加担した事を示す」との見出しで以下のように報道している。
「ジュニア氏本人が火曜に公表したメールから、昨年トランプ・ジュニア氏にロシア政府関係者の弁護士(ナタリア・ヴェゼルニツカヤ)と会うよう勧めた人物(ロブ・ゴールドストン)から、トランプ候補へのロシア政府からの支援の一環でヒラリー・クリントン民主党候補に不利となる情報提供すると聞かされていたことが公開されたメールの内容から分かった。ジュニア氏はニューヨークタイムズ紙が報道が過熱する前にツイートで公表した。これはトランプ陣営がロシアからの選挙支援を歓迎した確かな証拠になる。
メールによると、当時トランプ陣営選対本部長だったポール・マナフォート氏とトランプ氏の義理の息子ジャレッド・クシュナー氏も弁護士ナタリア・ヴェゼルニツカヤとの面会に同席する予定だったとみられる。同弁護士はロシア政府との関係を否定しているという。
ジュニア氏は面会では、クリントン氏に不利となる情報提供はされず、ロシアへの制裁に関する話をしたと言っている。FOXニュースのインタービューでは、「思い出してみると、少し違うことをしたかも知れない。対立候補のリサーチだった」とも述べている。ジュニア氏は面会について「言うべき事は何もなかった」ため父には言っていないと述べている。
ジュニア氏は政権で正式なポジションはなく、メールが違法行為にあたるかは分からないが、専門家によると、調査により(民主党へのサイバー攻撃や選挙費用で)犯罪行為ほう助にあたると判断されると一気に調査対象となるという。
上院情報委員会はジュニア氏にメールに関した証言を要請する意向であり、下院情報委員会は面会に関係した人物すべてに公聴を行いたいとしている。また、ムラー特別検察官も面会の調査を進めるとしている。
ホワイトハウスのサンダース報道官は記者に対し、大統領はメールを公開したジュニア氏の透明性を賞賛しているとした。
ロシアとの接触はないと主張していたペンス副大統領は取材に対し、「副大統領候補に成る前の面会については気付かなかった」と答えている。
当時トランプ氏を激しく批判していたグラハム上院共和党議員は、「これは大きな問題。外国政府が陣営に近づき“支援したい”等というのは許されない」としている。
このニュースは金融市場にも影響を与えた。政権の経済政策への新たな悪影響を懸念し株価とドルが下落したが一方米国債相場は上昇した。その後、マコーネル上院幹部が医療改革保険法案の調整審議延長を発表すると株価は大幅に回復を見せた。」
同日付米国
『FOXニュース』は「トランプ・ジュニアがシーン・ハンニティに“思い出してみると、少し違う事をしたかもしれない”と発言」との見出しで次の様に報道している。
「“ハンニティ”の特別インタビューでジュニア氏は、昨年6月の大統領選挙中ロシアの弁護士と面会した際、“思い出してみると、少し違う事をしたかもしれない”と発言。だが「何ということはない」面会で、「無駄な20分間、この件が注目されるまで思い出せなかった」とした。ジュニア氏が面会の仲介者ロブ・ゴールドストンとのメールを公表してから最初のインタビューとなった。
ゴールドストン氏は面会に関しジュニア氏にメールで、「ロシア政府からトランプ氏への支援」の一環として「ヒラリー(クリントン候補)の犯罪を裏付ける公的文書や情報」の提供があると伝えていた。これにジュニア氏は「本当ならそれは素晴らしい」と反応していたという。
ワイデン民主上院議員は、「これらのメールにより、陣営が米国民主主義転覆をたくらむ敵対国の権力と結託したのは決定的」とした。また、マコーネル上院幹部は、上院情報委員会の調査は「事の真相にたどり着く」とコメント、同委員会のメンバーであるコリン上院議員も「メールは氷山の一部」とした。」
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トランプ氏がメキシコの富豪と会食
ドナルド・トランプ次期大統領は、週末にメキシコの富豪カルロス・スリム氏をトランプ氏所有のリゾートに招き、夕食を共にしたという。この会食はトランプ氏側がメキシコに出向くなどの交渉で実現し、両者の会談はなごやかなものだったという。その資産がGDPの一部門となるほどの資産家であるスリム氏のメキシコへの影響は多大で、トランプ氏も一目置いていた。しかし、トランプ氏の選挙出馬序盤から、トランプ氏によるメキシコ不法移民が「犯罪者や強姦者」だとする発言等からメキシコとの緊張が走り、スリム氏はトランプ氏のNAFTA解体案を批判。(トランプ氏によると)NAFTAの恩恵を受けたメキシコの富豪スリム氏は裏で糸を操っていてメディアを独占し、民主党ヒラリークリントン側を支援する世界的陰謀の中心人物だと批判していた。スリム氏所有のTV局が、トランプ氏の企業と進行中だったプロジェクトを中止したこともある。
トランプ氏当選後は歩み寄った発言が多くなり、メキシコ政府は米国次期政権発足を前に、米国在住移民支援や貿易対策を打ち出すもの、次期政権の出方が分からずスリム氏が外交に乗り出したとの見方もある。
12月20日付米国
『CNN』は「トランプを以前非難した「素晴らしい男」カルロス・スリムと会談」との見出しで次のように報道している。
トランプ氏が当選前には反トランプだった南米の大物富豪カルロス・スリムと接近。2人は夕食を共にし、その様子をスリム氏の義理の息子は「とても打ち解けていた」とツイートすると、トランプ氏も「素晴らしい男」だとツイートで報いた。
トランプ氏は2ヶ月前の10月の声明では、トランプ氏が度々対立した「ニューヨークタイムズ」(スリム氏が最大株主)で、スリム氏がメディアを独占していると批判、また、「ニューヨークタイムズ紙はNAFTAの恩恵を受けているメキシコの富豪カルロス・スリム氏が裏で糸を操っていて、ヒラリークリントンの国境開放政策を支援している。...
