中国、BRICSサミット開催で統率力発揮を目論むも、国境問題を抱えるインドや、経済発展後退のロシア・ブラジル・南アフリカ等、呉越同舟の様相【米・スペイン・インド・中国メディア】(2017/09/02)
中国は、9月3~5日に福建省南部の厦門(シアメン)で開催される、第9回BRICS(注後記)サミットにおいて、新興5ヵ国の団結・連携を強化し、開放型の世界経済共同体を構築していくべく、リーダーシップを発揮しようとしている。しかし、インドは、2か月半もの間、ヒマラヤ山麓のドクラム(インド北東部シッキム州東端)で中国軍と睨み合ったばかりである。また、ロシアはもとより、ブラジル・南アフリカにもかつての経済発展の力はなく、独り勝ちの様を呈している中国への反発も予想される。
9月1日付米
『Foxニュース』(
『AP通信』配信):「中国の厦門で開催されるBRICSサミット概要」
来週(9月4、5日)中国は、ブラジル・ロシア・インド・南アフリカと形成するBRICSサミットの議長役を果たす。習近平(シー・チンピン)国家主席は、BRICSを21世紀の世界経済の中心的役割を果たす経済共同体とすべく、リーダーシップを発揮したい意向である。
これまでBRICSメンバーは、2014年に共同出資してBRICS開発銀行を設立したりして、欧米主導の世界銀行や国際通貨基金(IMF)等に協同して対抗してきた。...
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9月1日付米
『Foxニュース』(
『AP通信』配信):「中国の厦門で開催されるBRICSサミット概要」
来週(9月4、5日)中国は、ブラジル・ロシア・インド・南アフリカと形成するBRICSサミットの議長役を果たす。習近平(シー・チンピン)国家主席は、BRICSを21世紀の世界経済の中心的役割を果たす経済共同体とすべく、リーダーシップを発揮したい意向である。
これまでBRICSメンバーは、2014年に共同出資してBRICS開発銀行を設立したりして、欧米主導の世界銀行や国際通貨基金(IMF)等に協同して対抗してきた。しかし、現在ではBRICSメンバー間では、経済的危機を抱えたり、また、競合し合ったりと、必ずしも一枚岩ではなくなっている。
特に、6月中旬から10週間もの間、ドクラムで中国軍と睨み合いを続けていたインドは、中国が推す「一帯一路」政策に基づくパキスタン・スリランカ抱き込みによるインド包囲網に危機感を抱いている。従って、ナレンドラ・モディ首相がBRICSサミットに出席することとなったとしても、これまでどおりの共同政策に協調していくか疑問視される。
一方、ブラジル・ロシア・南アフリカは、資源価格大幅下落に伴う経済危機に見舞われ、依然回復途上にある。従って、国際経済では中国の独り勝ちの様相を呈している。
8月31日付スペイン
『エージェンシアEFE通信』:「BRICS、世界の電子商取引の半分を占める」
電子商取引大手のアリババは8月31日、2016年のBRICS 5ヵ国の電子商取引合計額が世界電子商取引総額の半分を占めたと発表した。
アリババによると、世界人口の40%、世界の国内総生産(GDP)の28%を占めるBRICSにおける電子商取引は、8,760億ドル(約96兆3,600億円)と世界総取引額の47%に相当するという。
一方、同日付インド
『インディアン・エクスプレス』紙:「中国、(インドが欲する)BRICSサミットでのパキスタン反テロ活動協議に反対」
中国外交部の華春瑩(ホァ・チュンイン)報道官は8月31日、パキスタンの反テロ活動についてBRICSサミットでの協議をインドが望んでいるが、それは首脳会議の議題としては相応しくないと回答したと表明した。
ドナルド・トランプ大統領が先週、テロ活動を展開するタリバーンをパキスタンが支援していると非難していた。この数時間後中国は、パキスタンがアフガニスタン和平に関わる“重要な役割”を演じていると擁護する声明を発表している。
一方、BRICSサミットとは別に、習主席とモデイ首相との首脳会談の可能性について問われた華報道官は、明確なコメントを避けた。
9月1日付中国
『チャイナ・デイリィ』:「BRICSサミットで各国連携・通商の強化につき協議」
中国商務部(省に相当)の高峰(ガオ・フェン)報道官は8月31日、来週厦門で開催されるBRICSサミットにおける協議を通じて、各国間の通商、投資、技術開発等が強化され、長期的な経済連携システムの構築に寄与することになろうと発表した。
同部傘下の中国税関総署のデータによると、今年1~7月の間、中国とBRICS 4ヵ国間の取引総額が1,670億7,000万ドル(約18兆3,800億円)と前年同期比+26%増となっており、また、中国から同4ヵ国への非金融関係投資総額は8億7,000万ドル(約960億円)に上るという。
(注)BRICS:2003年、米投資銀行ゴールドマン・サックスが、広い国土・多くの人口・豊富な天然資源を抱え、今後大きな経済発展を遂げる新興国として挙げたブラジル・ロシア・インド・中国をBRICsと総称。BRICs 4ヵ国首脳は2009年6月にロシアで第1回サミットを開催。2011年4月の中国で開催された第3回サミットから南アフリカが参加し、以降BRICSとして共同出資の開発銀行設立等、結束を強めてきた。
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米国務省の世界人身取引報告書で中国を北朝鮮並みの最低評価に【米・英・スペイン・中国メディア】(2017/06/30)
米国務省は毎年、世界の人身取引問題に関わる各国評価を行っているが、2017年版において、中国を北朝鮮・シリア並みの最低ランクに落とした。理由は、中国が北朝鮮出稼ぎ労働者5~8万人に強制労働させていること、更に、当該労働者が北朝鮮に送る資金が、核・ミサイル開発に充てられているとみているためである。これに対して中国は、全く根拠のない報告だと一蹴している。
6月27日付米
『ブライトバート』オンラインニュース:「国務省がリリースした人身取引評価報告書で中国が大幅ランク下落」
国務省が6月27日にリリースした世界の人身売買評価報告2017年版によると、中国の評価が第3段階(人身売買問題が認められるにも拘らず、一切不対応)の最低ランクに落とされたという。
同報告をリリースした際の会見で、レックス・ティラーソン長官も、また、そこに同席したイヴァンカ・トランプ大統領顧問も、中国を名指して批判することはなかったが、この報告の元となった“人身取引被害者保護法2000”提案者のクリス・スミス下院議員(ニュージャージー州選出の共和党議員)は、トランプ政権は、中国が性的・労働搾取でひどい扱いをしている国だと公式に評価したと語った。...
