ロシア、イラン、インドが新たな貿易回廊を開通(2022/06/15)
6月12日、ロシアのサンクトペテルブルグからインドのボンベイまでの新しい海上輸送ルートが開通することが発表された。これはロシア、イラン、インドが長い間計画してきたプロジェクトであるが、ウクライナ戦争と欧米の制裁によって加速された。
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『ブルームバーグ』 によると、イランの港湾関係者は、イランの国営海運会社が同国を通過する新しい貿易回廊を利用し、インドへのロシア製品の最初の移送を開始したことを明らかにした。また、国営のイスラム共和国通信は11日、ロシア貨物がサンクトペテルブルグを出発したことを伝えた。新たな回廊のパイロット輸送とされる貨物の出発時期や、貨物の詳細については言及されていない。
その後貨物は、ロシア南部の都市アストラハンから出発しカスピ海を横断。...
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『ブルームバーグ』 によると、イランの港湾関係者は、イランの国営海運会社が同国を通過する新しい貿易回廊を利用し、インドへのロシア製品の最初の移送を開始したことを明らかにした。また、国営のイスラム共和国通信は11日、ロシア貨物がサンクトペテルブルグを出発したことを伝えた。新たな回廊のパイロット輸送とされる貨物の出発時期や、貨物の詳細については言及されていない。
その後貨物は、ロシア南部の都市アストラハンから出発しカスピ海を横断。イラン北部のアンザリー港に到着後、陸路で南部バンダレ・アッバース港に輸送される予定である。そこから船に積まれ、インドのナバシェバ港に送られる。この輸送はイランの国営の海運会社Islamic Republic of Iran Shipping Lines Group (IRISL)によって調整及び管理されており、25日かかる見込みであるという。
ロシアがウクライナ戦争で制裁を受けて以来、イラン当局は、イランを利用してロシアとアジアの輸出市場を結ぶ、いわゆる南北輸送回廊の開発プロジェクトの復活に取り組んでおり、イランのカスピ海の港に到着した商品を南東部のチャーバハール港まで輸送できる鉄道路線を最終的に建設することになっている。
仏ラジオ局『RFI』 によると、インドとポストソビエトの関係を専門とするナンダン・ウニクリシュナン氏は、「2000年代から、インド、ロシア、イランなどの国々は、国際南北回廊を議論してきて」おり、国際情勢を背景に今回復活したプロジェクトである、と説明している。ロシアの商品をインドに送るには、この回廊しかなく、ウクライナでの戦争が、開通を加速させたことは間違いないと指摘している。「イランは制裁下にあり、今度はロシアも制裁を受けている。だから、両国ともできるだけ早く前に進みたいと考えている。この新路線に対する商業的な関心は急速に高まると思う。」と語っている。
この回廊によって、インドはガスや石油など、ロシアからあらゆる物資を受け取ることができるようになる。一方、イランは、自国を通過する際に課される税金の恩恵を受けたいと考えている。ウクライナ戦争が始まって以来、インドはモスクワに対する経済制裁に参加せず、ロシアの石油の輸入も開始している。フランスの金融ニュースサイト『ゾーヌブルス』 は、ロシアは5月にインドにとって第1位のイラクにつぐ、第2位の石油供給国に浮上してきたと伝えている。サウジアラビアは第3位に後退した。
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中国、李克強首相が経済の危機的状況を報告(2022/05/27)
中国は現在、2020年初頭以来最悪の新型コロナウイルスの感染拡大に見舞われており、上海など大都市での厳しい自宅待機命令と渡航制限によって感染を抑え込もうとしている。そうした厳しいゼロコロナ政策によって打撃を受けた経済を立て直すために、25日に、全国規模の緊急テレビ会議が開かれた。李克強首相は会議の中で、厳しい経済状況について報告している。
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『CNBC』 によると、中国国営メディアは25日、李克強首相が緊急会議の場で、中国経済がいくつかの分野で、パンデミックに襲われた2020年よりも深刻な状態にあると述べたことを報じた。李克強首相は、中国経済の通年見通しを決定するための「重要な時期」にあると警告し、第2四半期の成長と失業率の低下のために「懸命に働く」よう関係者に呼びかけたという。
中国銀行のZong Liang主席研究員は、このような規模の会合は何年も行われておらず、一度にこれほど多くの階層の関係者が参加した会合は前例がないと述べた。...
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『CNBC』 によると、中国国営メディアは25日、李克強首相が緊急会議の場で、中国経済がいくつかの分野で、パンデミックに襲われた2020年よりも深刻な状態にあると述べたことを報じた。李克強首相は、中国経済の通年見通しを決定するための「重要な時期」にあると警告し、第2四半期の成長と失業率の低下のために「懸命に働く」よう関係者に呼びかけたという。
中国銀行のZong Liang主席研究員は、このような規模の会合は何年も行われておらず、一度にこれほど多くの階層の関係者が参加した会合は前例がないと述べた。通常、中国政府の政策は政府のいくつかの層を通して伝達されるため、今回のようなあらゆる層に直接語りかけるような会議は効率が良いと指摘した。ゴールドマンサックスのアナリストたちは、このテレビ会議を「全国の省、市、県レベルの地方政府関係者」を含めた会議であったと説明している。仏『RFI』 は、会議には全国から10万人が参加したと報じている。
専門家たちは、李克強首相が会議の場で、第2四半期に成長を達成するよう求めたことについて、「今年3月初めに設定した5.5%前後の成長目標が非常に厳しいということを暗に認めたのかもしれない」と述べている。『ブルームバーグ』 の調査では、今年の経済成長率はわずか4.5%と予想されており、モルガン・スタンレーは3.2%まで下方修正している。香港『サウスチャイナモーニング・ポスト』 は、今年に入ってからの中国経済の急激な反転は、3月下旬からの上海での強硬なロックダウンが一因となり、消費財から電気自動車まで、幅広い産業分野に打撃を与えたと伝えている。例えば、上海では4月に新車が1台も売れず、全国の新エネルギー車の販売台数は前月比で38.3%減少した。
李首相は、税収が影響を受けていること、一部の地方が中央政府に借金を要請していることも明らかにした。土地の売却は依然として地方自治体の主要な財源であるものの、ここ数カ月で不動産収入が30%近くも減少しているという。李克強は、さらなる減税と雇用支援を約束した。
なお、英『エコノミスト』 は、中国では16歳から24歳の若者の都市部での失業率は昨年平均で14%強であったが、今年4月には18.2%に上昇し、2018年の調査開始以来最高水準となったと伝えている。『サウスチャイナモーニング・ポスト』 も、中国の厳格なゼロ金利政策の下、ハイテクから新エネルギー自動車に至るまで、あらゆる業界で新入社員の内定取り消しが急増しており、中国の若者に就職の危機が迫っていると伝えている。
20年以上ぶりに、内定を持たない卒業生の数が、内定を持つ卒業生の数を大幅に上回る可能性があると見られている。上海のトップのロースクールである華東政法大学から流出した文書によると、5月上旬の時点で就職先が決まった卒業生は5人に1人に過ぎなかった。同校は中国の公式メディアに対し、流出したデータは実像を表していないと述べたが、それ以外の数値は明らかにしなかった。
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