米、英が要人を標的としたロシアのサイバー攻撃を批判(2023/12/08)
英国と米国は、政治幹部やジャーナリスト、非政府組織(NGO)等へ度重なるサイバー攻撃を行っていたとしてロシアの情報機関を批判している。
12月7日付仏
『フランス24』(AFP通信):「英、米、要人へのロシアのサイバー攻撃活動を批判」
英国政府と米国は7日、政治幹部、ジャーナリスト、非政府組織(NGO)等への度重なるサイバー攻撃を行っていたとしてロシアのセキュリティ機関を批判した。
2016年のEU離脱投票を含み、英国の政治に介入したことが疑われている。保守派は調査の失敗を批判。外務相は、ロシアのロシア連邦安全保障局(FSB)が背後にあると指摘し、大使を呼び出したとしている。...
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12月7日付仏
『フランス24』(AFP通信):「英、米、要人へのロシアのサイバー攻撃活動を批判」
英国政府と米国は7日、政治幹部、ジャーナリスト、非政府組織(NGO)等への度重なるサイバー攻撃を行っていたとしてロシアのセキュリティ機関を批判した。
2016年のEU離脱投票を含み、英国の政治に介入したことが疑われている。保守派は調査の失敗を批判。外務相は、ロシアのロシア連邦安全保障局(FSB)が背後にあると指摘し、大使を呼び出したとしている。
米国では、英米およびNATO諸国へのコンピューターハッキング容疑で、ロシアの個人2名(Ruslan Aleksandrovich Peretyatkoと Andrei Stanislavovich Korinets)が起訴された。うち1人はFSBの職員だったとされる。5年から最長20年の刑となる。2016年から2022年まで国防総省、国務省、エネルギー施設省、情報機関の現職、元高官を標的とした疑いがもたれている。
英国政府はFSBが2015年から2023年までの文書漏洩に関与しており、米の貿易分書もハッキングし2019年の総選挙前に漏洩していたとする。
1月、英国のサイバーセキュリティ長官は、ロシアとイランが政府高官やジャーナリスト、NGOを標的としたフィッシング攻撃を活発化していると警告。英国の政府通信本部(GCHQ)の国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)は、ロシアの集団「SEABORGIUM」やイランの「TA453」が様々な団体や個人を英国内外で2022年まで標的としていたとした。
昨年、英国の新聞は、ロシアのトラス元首相が外相だったとき、ロシアの工作員が携帯電話をハッキングした疑いを報じていた。ウクライナ戦争に関する「非常に重要な議題」を含むメッセージも含まれていたとされる。
同日付米『CNBC』:「ロシアが民主主義を蝕み政治家を標的としたサイバー攻撃」:
英国は7日、英国の民主主義を蝕み、長年政治家や民間人、ジャーナリストへの悪意あるサイバー攻撃に従事していたとして、ロシアを批判した。
英国の諜報機関である政府通信本部(GCHQ)の国家サイバーセキュリティセンターは報告書で、英国の著名な個人や団体に対し、少なくとも2015年から今年にかけて、ロシアが英国の中心的政治イベントを標的としてサイバー活動を行っていたとした。
ハッカー集団は、「Star Blizzard」とされ、ロシアのロシア連邦安全保障局(FSB) の一部だとほぼ確信しているとしている。
悪意ある攻撃対象には、英国の民主主義の中心を担う大学、ジャーナリスト、公的機関、非政府組織に加え、英国の政治家へのフィッシングメールも含まれる。
スパイ集団は、英米の貿易文書もリーク、2019年の英国総選挙を前に、誤情報を監視する英国のシンクタンクから文書をハッキングしたという。
デイビッド・キャメロン英国外務相は政治への介入を「全く受け入れられない」とし、この発見で「世界におけるロシアの情報機関のサイバー攻撃の広範な活動パターンが明らかとなった」とする。
これを受け、米国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドなどの同盟国は、ハッカー攻撃の実態と対処法について詳細情報を共有するサイバーセキュリティ勧告を発行している。また、サイバー攻撃のリスクの高い個人へのガイダンスを更新している。
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NZ;6年振り返り咲きの保守連立政権、親中政策に転換【米メディア】(2023/10/22)
ニュージーランドでは、10月14日実施の総選挙で、与党・労働党(LP、1916年設立の中道左派政党)が惨敗し、野党第1党・国民党(NP、1936年設立の中道右派・保守政党)が大躍進して6年振りに政権返り咲きを果たすことになった。そしてこの程、これまでの親欧米路線より転換して、親中政策に舵を切る旨表明している。
10月20日付
『フォリン・ポリシー』オンラインニュースは、6年振りに返り咲くことになる保守連立政権が、従来の親欧米路線から親中政策に舵を切ると表明していると報じた。
ジャシンダ・アーダーンLP党首(当時37歳、2017年就任)は、ニュージーランド政治史の中で最年少の首相として、5年余りNZ憲政を牽引してきた。
特に、閣僚経験がなかったにも拘らず、2019年に発生したクライストチャーチ在モスク銃乱射事件の対応や、2020年初めに世界を恐怖に陥れた新型コロナウィルス感染流行問題における厳格な政策によって犠牲者を極小に止めたことが評価された。...