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6月27日付米
『ブライトバート』オンラインニュース:「国務省がリリースした人身取引評価報告書で中国が大幅ランク下落」
国務省が6月27日にリリースした世界の人身売買評価報告2017年版によると、中国の評価が第3段階(人身売買問題が認められるにも拘らず、一切不対応)の最低ランクに落とされたという。
同報告をリリースした際の会見で、レックス・ティラーソン長官も、また、そこに同席したイヴァンカ・トランプ大統領顧問も、中国を名指して批判することはなかったが、この報告の元となった“人身取引被害者保護法2000”提案者のクリス・スミス下院議員(ニュージャージー州選出の共和党議員)は、トランプ政権は、中国が性的・労働搾取でひどい扱いをしている国だと公式に評価したと語った。
同議員はまた、これまで12年間のブッシュ・オバマ政権下で、中国の人権問題について問題提起されてきたが、同国はこれを一切無視しており、今回、親中路線を取っているトランプ政権としても、現実的に厳しい評価を下す必要があったとみるとも付言した。
なお、第3段階の最低ランクには22ヵ国がおり、中国の他は、コンゴ民主共和国(旧ザイール)・北朝鮮・ロシア・イラン・スーダンなどである。
同日付スペイン
『エージェンシアEFE』通信:「米国、人身取引問題国として中国を追加」
米国務省作成の世界人身取引報告で、最低ランクと評価された問題国は、中国の他、ベネズエラ・ベリーズ(中米北東部)・ロシア・北朝鮮・イラン・シリアなどである。
今回の報告で中国を最低ランクと評価したのは、新疆(シンチアン)ウィグル自治区の人々が同自治区内外で強制労働を強いられていることと、北朝鮮から送られた労働者を国境付近で同じく強制労働に就かせていると判断されたからである。
ティラーソン長官の同報告リリースの会見に居合わせたイヴァンカ・トランプ大統領顧問は、世界で2,000万人の人々が人身取引の犠牲になっていると言われており、この問題解決が自身の中では最優先課題のひとつであると語った。
6月28日付英
『Yahooニュース英国版』(
『AFP通信』配信):「米国、人身取引問題が最悪のグループに中国を追加」
ティラーソン長官は会見で、同報告において最低ランクに評価された国においては、人身取引を防止や制限する最低限の基準も設けておらず、また、その問題解決の対応も取っていないと非難した。
今回の報告では、中国によるウィグル民族と北朝鮮人をそれぞれ強制労働に就かせている実態が評価された訳だが、中国の人権問題を公に批判するのは、トランプ政権になって初めてのことである。
中国外交部(省に相当)の陸慷(ルー・カン)報道局長は、同報告書がリリースされる前に、米国による無責任な報告書に断固として反対するとした上で、中国はこれからも、人身取引問題根絶のため、他国とも協力して取り組んでいくと表明した。
なお、ティラーソン長官は、直接的には北朝鮮を非難する形で、同国の5~8万人の労働者を、中国やロシアで強制労働に就かせた上、毎年数億ドル(数百億円)に上る報酬を本国に送金させていると断罪した。
一方、これまで、少年兵部隊(18歳未満)を起用している問題国にランク付けされていたミャンマーとイラクが、今回の同報告で外されたことに対して、人権監視団体は“虚偽の評価”だと非難している。
一方、6月27日付中国
『環球時報』:「中国、米国による人身取引報告書は“無責任”と一蹴」
中国外交部の陸報道官は、中国はこれまで、人身取引問題取り締りに厳しく取り組み、成果を上げてきているにも拘らず、米国が根拠のない評価を下していることに断固として反対すると表明した。
米国は毎年、“人身取引被害者保護法”に基づいて、世界各国の人身取引問題を評価してきているが、今回は対象が自国を含めた187ヵ国で17回目の報告となる。
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