国連の世界気象機関WMOは、温室効果ガスの報告書の出版に当たってのコミュニケで、2020年からの急激なメタン濃度の増加の理由については明確ではないが、人類によりもたらされた生物的なプロセスの結果ではないかと説明している。 さらに、WMOは、パリ合意での気温上昇を1.5℃に制限しようとする最新の国際的な約束目標を達成することは困難であると予測を表明している。
気象温暖化に影響するCO2に次ぐ重要な因子であるメタン濃度は、2020年と2021年には、各々15と18 ppb増加している。...
全部読む
国連の世界気象機関WMOは、温室効果ガスの報告書の出版に当たってのコミュニケで、2020年からの急激なメタン濃度の増加の理由については明確ではないが、人類によりもたらされた生物的なプロセスの結果ではないかと説明している。 さらに、WMOは、パリ合意での気温上昇を1.5℃に制限しようとする最新の国際的な約束目標を達成することは困難であると予測を表明している。
気象温暖化に影響するCO2に次ぐ重要な因子であるメタン濃度は、2020年と2021年には、各々15と18 ppb増加している。なおWMOとしては、これらのメタンの発生源増加要因を特定することは困難であるとしている。
なおWMOの専門家によると、メタンの発生を抑える効率的な戦略は化石エネルギーを取り扱う分野で存在するので早急に対策を講じる必要があるという。
一方、メタンについては最近、ノルドストリームからのガスリークやニュージーランドでの家畜の‘あくび’や‘おなら’に税金をかけることで論争の的になっている。
さらにNASAは9月25日、宇宙からの観測で、地球上に数十のメタン発生源が存在することを発表している。これらの多くは化石エネルギー関連施設か、廃棄物処理設備か、もしくは農畜産業設備と見られる。
2007年からメタン濃度が以前に比べて急激している理由については科学者たちの明確な回答はないが、多くは生物起原であると考えられている。例えば、湿地帯や水田地帯からのメタン発生が挙げられている。
ちなみに2021年での大気中のCO2濃度は416ppm、メタン濃度は1.91ppm、亜酸化窒素濃度は335 ppbとなっており、産業革命前に比べて、各々 +149%、+262% および +124%増加している。WMOは、まずは大気中濃度の高いCO2の削減が最優先課題であるとしている。
閉じる
畜産大国であるニュージーランドでは、温室効果ガス排出削減対策として、2025年から農家が牛や羊のげっぷの排出量に対して税金を支払う制度が導入され、その税は研究費などに宛てられるという。
10月10日付
『AP通信』:「ニュージーランドで牛のげっぷ税導入、農家は反発」:
ニュージーランド政府は11日、気候変動対策の一貫として、家畜からでるゲップや尿による温室効果ガスへの課税制度を導入すると発表。農家への課税は世界で初となり、農家は気候変動に対応した製品に代替することでコストを回収できるとする。
だが一方、農家はこの動きに反発。農業者連盟は、この施策は農家を森林とみなすような施策だと批判している。...
全部読む
10月10日付
『AP通信』:「ニュージーランドで牛のげっぷ税導入、農家は反発」:
ニュージーランド政府は11日、気候変動対策の一貫として、家畜からでるゲップや尿による温室効果ガスへの課税制度を導入すると発表。農家への課税は世界で初となり、農家は気候変動に対応した製品に代替することでコストを回収できるとする。
だが一方、農家はこの動きに反発。農業者連盟は、この施策は農家を森林とみなすような施策だと批判している。ホガード連盟協会長は、2年以上にわたり政府と食糧生産を減らさずに排出を削減する解決策を協議しており、これまでの農業を継続させる計画だった」としている。
野党ACT党は、この政策では、より非効率な農業を行う他国に移行することで、世界的には排出量は増加するだろうと批判している。
ニュージーランドでは、農業分野は経済の要とされる。かつて中国の幼児用ミルク製造が行われていたように、畜産業は最大の輸出産業となっている。ニュージーランドの人口はわずか500万人だが、牛などの畜産用家畜は1000万頭、羊は2600万頭と人口より多い。このような異例な規模の産業のため、ニュージーランドでは、温室効果ガス排出量の約半量は農業由来となっている。家畜からは、ゲップからでるメタンや、尿から出る亜酸化窒素などの地球温暖化に影響するガスが放出される。
政府は2050年のカーボンニュートラルをめざし、温室効果ガスを削減する目標を表明している。目標には、家畜からのメタンガス排出を2030年までに10%削減し、2050年までに47%削減するという目標も含まれる。2025年には排出量への課税開始が計画されているが、まだ金額は定められていない。
ジャシンダ・アーダーン首相は、農家から徴収する税は、新技術産業や研究、インセンティブに活用するとしている。オコーナー農務相は、「農家は干ばつや洪水が頻発することで、気候変動の影響は明らかだ。農業分野からの排出でリードすることは、環境面でも経済面でも利点となる」としている。
10月11日付『ロイター通信』:「ニュージーランドの農場から牛のげっぷを減らし世界を救う」:
ニュージーランドでは、家畜にメタンガスなどが発生しにくい餌を与えるなど、温室効果ガスを減らす様々な研究が行われている。国レベルで餌の対策が進むと、国のメタン排出量を最大1%まで削減できると期待されている。
消化の過程で発生するメタンガスを含め、農業分野からの温室効果ガス排出量は、国全体の半分となる。そのため、農家、企業、専門家が協力し、家畜の数を減らさずに排出量を抑える努力をしている。
2025年ニュージーランドは農業排出量に課税する初めての国となる。これに先駆け政府は、生物起源メタンとその他のガスを分けて課税する考えを提案しており、5月政府は農業分野からの排出量対策として4年間で2億ドル超の予算を発表した。農業からの排出への課税は世界に類を見ないが、排出量削減には必要な政策だと考えられている。
閉じる