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12月20日付米国
『CNN』は「トランプを以前非難した「素晴らしい男」カルロス・スリムと会談」との見出しで次のように報道している。
トランプ氏が当選前には反トランプだった南米の大物富豪カルロス・スリムと接近。2人は夕食を共にし、その様子をスリム氏の義理の息子は「とても打ち解けていた」とツイートすると、トランプ氏も「素晴らしい男」だとツイートで報いた。
トランプ氏は2ヶ月前の10月の声明では、トランプ氏が度々対立した「ニューヨークタイムズ」(スリム氏が最大株主)で、スリム氏がメディアを独占していると批判、また、「ニューヨークタイムズ紙はNAFTAの恩恵を受けているメキシコの富豪カルロス・スリム氏が裏で糸を操っていて、ヒラリークリントンの国境開放政策を支援している。」と述べていた。
同日付英国
『ガーディアン』は「トランプとメキシコ一の富豪がマララーゴ・リゾートで和やかに会談」との見出しで次のように報道している。
カルロス・スリム氏とトランプ氏は因縁の間柄で、スリム氏は、トランプ氏が人種差別主義者だとしてTV契約を破棄したこともあり、トランプ氏は、同氏を落選させようとメディアの陰謀を陰で操る男とスリム氏を表現したが、かつての対立は封印され、先の週末にはトランプ氏所有のフロリダマラ・ラーゴリゾートで両者は食事を共にした。食事や会談の内容は未公開だが、トランプ氏は「素晴らしい男と素晴らしいディナー」と声明。
トランプ氏の元選挙顧問コーリー・レヴァンドフスキがメキシコへ出向き、貿易や経済を話し合う会談を取り持ったとも報道されている。この会談のニュースはメキシコ人を「強姦者」と呼び、壁を建設すると主張、トランプ氏は南米とのビジネスで苦い経験があることからも、驚きを持って受け止められている。トランプ氏はメキシコ人との関係があまり良くなく、知人のメキシコ人はスリム氏のように嫌いな人ばかりであったという。
レバノン移民の息子であるスリム氏は、メキシコへのいち早い投資で資産を増やし、総資産ではトランプ氏をも上回る。1990年代メキシコ通信「テルメックス」のCEOとなり、一大企業に成長させた。スリム氏側からは、今回の会談についての声明はないが、トランプ氏当選後の口調は柔らかで、ビジネスフォーラムでは「米国が4%の成長で、インフラ投資と減税が進めば好ましい」と発言しており、メキシコ政府が対応不十分だとして、自ら外交に乗り出した模様。
メキシコ・ペソはトランプ氏の出馬表明や来年の景気予測発表から暴落、政府と中央銀行はトランプ政権への施策をほのめかすものの、殆どは未公表である。メキシコでの大半の見方は、政権発足前にでもトランプ氏はメキシコに柔和な態度を示し、政権につけば選挙中の考えを改めるだろうとの期待がある。
12月19日付米国
『ワシントンポスト』は「メキシコが関係改善を求める中、トランプがカルロス・スリムと会談」との見出しで次のように報道している。
トランプ側の使者がメキシコに渡航するなど数週間に渡る水面下で交渉をへて、平和的動きが実現した。今月9日にトランプとのパイプはあるが、正式スタッフではない元選挙顧問でコーリー・レヴァンドフスキがメキシコシティを訪問し、会談をアレンジした。関係者によると、両者の食事は事細かな政策会談よりは、リラックスして話せる雰囲気となったという。
メキシコのビジネス界では、トランプがラテンアメリカ全体に影響するNAFTAについて再考し、移民や経済政策でも軟化するのではとの期待があるという。しかし、同氏から移民政策や貿易政策変更についての声明はまだない。少しでも軟化の態度を示せば、トランプ氏の熱狂的支持者の怒りを買う恐れがある。食事会の2時間前、「当選お礼ツアー」でアラバマ州モビールで演説した際、聴衆は「壁を作れ!」と叫び、トランプ氏は「もちろん壁は作るので心配無用。」と強調していたという。
スリム氏は、トランプの関税政策は米国経済を「破壊する」と述べるなど、選挙中から対立が続いた。トランプ側は、民主党候補のクリントン氏を支持するスリム氏を、世界的陰謀の中心人物と批判。スリム氏所有のTV局が、トランプ氏の企業と進行中だったプロジェクトを中止したこともある。トランプ氏は様々な問題の裏でスリム氏が糸を引いていると信じていたが、これを土曜のディナーで解消したかったのだと、匿名のトランプ氏の友人はいう。
予想外のトランプ氏当選でスリム氏側も譲歩、最近では、「米国経済と雇用改善が実現したら、メキシコにとっても良いことだ」等と、トランプ政権に前向きなコメントをしていた。
メキシコ政府はNAFTA存続への努力は見られるが、トランプ政権の出方が分からない上まだ交渉の舞台もない。トランプ氏の当選はメキシコにとって正念場となったが、メキシコ政府は米国とメキシコ間の関係について「思慮深く楽天的」観測を持っているという。先週、在米大使は、「米次期政権と共通の見地を見出すよう努める」とした。
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