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10月20日付
『フォリン・ポリシー』オンラインニュースは、6年振りに返り咲くことになる保守連立政権が、従来の親欧米路線から親中政策に舵を切ると表明していると報じた。
ジャシンダ・アーダーンLP党首(当時37歳、2017年就任)は、ニュージーランド政治史の中で最年少の首相として、5年余りNZ憲政を牽引してきた。
特に、閣僚経験がなかったにも拘らず、2019年に発生したクライストチャーチ在モスク銃乱射事件の対応や、2020年初めに世界を恐怖に陥れた新型コロナウィルス感染流行問題における厳格な政策によって犠牲者を極小に止めたことが評価された。
ところが、今年1月、政権運営にエネルギーを使い果たしたため首相継続の余力がなくなったとして突然辞任を表明したことから、新党首となったクリス・ヒプキンス(45歳)が首相職を継ぐことになった。
そして、新首相の下で10月14日の総選挙を迎えたが、LPは惨敗(62から34議席に激減)し、代わってNPが勝利を収めることになった(34から50議席への大躍進)。
NP党首であるクリストファー・ラクソン(53歳、2021年就任)は、11月初めに右派の少数政党と組んで連立政権を発足させる見込みである。
そこで、今後のNZの対外政策をみると、大きな方針転換がなされるとみられる。
すなわち、NP報道官は、総選挙キャンペーン中に、中国の人権問題や南シナ海における軍事力拡大に難癖をつけることより、中国との貿易確保に重点を置くべきだと表明していた。
更に、ラクソン党首は、同キャンペーンにおいて、中国が推進する一帯一路経済圏構想(BRI)に“何が何でも”参画して中国のインフラ投資を呼び込む、とまで宣言していたからである。
従って、国防・機密情報共有等の枠組みである「ファイブアイズ(FVEY、注後記)」においても、左派のアーダーン首相が、同枠組みのパートナーである米国の共和党政権(2017~2021年)、英国の保守党政権(2010年より継続)、豪州の自由党連立政権(2013~2022年)、カナダの自由党政権(2015年より継続)に寄り添う柔軟な対応をしてきていたのに対して、
右派の新国民党連立政権は、逆に舵を切ることになるとみられる。
すなわち、NPは中国による総選挙への介入疑惑を軽視しているだけでなく、2021年に発足したAUKUS(豪州・英国・米国の軍事同盟)に参画する気はないと表明してきていたからである。
実際問題、NPが2008から2017年に政権を担っていたときも、FVEYにおいて他4ヵ国と違って、積極的に中国対峙を示すことはなかった。
更に、2008年には、中国が2001年に世界貿易機関(WTO、1995年設立)に正式加盟して以来最初に、西側諸国の中で率先して中国との自由貿易協定を締結していたからである。
従って、新NP連立政権は、同国最大の貿易相手国である中国との貿易促進、特に経済活性化のために必要とされる中国向け乳製品・肉類の輸出拡大に重点を置き、FVEYが重きを置く対中強硬政策には背中を向けることは必至とみられる。
(注)FVEY:米英などアングロサクソン系の英語圏5ヵ国によるUKUSA協定に基づく機密情報共有の枠組みの呼称。1943年に米英が立ち上げ、1950年代までにカナダ、オーストラリア、ニュージーランドが加盟。米国を中心に「エシュロン」と呼ぶ通信傍受網で電話やメールなどの情報を収集、分析しているとされる。参加国の情報機関は相互に傍受施設を共同活用する。
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